日産エクストレイル

<20.6㎞/Lという低燃費と、システム出力188psという力強さも両立>

日産エクストレイル日産エクストレイルは、2013年末に登場。タフネスさあふれるデザインから、スタイリッシュな都会派デザインへなった。賛否両論あったものの、人気SUVとして高い人気を誇った。デビュー当時から、エクストレイルはハイブリッドモデルの存在が噂され、デビューは1年後とされていた。2014年末にデビューと期待されていたが、やや遅れて2015年4月にようやくデビューした。発売は、5月13日からとなる。

このクラスのSUVのパワーユニットは、なかなか各メーカーの個性が出ている。トヨタとホンダは、燃費志向のハイブリッド。マツダはクリーンディーゼル、スバルはターボと選択肢は多い。そんな中で、エクストレイルはパワー志向のハイブリッドで個性をアピールする。

エクストレイル ハイブリッドは、1モーター2クラッチ式が採用されている。1モーター2クラッチ式は、フーガやスカイラインにも採用されているもので、FF用とはいえ基本的なメカニズムは同じだ。エンジンとモーターの間にひとつ目のクラッチ、モーターとミッションの間に2つ目のクラッチがあるシンプルな機能をもつ。

日産エクストレイルこのハイブリッドシステムは、ひとつのモーターが走行と回生を行う。モーターがひとつなので、軽量化や低コスト化というメリットがある。この仕組みは、クラッチでエンジンを完全に切り離すことが可能。モーターの負荷や出力にもよるが、アクセルオフ時によるEV走行できる速度は120㎞/hでも可能だという。

このハイブリッドシステムのシステム出力は188psにもなる。この188psという数字は、2.5Lのガソリン車相当だ。1モーター2クラッチ式ハイブリッドの魅力は、アクセルを踏んだ瞬間の力強いトルク。アクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発揮するモーターの特性で、まずモーターがグッとクルマを前に押し出す。やや遅れて、エンジンのトルクも加わり、車速はグイグイと上がる。この加速感が、とてもスムースなのも特徴。体感的には2.5L車以上の加速感を感じるだろう。

減速中のエネルギーを電力に変える協調回生ブレーキも装備されているのも特長。ドライバーはブレーキを分でいるつもりでも、協調回生ブレーキの制御でドライバーの求める減速度をモーターがコントロールしながら、電力に変換しバッテリーに送っているのだ。

搭載されるバッテリーは、高性能なリチウムイオン電池。ラゲッジスペース床下に搭載している。ラゲッジスペースは、さすがに小さくなっているものの400L超のスペースを確保。スペースは少なくなったが、フラットな設計となっていて使いやすさは確保している。

パワー系のハイブリッド車とはいえ、燃費性能は気になる。エクストレイル ハイブリッドの燃費は、FF車が20.6㎞/L、4WD車が20.0㎞/Lとなった。同じ2.0Lエンジンベースのハイブリッド車、トヨタ ハリアーの燃費は21.8㎞/L。数値的には負けているが、まったくフィーリングが違うので乗り比べてみるといいだろう。また、ハリアーには自動ブレーキ関連の装備がないので、こうしたところも比較して選びたい。

日産エクストレイル安全装備に関して高く評価したいのは、自動ブレーキであるエマージェンシーブレーキが標準装備化されていることだ。ライバル車の中には、そもそも自動ブレーキが用意されていない、もしくはオプション設定になっていたりするクルマも多い。安全装備は、性能や機能含め千差万別なので、しっかりと比較して選びたい。

また、その他の安全装備として、踏み間違い衝突防止アシスト、フロント&バックソナー、LDW(車線逸脱警報)、進入禁止標識検知がエマージェンシーブレーキパッケージ車には標準装備。標準以上の安瀬装備が用意されている。

そして、日産エクストレイル ハイブリッドの価格は2,804,760円から。価格は安いとは言えない価格帯。ガソリン車の20X “エマージェンシーブレーキ パッケージ” と比べると、約40万円高い計算になる。こうなると、燃費が良いことによるガソリン代で、この金額を埋めることはほぼ不可能。経済性ではなく、ガソリン車より力強い加速力をもちながら、低燃費ということに魅力を感じる顧客が買う車種となる。

日産エクストレイル ハイブリッドの選び方は、1グレードしかないので2WD か4WDかという選択のみだ。積雪地域に居住していたり、ウインタースポーツを楽しみたいというのであれば、当然4WD車という選択だ。また、雨の高速道路など、路面状況の悪いところで安心して安全に走りたいのなら4WDとなる。ALL MODE 4×4 - i をオートにしておけば、4WDならではの安定したトラクション性能が得られる。その他、リセールバリューを考えると4WDが無難だろう。

ただ、FF車は選んではいけないということではない。割り切れれば、FF車も魅力的だ。何といっても経済性で、4WD車と比べると約20万円もの価格差がある。とくに、雪道や滑りやすい路面で使うことが無いというのであればFF車でも十分。また、FF車はセダンやミニバンにあまり魅力を感じない人にもお勧めだ。

■日産エクストレイル ハイブリッド:・20X HYBRID“エマージェンシーブレーキパッケージ” 2,804,760円(2WD)~
20X HYBRIDブラック エクストリーマーX“エマージェンシーブレーキパッケージ” 3,240,000円(4WD)