トヨタ ラクティス

<精悍さが増しカッコ良くなったが、燃費性能・安全装備がやや物足りない>

トヨタ ラクティストヨタ は、コンパクトカー のラクティス をマイナーチェンジし発売を開始した。

2代目トヨタ ラクティスは、2010年11月にデビューした。全長4m弱というコンパクトなボディサイズに、クラストップレベルの室内空間をもつ。

ラクティスは、メイングレードに1.5Lエンジンを搭載。広い室内と余裕のある1.5Lエンジンを搭載したことで、若年ファミリー層のファーストカーとしての価値をアピールした。

そんなコンセプトと、トヨタの販売力もあり発売直後こそ好調。しかし、低燃費戦争ドンドンと激しくなっていく。その上、トヨタ自らがリリースした世界ナンバー1の燃費を誇るハイブリッドのアクアが登場。当然、カニバリも発生し販売台数は下降していく。毎年一部改良を施すものの、月販販売台数は2,000台を超えるのがやっとといった状態となった。

もはや存在意義を失いかけているラクティスだが、今回のマイナーチェンジでは、外観を大きくイメージチェンジ。プロジェクター式ヘッドランプやLEDクリアランスランプやリヤコンビネーションランプの形状を変更した。プロジェクターヘッドランプなどの影響もあり、全体的に高級感も増し精悍さもアップしたようにみえる。コンパクトカーというカテゴリーの中でも、プレミアム感のある仕上がりだ。

新設定されたグレード、G PRIME STYLEでは、さらに質感を高めるため、専用のシート表皮を設定。ステアリングやシフトノブにシルバーステッチを施すなどの改良を加えている。

機能面では、全車のフロントドアガラスにスーパーUVカット・IRカット機能付ガラスを採用。日焼けや車内の温度上昇を抑制してくれる装備だ。

今回の目玉は、ラクティスのエントリーグレードに搭載される1.3L車。すでにヴィッツ に搭載された新型エンジンが搭載され、燃費はアイドリングストップ機能付きが21.8㎞/L、無しが20.0㎞/Lとなっている。

それにしても、トヨタのアイドリングストップ機能嫌いは徹底している。その上、オプションのアイドリングストップ機能は、79,920円と高価なので選びにくい。

トヨタラクティスラクティスの1.5L車は、アイドリングストップ機能付きが20.6㎞/Lと低燃費。だが、アイドリングストップ機能無しが19.0㎞/Lと約8%も燃費が悪くなる。ホンダ のフィット 1.5L車は、全車アイドリングストップ機能付きで21.8㎞/Lなので、これでは勝負にならない。また、アイドリングストップ機能がありと無しでは、エコカー減税のレベルが1ランク違う。約8万円という金額を出した人しか、ランクの高いエコカー減税が受けれないということになり、顧客のメリットは低い。

そのため、ラクティスの1.5L車を選ぶならアイドリングストップ機能は必須。それでも、燃費はフィットの1.5L車に負ける。燃費で負けるだけでなく、安全装備も物足りない。フィットには用意されている追突被害軽減自動ブレーキが、ラクティスにはない。さらに、サイドエアバッグは43,200円のオプション。フィットの15Xは標準装備。こうなると、ラクティスを選ぶ理由が見当たらなくなる。燃費やエコカー減税レベル、安全装備をジックリと比べて選ぶ必要がある

それでも、ラクティスが良いというのであれば、スポーティなルックスとユーロサスペンション&リヤディスクブレーキを装備したSグレードがよい。装備も充実している。ただし、このSグレードも注意が必要。タイヤが少し太い185/60R16が装備されたことで、なんと最小回転半径が4.9mから5.4mとなってしまうのだ。これは、5ナンバーミニバン並みの最小回転半径なのだ。コンパクトカーなので、小回りが苦手なので、狭いところでクルマを扱うことが多い人には、Sグレードは注意が必要だ。

■価格:X(1.3L) 2WD 1,615,091円~G(1.5L) 4WD 1,954,800円