達人・松下 宏&国沢 光宏 vs イマドキの若者がガチで討論!

ところでキミたち、クルマは好き!?

 クルマが売れないのは若者のクルマ離れのせいだ……、というのは耳にタコができるほど聞き飽きた言葉。でも、それって大人側(というか、クルマ好き側)からの意見で、実際に見聞きしたうえでの意見でもあまりなさそう。まぁ、好きっていうのは確実に減っているような気はするけど、ホントのところはどうなんだろうか?
 というわけで、今回は達人でお馴染み自動車評論家、松下 宏氏&国沢 光宏氏が伝統のクルマ好き代表として登場。対して、若者代表は男子が八木 翔介くんで、女子が宮本 彩加さんと、もちろん現役の大学生。大岡編集長も乱入して、「ところで君たち、クルマ嫌い?」と、ケンケンガクガク、ホンネバトルの開始!
松下宏 氏 国沢光宏 氏 八木翔介くん 宮本彩加さん
松下宏 氏
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。
国沢光宏 氏
歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。
八木翔介くん
大学3年生。住まいは東京都下の武蔵村山で、移動はもっぱら電車。アルバイト代は そのまま友達との飲み代へ。卒業後は就職せずにベンチャー企業を立ち上げるのが夢 とのこと。
宮本彩加さん
大学3年生。アルバイトは八木くんと同じ塾の講師で、こちらも移動は電車が中心。 都内練馬区在住ということで、国沢氏と住まいがとても近いことが発覚。対談内容に 影響するか!?

運転なんて、別に楽しくもない。疲れちゃって「もういいや」って感じ?(八木)

クルマ愛を熱く達人・松下 宏&国沢 光宏 国沢:そもそもさ、君ら免許持っているの?
八木& 宮本:ハイ、持ってます!
国沢:それじゃあさ、運転は楽しいと思うでしょ?
八木& 宮本:楽しくないです!!
(スタッフ一堂ガクッ)
八木:疲れるし……。
(さらにガクッ&ズルッ)

大岡:疲れるって、どういうことよ〜。ドライブ行って、ああ楽しいなぁ、っていうのはないわけ?
八木:最初だけ楽しかった。行きは楽しくて運転したけど、帰りはもう飽きるし、疲れちゃってもういいやって感じっすかね。
国沢:最初だけって"行き"のことか。オレはさあ、電車のほうが疲れるよ。それにクルマを運転しながらアイデアを練ったりとかね。クルマのほうがしやすいでしょ。
松下:考え事できる? 逆に運転に集中してるのが楽しいというか、ああクルマに乗っているなぁ、とシミジミ思えるね。
宮本:電車のほうがいいですよ、時間読めるし、安いし。
松下:でも、都内を動くのはクルマのほうが絶対に早いって。
国沢:彼ら、都内は松下さんみたいにあちこち動かないもん。確かに税金とか駐車場代も高いしな。そもそも憧れで買わないから、無理してでも楽しく乗らない。だから欲しくもないし、乗っても楽しくないってことになるんだろうね。
(大人側、意気消沈……)

デートにクルマ?必要ないでしょ。家でまったりするのが楽しいの(宮本)

イマドキの若者代表、現役大学生の若者代表、八木 翔介くん&宮本 彩加さん 大岡:でも、デートにクルマって必要でしょう!?
宮本:いや〜、必要はないですよ。必要なとき家のクルマでもいいし……。
松下:昔はさ、良い女をゲットするには良いクルマが必要だったわけ。「オレ、こんな高いクルマ買えるんだぜ、凄いだろ」って。それにクルマがあると幸せになる思っていたもんな。
宮本:逆にかっこ悪いですよ。
大岡:自分なんて免許取ってすぐにクルマ買ってイジリまくって、それでナンパに行くわけ。湘南なんてそんなのばっかりだから、大渋滞。1km行くのに1時間もかかっちゃうけどさ、男同士で行って女同士で来ているのと、ひとりずつ入れ替わったりして……。ウヒヒヒ〜。
八木:(ちょっとひいてる)・・・飲みに行ったほうが手っ取り早いですよ。それこそ、隣の女の子たちに声かければいいじゃないですか。酔った勢いもあるし(笑)。
国沢:飲みに行く、ってどこへ行くの?
八木:居酒屋だよね、チェーンの。
宮本:そうだね。
大岡:オレもよく行ったよ、村さ来とか養老の滝とか……
八木& 宮本:???
国沢:それでいくら使うの?
宮本:3000円ぐらいかな。ノミホー(飲み放題 ※編集部注)プラスで4000円とか。
国沢:そりゃ、クルマ買うわけないよ!

意味なくクルマで走り回って、夕日なんか観に行っちゃうのが楽しいんだけどなあ〜(国沢)

昔は、クルマで意味なく走り回るだけでも楽しかったのに・・・と嘆く国沢 光宏 氏 大岡:でも、デートにクルマあったほうがいいんじゃない? ないより、あったほうがいいでしょ。
宮本:別にぃ〜。
八木:誰か持っていればいいかなぐらいですかね。運転するのは絶対にイヤ!
国沢:意味もなく運転しているのが楽しかったし、海まで行って夕日がきれいだなぁ、が幸せを感じる瞬間だったんだけどね。
大岡:クルマがあれば、いろんなことできるよ。密室だから、あんなことやことんなことも……。
宮本:だったら、家でまったりがいいですよ。そっちのほうがゆっくりできるし。
大岡:疲れないし、というわけね。オレなんか場所探して、グルグル回ったのに〜。
八木:なんの場所ですか?
大岡:聞かないで〜。
若者代表 八木 翔介 クン vs ウルサガタ代表!? 達人 国沢 光宏!

エエッ!?クルマ何台も持つなんてアリエナイ!意味わかんない!(宮本)

達人たちのクルマ武勇伝を聞き「えー信じられない!」と呆れ顔!?の現役女子大生 宮本 彩加 サン 大岡:聞けば聞くほど、クルマ離れも当たり前といった感じですけど、女の子が「いいクルマじゃないと私イヤ!」って言ったら、またクルマ売れますかね。
国沢:ぜったーいに売れる。
松下:そりゃ売れるよ。
国沢:買える買えないは別として、気になるクルマってある?
八木& 宮本:とくにないよね〜。
大岡:CMとか見るでしょ。
八木:新しいのがやってても、ハァ〜、ぐらい。でも、携帯の新機種だったら、オオッと思って見ますけどね。
国沢:携帯か。じゃあ、バイト代とか何に使っているの??
八木:服かな
松下:一度買っても捨てないんでしょ?
八木& 宮本:そう!
松下:それじゃあ、クルマも売れるわけないよね。国沢さん、ってたとえば20歳から30歳の間で何台クルマ買った?
国沢:20台!!
宮本:エエッ、信じられない!! なんでそんなに欲しいんですか? 何台も持っているって考えられないんですけど。

「クルマのローン、男の60回払い!」なんてジマン、もう過去の話かな・・・(松下)

クルマに対する想いについて終始平行線を辿っていた若者代表のふたり 国沢:もうこうなっちゃうと価値感というか、人生観の問題。たとえば、アラフォーとかの世代。大岡くんが走り回っていた頃の世代の女性と遊ぼうと思ったら、今でもやっぱり"良いクルマ"とか"高いレストラン"とかね、必要なのよ。それが当たり前なんだから、その世代には。
宮本:ウチらの場合は、今がよければっていうのもありますもん。
松下:そういう選択肢もあり、ってことだよ。無理してローン組んで「男の60回払い」なんて自慢している時代もあったわけだし。もうそれはないでしょ。

国沢:でも君たちが25歳とかになったら、少し変るんじゃない。
大岡:じゃあ、クルマも少しは売れるようになりますかね。
松下:でも、スポーツカーとかにはいかないでしょ。
宮本:なんでもいいんですよ。でも、スポーツカーとかはなぁ。とくにオープンカーは最悪。格好悪い……。
大岡:実用重視か。なんか明るくないですね。

じゃっかん顔が引きつっているような気がしないでもない、複雑な表情をした達人おふたり。でも最後はワカモノたちと握手!

消化不良のまま・・・熱く握手を交わす対談メンバーの4人

嗚呼、問題は相当に根深いのだった・・・

 よく言われるように、携帯にお金がかかるからクルマを買わない、なんていう単純な問題でないことがわかったのは今回の収穫。若者のクルマ離れじゃなくて、そもそも彼ら、離れる以前にクルマやドライブに対して元々興味がまったくないし、したくもないというのがホンネなんだろう。平行線というか、大人側もご意見番のふたりをもってしても勢いを削がれるほどで、どうすればいいんでしょうか? 
 彼らの人生観をいかに覆すか。そもそも覆せるのか。根深い問題なのは確かで、ここまで言われちゃうとメーカーはもっと苦しいだろうな、というのだけは明白な結論。

( まとめ:近藤 暁史[office-MUSHROOM]/Photo:CORISM編集部 )


【2009年 新車スクープ 特別企画】スクープ&大予想!ご意見番・松下 宏 & 国沢 光宏が未曾有の不況に見舞われた2009年度の自動車業界を占う![その1]

【特集】  written by CORISM編集部 (2009.02.17)

CORISMが特集でお届けする新車スクープ&大予想!毎年恒例となりました、年頭のニューモデル予想、不況の厳しき今年はまさに波瀾に満ちた状況になりそう。というわけで、松下宏氏と国沢光宏氏、そして大岡編集長も加わって大胆予想してもらいましょう! >> 記事全文を読む