
<ハイブリッド車で鍛えた低燃費技術を応用した新エンジンを搭載し、クラストップの27.6㎞/Lを達成!>

トヨタ パッソは、2010年にデビューし2代目となったモデル。ダイハツ ブーンと姉妹車関係にあり、ハード部分はダイハツ が担当するなど共同開発されているのが特徴。また、開発当初から女性をターゲットにしたモデルとして企画されたこともあり、女性目線が重視しされていた。
このパッソの全長は、4mを切る3,650mmというサイズ。このサイズは、軽自動車 の全長3,395mmに近い。そのため、このクラスのコンパクトカーは軽自動車がライバルとなる傾向が強い。しかし、最近の軽自動車は居住性や燃費に優れる上に、質感も大幅に上がってきている。その上、税金などの保有コストが大幅に安いこともあり、現在、軽自動車は大人気カテゴリーとなっていて、このクラスのコンパクトカーは非常に厳しい戦いが強いられている状況だ。
また、パッソより、もう少し大きいコンパクトカーとなると、ホンダ フィット やアクアなど、多少高価でもハイブリッドモデルがあり魅力度を大幅に増しているので、尚更選びにくいクラスとなってしまった。
そんなこともあり、一時放置状態にされていたパッソだが、今回のマイナーチェンジでは新エンジンを搭載しイッキに巻き返しを狙う。新開発のエンジンを搭載し、なんと、マイナーチェンジ前のパッソ1.0Lの燃費は21.2㎞/Lだったものを27.6㎞/Lまでアップした。これは、約30%もの燃費向上だ。
大幅に燃費が改善された1.0L 1KR型エンジンは、ハイブリッド用エンジンの技術が投入された新世代エンジン群のひとつとされている。トヨタは、こうした低燃費エンジン群を2年間で14機種投入するという。
トヨタには、ヴィッツに搭載された13.5という高圧縮比を実現している1.3Lエンジンがある。パッソにも1.3Lを搭載するグレードが用意されているが、ヴィッツに搭載されている新低燃費エンジンはパッソには採用されいていない。1.3L車は、全体の約10%しか売れないということもあり、放置状態となる。既存の1.3Lエンジンは、アイドリングストップ機能も標準装備されておらず、燃費は19.0㎞/Lと同じまま。つまし、トヨタはパッソは1.0L車を買え! というメッセージを送っているようなものだ。
そして、ハードを開発しているのはダイハツ。そのため、パッソは軽自動車ムーヴと共用されている部分が多い。そのため、ようやく装備されたアイドリングストップ機能は、車両が停止する前の約9㎞/hからエンジンを停止する。これは、ムーヴと同じタイプのアイドリングストップ機能だ。

安全面では、横滑り防止装置(VSC)が標準装備化された。しかし、ムーヴと同じ追突被害軽減自動ブレーキであるスマートアシストは装備されていない。30㎞/h以下という低速限定とはいえ、追突被害軽減自動ブレーキがあるのとないのとは大きな違い。ぜひとも、早く装備してほしい。
パッソの価格は1,098,655~1,652,400円となっている。売れ筋グレードと思われるパッソ +Hanaは、約10万円価格がアップした。この価格アップは、進化したエンジンと燃費性能、そして横滑り防止装置(VSC)の標準装備などによるものだ。
パッソの選び方は、シンプルに乗ることを前提に選ぶと、Xまたは+Hanaという選択になる。それより安い価格のグレードは、装備が貧弱なので一般顧客向けにはあまりお勧めはできない。Xと+Hanaでも、キーフリーシステムは装備されていないので、満足度を高めたいのならXはGとLパッケージ、+HanaならGパッケージという選択になる。
当然、満足度の高いグレードを選択すると、価格もしっかりとアップする。+HanaのGパッケージになると、価格は約150万円。この価格になると、もはや価格競争力は無い。なんと、パッソより少しサイズが大きく1.3Lのホンダ フィットの上級グレードでLEDヘッドライトまで装備されているフィットG・Lパッケージが約150万円だったりするからだ。軽自動でも、約150万円出せば上級グレードやターボモデルも十分変え、さらに税金も安い。また、追突被害軽減自動ブレーキも選ぶことさえできない。この価格や装備では、あえてパッソを選ぶ理由があまり見当たらない。
■価格:1,098,655~1,652,400円