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<V8 4.0Lツインターボを搭載! GT Sは、510ps&650N・mを発揮!>
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AMGは、その昔、主にメルセデス・ベンツを中心としたチューニングメーカーだった。レースで結果を残し、人気チューニングメーカーとして躍進した。その人気ぶりは、日本にも波及。アフターパーツでも人気で、AMG風エアロパーツなどが大人気となる。そんな中、1980年代後半から三菱デボネアにはAMGのエアロパーツを装着したデボネアAMGというモデルがリリースされたほどだ。その後、AMGはメルセデス・ベンツの傘下となり、ハイパフォーマンスカーの開発・生産を担う重要な一部門となった。
現在も日本マーケットでは、AMGブランド力の人気は非常に高い。多くのモデルでAMGパッケージ、AMGラインなどと呼ばれるグレードが中心で売れている。中古車マーケットも同様で、AMG仕様・グレードになっていないと、リセールバリューも低くなるという状況にもなっている。
今回投入されたメルセデスAMG GTは「究極のハイパフォーマンス」を追求したAMGブランドの象徴。メルセデス・ベンツは、かなり戦略的で、少し前には超高級車ブランドのマイバッハをメルセデス・ベンツ傘下とした。すでに、メルセデス・マイバッハSクラスをリリースしている。マイバッハは「究極のエクスクルーシブ」の象徴だ。
メルセデス・ベンツは、こうした両極端のブランドを併せ持つ。こうした戦略は、顧客に対して幅の広い選択肢を与えている。顧客はより自分の好みにあったブランドを選べるようになった。結果的に、メルセデス・ベンツへのロイヤリティは上がり、販売台数増につながる。
究極のハイパフォーマンスを追求したメルセデスAMG GTに搭載されるエンジンは、専用に新開発されたAMG4.0LV8直噴ツインターボエンジン。2基のターボチャージャーをV型シリンダーバンクの外側ではなく、内側に配置する「ホットインサイドV」レイアウトとしている。エンジンを可能な限りコンパクトにするとともに、ターボチャージャーへの吸気経路を最適化することで、優れたレスポンスを実現している。組み合わされたミッションは、ツインクラッチ式の7速AMGスピードシフトDCTだ。
こうした専用エンジンを搭載したメルセデスAMG GTは、最高出力462PS(340kW)、最大トルク600Nm、GT Sは最高出力510PS(375kW)、最大トルク650Nmを発揮する。よりパワフルなGT Sは、パワーウエイトレシオ3.08、0-100km/h加速 3.8秒を実現し、まさにスーパーカースペックだ。
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パッケージングもスーパーカーだ。フロントミッドシップ&トランスアクスルレイアウトとなっている。エンジンとトランスミッションとの間をトルクチューブで接続し、内部で超軽量のカーボンファイバードライブシャフトを回転させて、強大なエンジンパワーをリアアクスルへ伝達。このレイアウトにより前後重量配分は47:53と理想的な比率を実現し、高いトラクション性能をもつ。
メルセデスAMG GTは、サーキット走行での速さを求めたモデルではないのも特徴。一般道での快適性も考えられている。ダイナミックエンジントランスミッションマウントと呼ばれる最新テクノロジーが採用された。この技術は、エンジンマウントとトランスミッションマウントそれぞれに磁性体入の液体可変マウントを搭載し、各種センサーからの情報によりドライビングの状況を検知。マウントの硬さを自動で調整する。通常走行時は、柔らかいマウントによってドライブトレインからのノイズと振動を効果的に遮断し快適性を高めている。対して、スポーツドライビング時にはマウントを硬化。ドライブトレインのロールモーションを減少し、クイックなコーナリングを実現している。快適性と高い走行性能という相反する要素を両立した機能だ。
安全装備に関しても充実しているのがメルセデスらしい。停止まで前車追従式のクルーズコントロールや、自動ブレーキなどを備えた「ディストロニック・プラス」など、他のメルセデス・ベンツ同様に高い安全装備を備えている。
まさに、究極のハイパフォーマンスといえるメルセデスAMG GT。ただ、少々気になる部分もある。なんとも古典的なスーパーカーということだ。例えばモーターによるパワーアシストによるモアパワーと環境性能の両立。カーボン素材など、材料置換によるボディなど新しい究極のハイパフォーマンス提案が欲しかった。
■メルセデスAMG GT/GT S価格
・メルセデスAMG GT ¥15,800,000
・メルセデスAMG GT S ¥18,400,000