みなさんは「新古車」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
よく聞く言葉ではあるけれども、どういうクルマなのかを詳しくは知らないという方も多いことでしょう。
また、新古車とは別に「登録済未使用車」という表現もあり
新車なの?中古車なの?一体どっちなの?と戸惑われるかもしれません。

この「登録済未使用車」と「新古車」、どちらも同じ意味で使われるのですが、
実際には中古車販売店での表記や広告で「新古車」という言葉が使われることはありません。

クルマ探しの時にはよく耳にする「新古車」という言葉、実は中古車販売の際に使ってはいけない表現になっているのです。
いったいなぜなのでしょう?今回はそのあたりの事情について考えていきたいと思います。

この記事の目次 CONTENTS
登録済み未使用車(俗にいう新古車)とは何か?
なぜ登録済み未使用車は中古車市場に出回るのか?
登録済み未使用車はメリットがたくさん
「新古車」は誤解を与える表現として禁じられている

ライター紹介

221616 編集部

世の中の自動車ニュースとは一味違う視点でスローニュースを発信。編集部員はクルマ初心者からクルマをこよなく愛するマニアまで幅広いメンバーで構成。全国のガリバーで売れている中古車や車のスタッフレポートなど、生の情報をお届け中。

登録済み未使用車(俗にいう新古車)とは何か?

まず、登録済み未使用車(軽自動車の場合、届出済み未使用車)という表現ですが、これはナンバー登録をしている(車検を通している)が、実際には使用、及び運航されていない(走行距離が極端に少ない)クルマを「登録済み未使用車」と呼びます。

登録済み未使用車=中古車

つまり、登録済み未使用車とはあくまでも中古車のこと指します。

自動車の登録における分類は
・未登録のクルマである「新車」
・登録したことがあるクルマである「中古車」
のどちらかになります。

登録済み未使用車=中古車

登録済み未使用車を購入するということは、
既に他者の名義でナンバー登録されているクルマの次のオーナーになる(中古車を購入する)ということなのです。

しかし、走行距離も極端に短く傷もまったくない新車同様の車を「中古車」と表現するのは商品の価値を的確に言い表していませんし、販売する側も新車に近い中古車の魅力を伝えたいため、慣例的に「登録済み未使用車」という呼び方をするのです。

なぜ登録済み未使用車は中古車市場に出回るのか?

せっかく新車で購入したクルマを一度も使わずに手放した人がいるからこそ、登録済み未使用車が中古車販売店で売られているわけですが、ではいったい誰が、なぜ登録だけ済ませた車両をすぐに売ってしまうのでしょう?

新車の販売店(ディーラー)が生み出す登録済み未使用車

実は、新車を販売しているディーラー(新車販売店)が登録済み未使用車と呼ばれる中古車を生み出しています。
そもそも、クルマを作っているのは自動車メーカーですが、その新車を販売するのはディーラー(販売店)です。

自動車メーカーは、より多くのクルマを売る努力をしてもらえるよう、ディーラーに対して販売目標に応じた報奨金を設定し、目標を達成したディーラーはその報奨金を獲得できます。

一方、販売目標の達成を目指してディーラーも努力をしますが、頑張っても目標に届きそうにない、という時もあります。
そこで、ディーラーは販売台数を増やすために自社名義でナンバー登録をします。
新車の販売台数は、ナンバー登録をすることによってカウントされるからです。

ナンバー登録された車は新車とは呼べない

ですが、自社で登録したクルマは、あくまでも登録済みの「中古車」になりますから、新車として売ることができません。

とはいえ、登録しただけの中古車をいつまでも在庫として抱えておくわけにもいきませんから、中古車販売店に卸すことになります。
こうした事情によって、新車も同然の登録済み未使用車が中古車市場に広く出回ります。

その他にも
・販売店の店頭展示用や試乗車用に登録したというケース(あまり気持ちの良い話ではありませんが)
・販売営業マンがノルマを達成するために自分で購入する
・商談で何かしらの問題が発生してお客さんが急にキャンセルする
といった事情で登録済み未使用車が発生する場合があります。

登録済み未使用車はメリットがたくさん

登録済み未使用車はあくまで中古車ですから、新車で買うよりも安く費用を抑えられる可能性が高く、新車購入でのメリットと、中古車購入のメリットを得ることができます。

例を挙げていくと、車両本体価格が新車よりも値下がりすることに加え、自動車重量税は0円、自動車取得税も新車に比べて3割ほど安くなります。
保証についても保証継承手続きを行えば新車同様にメーカー保証が受けられるので安心です。

また、新車よりも納車までの時間がかからず、早ければ数日で納車が可能な点もメリットです。
ホリデーシーズンの行楽に使いたいけど、新車で買うと納車場間に合わない、という時にも最適です。

登録済み未使用車はその発生経緯からどうしても在庫の中から選択することになり、選ぶ自由度も限られますが、希望するグレードやボディカラー、欲しいオプションを装備した好みの在庫が見つかれば、とてもお買い得なクルマです。

「新古車」は誤解を与える表現として禁じられている

さて、登録しただけの未使用車が出回り始めた頃は、「新古車」という表現が使われていた時期もありました。
しかし、新車なのか中古車なのかがわかりにくく、登録済みのクルマであるにもかかわらず、新車であるかのように説明して販売する悪質な例もあり、自動車公正取引協議会が「新古車」は消費者に誤解を与える呼び方として、使用を禁止しました。

正しい表現は、「登録済み未使用車」

そこで、まだ誰も使用していない車という意味で「登録済み未使用車」という表現が用いられることになりました。
今では広告や店頭で「新古車」という言葉を見かけることは基本的にはないはずです。

しかし、あえてクルマユーザーに馴染みのある「新古車」と表記する販売店や、その呼び方を使う営業マンも実際にはいます。
自動車公正取引協議会からの通達とはいえ、「新古車」という表現を使うことが法律違反になるわけではありません。

ただし、それ自体は違法ではないにしても、景品表示法に抵触する可能性があります。
景品表示法とは「不当景品類及び不当表示防止法」のことで、消費者が商品を選択する際に判断を狂わせるような誇大広告や虚偽の表示、過大な景品提供を禁止する法律です。

景品表示法とは?

例えば、広告の表現で使われている商品のメリットや効果を期待して購入したものの、実際にそのメリットや効果を得られなかった、事実と異なっていた、といったことを防ぐのが景品表示法です。
自動車公正取引協議会が定めた不当表示禁止のルールも、この景品表示法を受けてのものです。
誇張していたり、まぎらわしい広告を見たことがあるか方もいるのではないでしょうか。

広告を見て、お買い得!と思って飛びついたものの、後々こんなはずじゃなかったと後悔したなんていう経験をした方も中にはいるかもしれません。

そうしたルールがあるとはいえ、実際よりも良く見せかける表示に惑わされないよう、自分自身が十分に気をつけなければいけませんね。
まるで新車のようなクルマを安く購入できる、とってもお得な未使用車ですが、賢い買い物をするためにも信頼できる中古車販売店を選びましょう。