ダイムラーAGの小型シティコミューター「スマート フォー トゥー」[現行型] 現行型は三菱製のエンジンが搭載されている。

次期「スマート」と「ルノー トゥインゴ」が親戚関係に

ルノー トゥインゴ[現行型]は旧型ルーテシアのプラットフォームを流用。さらに東欧の工場で低コストで製造されている点が特長だ。

 ルノー・日産アライアンスとダイムラーAGは4月7日、ベルギー ブリュッセルにおいて正式に戦略的提携を発表した。2013年以降に発売される小型車「スマート」と「ルノー トゥインゴ」の次期モデルについて共同開発するほか、エンジンなどのパワートレインの相互供給や、ルノーの小型商用バンのメルセデスへの供給などが実施される。さらに日産が開発する電気自動車やバッテリー技術の共同開発についても今後検討される見込みだ。ルノー・日産アライアンスとダイムラーの間では一度限り、それぞれに3.1%の相互出資が行われる。
 ディーター ツェッチェ ダイムラーAG取締役会長 兼 メルセデスベンツ会長は会見で「両グループには高い補完性があり、力を合わせることで、当社は速やかに小型車セグメントで長期的な競争力を向上するとともに、CO2排出量削減が実現できる。」と表明。共同開発車についても「ブランド・アイデンティティを損なうことは一切ない」とした。

ダイムラーとルノー・日産の新世代小型車はどんなクルマ?

スマート フォーフォー[現行型] 「三菱 コルト」のプラットフォームを用いて造られた。

 さて、ダイムラーとルノー・日産連合が生み出す次世代小型車はどういったものになるのだろう。今回の記者発表によれば、「スマート フォートゥー」(2人乗り)、「スマート フォーフォー」(4人乗り)の後継車と、次期「ルノー トゥインゴ」は、共同開発される設計思想に基づく車体構造を採用するという。その特長のひとつとして、現行スマートフォートゥーの独創的なリアエンジン・後輪駆動のレイアウトを採用する点が挙げられる。またエンジン仕様車に加え、電気自動車仕様も登場する点も注目される。現行スマートやトゥインゴは個性的なデザインも大きな特長だが、新型もそれぞれ異なるデザインを有するといい、兄弟車とはいえ全く別のクルマとして成立させるようだ。
 この次世代スマートとトゥインゴは2013年以降の市場投入が予定され、スマートが生産されるフランス ハンバッハ工場で2人乗り仕様を、ルノーのスロベニア ノヴォ・メスト工場で4人乗り仕様をそれぞれ生産する。スマートは現在電気自動車仕様の生産を計画しており、いっぽうルノーは日産が開発する電気自動車技術を有する。これらの技術のうちどちらが採用されるかについては今回明らかにされていない。

メルセデスベンツとフーガのパーツを共用化!?

日産 フーガ[現行型:海外では「インフィニティ Mシリーズ」として発売]

 さて、そのほかの提携内容についても紹介していこう。まずはパワートレインにおける3社の共有化だ。ルノー・日産アライアンスは小型車向けの3気筒・4気筒ガソリンおよびディーゼルエンジンをダイムラーに供給し、メルセデスベンツの小型車に載せる。またダイムラーは、日産の高級車ブランド「インフィニティ」向けに4気筒・6気筒を含むガソリン及びディーゼルエンジンを供給する。さらに3社は今後、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの共同開発も進める。
 続いて商用車部門だ。メルセデスベンツのエントリークラス商用バンを補完するため、ルノーの技術を用いてルノーの工場で生産する小型商用車を2012年以降追加する。さらにメルセデスの中型バン「ヴィト」向けにルノー・日産アライアンスの小型ディーゼルエンジンとトランスミッションを供給する。
 今回、主に小型車部門での提携が先行しているが、ルノー・日産アライアンスとダイムラーでは将来的に協業の分野を拡大するため、あらゆる可能性を検討する。具体的には電気自動車とバッテリー技術の共同開発や、日産の高級車インフィニティ(日本では「スカイライン」や「フーガ」など)とメルセデスベンツの共通モジュールや構成部品、さらに米・中・欧における日産・インフィニティ・ダイムラーの協業などだ。どれも興味深い内容であり、今後の動向が注目される。

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