日産 キューブ エクステリア フロント 画像

若者ウケ「キューブ」も50歳代に人気 !?

 もうずいぶん前から若者のクルマ離れというテーマが、話題にのぼり続けている。正直、もう飽き飽きしているのだが、11月末に発売された2台の新車の受注状況を聞いて、改めて事の重大さを認識した。
 その2台の新車とは、日産のキューブとトヨタのiQだ。両車とも200万円を切る比較的リーズナブルな価格帯のクルマで、いかにも若者ウケしそうなデザインだ。とくに、日産キューブにおいては、若者のつながりを意識し、徹底した若者向けのプロダクトでもある。さらに、プロモーションではアーティストのコブクロを起用しMTV(ミュージックチャンネル)とタイアップするなど、若者へのリーチに果敢に挑戦している。
 そんなキューブの発売1ヶ月後の受注状況は約8700台に登り、月販目標の2倍に達するなど好調なセールスを記録。そ・れ・な・の・に・・・・、なんと、29歳以下の購入年齢層の構成比はわずか14.4%! ほんの13年前までは20歳代だったボクから見ても、いかにも20歳代が好んで選びそうなクルマなのにである・・・。
 それに対して、もう十分にオヤジ世代、人によっては孫までいるような50歳代以上の構成比が34.3%にもなるのである。

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日産 キューブ エクステリア リヤ 画像
日産 キューブ インテリア インストルメントパネル  画像

「iQ」購入年齢層も驚くべき構成比!

 トヨタのiQは、同じく発売1ヶ月で約8000台を受注(販売目標は2500台)。29歳以下の購入年齢層の構成比は、驚愕の7%ときた。50歳代以上の構成比も驚きの54%である。このクルマのアメージングフィルムなども、キューブ同様にいかにも若者ウケするものだ。iQはプロダクトアウトの商品で、マーケティングを駆使したマーケットアウトの商品とは違う。と、アピールしてはいるものの、トヨタの関係者もこの年齢構成比は驚きだったようで、ここまで高年齢層に受け入れられるとは思わなかった、ともらすほどだ。
 保守派のオヤジ予備軍代表として、ボクはちょっとこの手のクルマに乗るのが恥ずかしいと思ってしまう。しかし、世の50歳代以上のオヤジ達のハートは若い。若者向けのプロダクトであろうが、50歳オーバーのオヤジ達が好んで買っている。

トヨタ iQ エクステリア フロント 画像
トヨタ iQ エクステリア リヤ 画像
トヨタ iQ インテリア インストルメントパネル  画像

 

マーケティング転換期か…

 そういえば、確かにこうなりそうな予兆はあった。リーズナブルな若者ファッションを販売するユニクロなどにも、結構なオヤジ達が奥さんと一緒に買い物に来ている姿が、もう普通になっている。今年の冬にユニクロでヒットしたヒートテック(暖かい発熱する下着)も、オヤジ達に絶賛だ。プロモーションは、思いっきり若者ですが・・・。
 そう思うと、個人の嗜好を無視して世代別にターゲットを明確にするようなマーケティングのあり方が違うのか。それとも、オヤジたちの購買意欲に衰えがなく、若者たちには購買意欲がなくなるほど本当にお金が無いのか。クルマのマーケティングも大きな転換期にあるのかもしれない。

ホンダ インサイト エクステリア フロント 画像
ホンダ インサイト エクステリア リヤ 画像
ホンダ インサイト インテリア インストルメントパネル  画像

安価な「インサイト」購入層に注目!

 さて、09年はホンダからインサイト、トヨタからプリウスというハイブリッドカーがそれぞれ発売される。とくに、注目したいのはインサイトの購入層。200万円を切るという安価なハイブリッドカーがどういうユーザーに受け入れられるのだろうか。こういったハイブリッドカーは、年齢別にセグメントして販売するようなクルマではなく、環境とかセーブマネー(燃料費)などのユーザーの嗜好がポイントになる。プリウスに比べれば十分に安価になっているので、ホンダそのもののブランドと共に若者にも十分に受け入れられやすい環境にはある。
 発売は2月初旬。どんな人がインサイトを買うのか、今から楽しみである。

達人プロフィール: 大岡 智彦
職業:コリズム編集長
自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。