トヨタ ポルテ

<とくにお買い得でもなく、アイドリングストップ機能も無し。そこが悩みどころ>

トヨタポルテポルテは、2012年7月にデビューしたコンパクトカー。全長3,995×全幅1,695×全高1,690mmサイズに、大開口のスライドドアをもったスペース系のモデルだ。スペース系ということもあり、徹底して使い勝手にこだわった。ホンダのフリードのように、3列シートとはせず、室内空間や多彩なシートアレンジや豊富な収納スペースなどを重視。その結果、トヨタのメインターゲットの子育て層に、とても便利な仕様となっている。

確かに子育て層に便利であることは間違いないが、低いフロア高や大開口のスライドドアは、シルバー層にも優しい。姿勢変化が少なく、クルマへの乗り降りがセダンタイプのクルマと比べて楽なのだ。子育て層向けのイメージが強いが、シルバー層にもお勧めしたい1台といえる。

トヨタも子育て層だけでは、マーケットで台数を確保できないと思っているようで、少々スポーティな外観にした姉妹車であるスペイドを用意。こちらは、若年層へ使い勝手の良いクールなクルマとしてアピールしている。

そんなポルテに、新しく設定された特別仕様車が F“a la mode”(ア・ラ・モード)だ。ア・ラ・モードには、「F」グレードをベースに、スマートエントリーパッケージとスーパーUVカットパッケージを特別装備している。さらに、外装のラジエーターグリルとドアミラーならびに内装のレジスターリング(エアコン吹き出し口)に、外板色と合わせたアクセントカラーを加飾することで、「スタイリッシュ」と「かわいい」の2つの個性を与えている。2つの個性は、ボディカラーで分けられており、スタイリッシュがホワイトパールクリスタルシャイン(オプション設定)、ブラックマイカ。かわいいが、スーパーブライトイエロー(特別設定)、クリームベージュとなっている。

トヨタポルテその他の特別装備として、専用意匠アナログ式センターメーター(メーター照度コントロール機能付)、メッキ加飾(バックドアガーニッシュ、アウトサイドドアハンドル、インサイドドアハンドル、シフトレバーベゼル)、フロントドアガラスIR<赤外線>カット機能、オート格納機能ドアミラーなどとなっている。

ア・ラ・モードの価格は1,789,855円。ベースとなるFグレードが1,686,857円なので、約10万円アップということになる。装備分を考えると、ア・ラ・モードは、価格アップなりの特別仕様車といった印象。お買い得車ではない。

そんな状況なので、この専用の加飾類が好きならどうぞといった特別仕様車。そうでないのなら、Fグレードに個別にパッケージオプションを組み合わせた方が、結果的にリーズナブルにポルテが買える可能性もある。

基本的によいクルマなのだが、未だアイドリングストップ機能が標準装備されていない。ポルテの1.5Lエンジンの燃費は19.0㎞/L。ところが、高価なオプションのアイドリングストップ機能を装備すると燃費が20.6km/Lとイッキに向上する。

これだけ燃費が向上すると、エコカー減税のランクが1ランクアップする。Fグレードでは、アイドリングストップ機能付きだと約68,700円の減税に対して、アイドリングストップ機能無しは約36,600円となる。その差額は約32,100円。ちょっとしたパッケージオプションが選べる価格だ。

多くのコンパクトカーが、アイドリングストップ機能を付けて免税レベル付近にあるのに、ポルテはなんとかエコカー減税対応レベル。これでは、顧客へのエコカー減税メリットが提示できていない。もはや、軽自動車でもアイドリングストップ機能は当たり前の時代なので、早急に標準装備してほしい。

■ポルテ F a la mode(ア・ラ・モード)価格:1,789,855円