トヨタ ランドクルーザープラド
<LEDヘッドランプや押し出しの強いグリルで、都会派フェイスに大変身。環境性能は進化なし>
トヨタ ランドクルーザープラドトヨタ ランドクルーザープラドは、本格派クロスカントリー車として伝統を重ねているモデルだ。アメリカを中心としたSUV人気もあったが、クロカン4駆として根強い人気を保っていた。2009年にフルモデルチェンジし4代目となったプラドだが、モデルチェンジ毎に、クロカン4駆さは薄れていき都会派SUVテイストがプラスされてきた。4代目のランドクルーザープラドも、背面のスペアタイヤなども無くなり、タフネスさというよりは、洗練さが際立つデザインとなった。こういった流れを受けて、ラフロードでの性能からオンロードでの乗り心地や静粛性など快適を重視したものとなっている。

そんなランドクルーザープラドが、マイナーチェンジして発売を開始した。販売面では、一時期のハイブリッドブームや燃料高騰のあおりを受けて、販売台数が低迷していたことがあった。しかし、近年は年間1万台を超える販売台数を記録し、徐々にクロカン4WDブーム復活の兆しも見え始めている。こういったクロカン4駆は、一定数のファン層に支えられているともいえる。そのため、マイナーチェンジ後の月販販売目標台数は1,000台/月と、なかなか強気な数字。1,000台という数字は多くはないのだが、フルモデルチェンジしたばかりのクラウンマジェスタの月販販売目標は、ハイブリッド車なのにわずか500台。ただのガソリン車で、燃費のよいとはいえないプラドが、いかに売れているかということがよくわかる。

トヨタ ランドクルーザープラドマイナーチェンジでは、エクステリアのデザインを大きく変更。縦格子タイプのフロントグリルは同じだが、それぞれの格子が太くなり、より押し出し感を強調。菱型のヘッドライトは、シャープなツリ目調へ変更され、ロービームおよびクリアランスランプにLEDが採用されたグレードもある。

さらに、フロントバンパー、リヤコンビネーションランプ、リヤガーニッシュのデザインが変更され、力強さと洗練さを絶妙にミックスさせたデザインになった。もはや、マイナーチェンジ前とは、まったく違うクルマにも見えるくらい大きく変貌を遂げている。全体的に、いかにもクロカン4駆といった無骨さは姿を消した。強面の顔つきは、今風のSUV的で都会的。プラドとはいえ、もう泥臭い雰囲気は流行ではないということなのだろう。

外板色には、新色4色(アティチュードブラックマイカ、ブロンズマイカメタリック、ダークグリーンマイカ、ダークブルーマイカ)を含む、全10色が設定されている。

インテリアでは、シート表皮(ファブリック)の材質や、内装・シート色を変更。室内の質感を高めるとともに、スーパーUVカットガラス(フロントドア/撥水機能付)の採用し快適性を向上させている。

メーター関連では、視認性に優れた大型カラーTFT液晶のマルチインフォメーションディスプレイを採用。自車の体勢を表示する傾斜角モニターをはじめ、4輪のトラクションやデフロックの作動などオフロード走行支援を含めた様々な情報を表示し、ドライバーをサポートするなどオフロードでの利便性をアップさせている。

トヨタ ランドクルーザープラドスタイルが都会派SUVを感じさせていることから、走行性能もよりオンロードでのパフォーマンスを意識した変更が施された。サスペンションのチューニングを変更し、オンロードでの走行安定性や乗り心地の向上を実現。オンロード重視ばかりでは、クロカン4駆ファンが離れる恐れもあるので、走行環境に応じて、スイッチ操作でトラクションやブレーキの制御を切り替えるマルチテレインセレクトの走行設定を従来の4モードから5モードへ変更。オフロードの走破性も一段と高めているのも特徴だ。オンとオフ両方のパフォーマンスが向上した。

今回のマイナーチェンジで価格も当然アップした。エントリーグレードの2.7L TX5人乗りが3万円アップ、V6 4LのTZが15万円アップしている。また、今までTXにしかなかった5人乗り仕様車を拡大。TX Lパッケージ(2.7L車)にも5人乗りを追加設定。7人乗りより、価格を15万円下げ買い得感を出している。

さて、トヨタ ランドクルーザープラドの選び方だ。このクルマのセレクトは、なかなか難しい。まずはエンジンの選択だが、車重は2トンを軽く超える。さすがに、2トン超のボディを2.7Lエンジンと4速AT、さらに4WDという組み合わせでは、加速性能などで少々ストレスがたまるのは確実。もし、それが我慢できるなら、装備と価格のバランスの良さでTX Lパッケージということになる。2.7L車は、LEDヘッドライトが約12万円のオプション。もはや、プラドのインパクトはこのLEDヘッドライトありきなので、ぜひとも装着したい装備だ。

やはり、高速道路などで余裕の走りを求めるなら、4Lエンジンが良い。価格は425万円からと、2.7L車と比べるとかなり高額。さらに、4L車はTZ-Gにはエアサスが装備され65万円アップの490万円。シートも本革、パワーシートとなるので、どうせ4L車を選ぶならTZ-Gがおすすめだ。

燃費は二の次というようなクロカン4駆ではあるものの、マイナーチェンジでは、せめてアイドリングストップ機能くらいは装備してほしいところだ。もはや、軽自動車でさえアイドリングストップ機能が標準装備化されていて、660ccという排気量でありながら積極的にCO2の排出量を減らす努力をしている。それなのに2.7Lや4Lという軽自動車の数倍もあるプラドにアイドリングストップが無いのはいただけない。そんなことをしなくても、顧客はプラドを買うという自信なのだろうか。アウトドアに使われるケースが多いクロカン4駆だけに、スタイルだけでなく、もう少し環境性能に関して努力する必要があるだろう。
■価格
TX(2.7L) 4AT 5人乗り  3,180,000円
“Lパッケージ”  3,620,000円
TX(2.7L) 4AT 7人乗り  3,330,000円
“Lパッケージ” 3,770,000円
TZ(4.0L)5AT 7人乗り  4,250,000円
TZ-G(4.0L)5AT 7人乗り 4,900,000円


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