ホンダ 新型 アコード エクステリア

ホンダの世界戦略車、でも国内では・・・

ホンダ 新型 アコード/アコードツアラー フロントマスク

 ホンダは12月4日、ミディアムセダン「アコード」をフルモデルチェンジするとともに、ワゴンモデルの「アコードツアラー」を発表した。発売は翌5日からとなる。
 ホンダ アコードは、ホンダの世界戦略モデルとして重要な役割を果たすクルマだ。1976(昭和51)年に登場した初代アコード以来、今モデルで8代目。日本のみならず北米や欧州、アジアなど各国のホンダ工場で現地生産も行われるなど、世界中で愛され続けるブランドとなっている。しかし日本に転じてみると、失礼ながらあまりその名を最近聞かなくなってしまった感がある。
 これはアコードに限ったことではないが、軽やコンパクトカーの人気が加速的に進むいっぽう、多人数乗車を求めるファミリー層は使い勝手の良いミニバンへと移行してしまった。結果として、10年前の1997年には全体の50%を占めていたセダンジャンルも、07年には15%弱の市場へと縮小しているのだ。

ホンダ 新型 アコード フロントマスク
ホンダ 新型 アコード サイドビュー
ホンダ 新型 アコード リアビュー

 とはいえ国内各自動車メーカーともいまだにセダンを1車種以上はラインナップしており、全くニーズがないというワケでもない。もっとも、近年はセダンも高級車系と実用車系に二極化が進んでおり、アコードが属するミディアムクラスは苦戦を強いられているのが現状だ。200万円級のアコードが月400台程度しか売れない中、3、400万円級の「日産 スカイライン セダン」が900台、4、500万円級の輸入車「メルセデス Cクラス」や「BMW 3シリーズ」に至っては月1000台以上がコンスタントに売れているというのだから驚かされる。
そんな状況下で誕生した日本仕様の8代目新型「アコード」は、思い切った上級移行を狙った。
 ベンツCクラスやスカイラインを求めるユーザーはクルマに対する強いこだわりを持っており、要求レベルも高い。そんな彼らを満足させるべく、「Advanced Quality」をテーマに、デザインや運動性能、品質面に至るまでこだわり設計された。

ホンダ 新型 アコードツアラー フロントマスク
ホンダ 新型 アコードツアラー サイドビュー
ホンダ 新型 アコードツアラー リアビュー
ホンダ 新型 アコードツアラー エクステリア

ミディアムセダンから”プレミアム”セダンへと進化した理由とは

ホンダ 新型 アコード リアエンド

 新型「アコード」のボディサイズは全長x全幅x全高が4730x1840x1440mm(「アコードツアラー」は4750x1840x1470mm)、ホイールベースは2705mm。先代アコードに比べ全長で65mm、全幅で80mmも拡大している。ちなみに「トヨタ クラウン ロイヤル」は全長x全幅x全高4870x1795x1470mm、ホイールベース2850mm。「日産 スカイライン セダン」は全長x全幅x全高4755x1770x1450mm、ホイールベース2850mm。新型アコードは、これらのLクラスモデルにも負けない立派な体格へと成長した(してしまった)。
 先に記したように「アコード」はホンダの世界戦略モデルで、仕向け地によって大きく仕様を変えたバリエーションが存在する。ちなみに北米向けアコードは日本向けよりさらにボディサイズが大きく、V6エンジンもラインナップする。この北米向けアコードを仕様変更したモデル、実は既に日本へと投入されている。それが現行型の「インスパイア」だ。

ホンダ アコード(欧州仕様)
ホンダ アコード(欧州仕様)
ホンダ インスパイア
ホンダ インスパイア
アキュラ TSX(北米仕様車) エクステリア
アキュラ TSX(北米仕様車)

 それでは今度の日本仕様アコードはというと、こちらは欧州仕様のアコードをベースに造られている。ややこしい話を加えるとすれば、主に北米で展開するホンダの高級ブランド「アキュラ」(トヨタの「レクサス」に相当)で売られている「アキュラ TSX」も、今回の日本向けアコードの兄弟車に相当する。
 新型アコードは、実のところ当初08年秋より日本でも展開予定だったアキュラ店(その後、延期することが発表済み)で売られるモデルだったのでは?と推察すると、上級移行を図ったという話とも妙につじつまが合う。これはあくまでも推察に過ぎず、公式発表があった話でもないのでこのあたりに留めておくが、いずれにせよ従来型に比べ新型アコードは内外装ともに随分と上質なイメージに変化していることに驚かされるはずだ。

ホンダ 新型 アコード セダン インテリア
セダンのインテリア。8代目アコードはステアリングコラムブーツから収納の内側に至るまで様々な質感向上にも細かな配慮が加えられている。
ホンダ 新型 アコードツアラー リアシート
アコードツアラーのリアシートは6:4分割可倒式。ワンモーションでフォールダウンでき、フルフラットの荷室が確保される。
ホンダ 新型 アコードツアラー フロントシート
上体を支える形状を持たせたフロントシート。腰部も自然に包まれるように設計されクルマとの一体感が得られるように仕上げられている。
ホンダ 新型 アコードツアラー ラゲッジルーム
アコードツアラーのスクエアで扱いやすいラゲッジルーム。5名乗車時で406リッター、2名乗車時で660リッターの十分な容量を持つ(VDA法)。
ホンダ 新型 アコード トランクルーム
こちらはアコードのトランクルーム。先代モデルに比べ開口地上高を80mm下げ、さらに開口部自体も拡大するなどし使い勝手を向上させている。
ホンダ 新型 アコードツアラー インパネ周り
本革風のシボの風合いと金属の質感とのコントラストで高級感を高めたインパネ周り。視認性の高い外周指針メーター採用もニュースだ。

VSAと操舵力アシストによる協調制御を実現

ホンダ 新型 アコードツアラー リアエンド

 エンジンラインナップは「アコードセダン」「アコードツアラー」ともに直4 2.4リッター DOHC i-VTEC「K24A」型1機種のみ。先代モデルまで存在した2.0リッターモデルは消滅した。K24A型エンジンの最高出力206ps(151kW)/7000rpm、最大トルク23.7kg-m(232N・m)/4300rpmと、十分過ぎる高性能を持つ。トランスミッションもパドルシフト付きの5速ATのみ。先代アコードに存在した6速マニュアル搭載の「ユーロR」のようなスポーツグレードは今のところ設定がないが、エアロパーツや18インチアルミ、ダーククロームメッキグリルなどが装備されたスポーツグレード「24TL SPORTS STYLE」はセダン・ワゴンともに設定されている。
 サスペンションは、形式こそ前:ダブルウイッシュボーン式、後:マルチリンク式と先代といっしょだが一新された。車体も軽量かつ高剛性化が図られて、さらに静粛性の向上についても一段と配慮がなされた。また新型オデッセイに続きアコードでもフロントピラーのスリム化が実施され、前方視界を大幅に向上させている。このような改善は、地味ながらユーザーにとってもウレシイニュースだ。

ホンダ 新型 アコード 直4 2.4リッター DOHC i-VTEC「K24A」型エンジン
新型アコードに搭載される直4 2.4リッター DOHC i-VTEC「K24A」型エンジン。シリーズ全体で1機種のみのラインナップとなる。
ホンダ 新型 アコードツアラー 「24TL SPORTS STYLE」
アコードツアラーのスポーツグレード「24TL SPORTS STYLE」は本革コンビのブラックインテリアや専用のスポーティな外装を持つ。
ホンダ 新型 アコード 低重心シャシー
サスペンション形式は前:ダブルウイッシュボーン式、後:マルチリンク式を採用。低重心化を図り、一体感のある走りを生み出す。

 安全面では「VSA(車両挙動安定化制御システム)」と操舵力アシスト制御「Motion Adaptive EPS」が全車に標準装備された点は大きく評価すべきだろう。コーナリングや濡れた路面における挙動の乱れに対して、車両を安定方向へとアシストしてくれる心強いシステムだ。さらに一部グレードには、車速/車間制御機能「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」、車線維持支援システム「LKAS(レーンキープ・アシストシステム)」、追突軽減ブレーキ「CMBS」+Eプリテンショナーなども装備する。また受動面では、サイドエアバッグ、サイドカーテンエアバッグなど6つのSRSエアバッグシステムを標準装備。J-NCAPで6つ星レベル相当という「G-CON」安全ボディも心強い。

 価格はセダンタイプの「アコード」が「24E」2,700,000円から「24iL」3,800,000円まで。ワゴンタイプの「アコードツアラー」が「24E」2,950,000円から「24iL」4,100,000円まで(共に消費税込み)。2.0リッターモデルが消滅したこともあって、メイン価格帯は300万円台へと移行している。
 プレミアムな領域へと踏み入れた新生「アコード」「アコードツアラー」。決して数が出るモデルではないが、こだわりの強いセダン派・ステーションワゴン派に支持されるか、注目が集まる。

ホンダ 新型 アコードツアラー 「VSA(車両挙動安定化制御システム)」と操舵力アシスト制御「Motion Adaptive EPS」を標準装備
「VSA(車両挙動安定化制御システム)」と操舵力アシスト制御「Motion Adaptive EPS」を標準装備し、万が一の時のサポートをしてくれるから心強い。
ホンダ 新型 アコード サイドエアバッグ、サイドカーテンエアバッグなど6つのSRSエアバッグシステムを標準装備
サイドエアバッグ、サイドカーテンエアバッグなど6つのSRSエアバッグシステムのほか、フロントアクティブヘッドレストなどを全車に標準装備する。
ホンダ 新型 アコード 自己保護のみならず相手車両への攻撃性も低減する「コンパティビリティ対応ボディ」を採用
ホンダ独自の衝突安全技術「G-CON」では、自己保護のみならず相手車両への攻撃性も低減する「コンパティビリティ対応ボディ」を採用する。
ホンダ 新型 アコード/アコードツアラー エクステリア

( Photo:ホンダ・CORISM編集部/レポート:CORISM編集部 徳田 透 )

代表グレード
24TL
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4730x1840x1440mm
車両重量[kg]
1510kg
総排気量[cc]
2354cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
206ps(151kW)/7000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
23.7kg-m(232N・m)/4300rpm
トランスミッション
5速AT(パドルシフト付き)
10・15モード燃焼[km/l]
11.8km/L
定員[人]
5人
消費税込価格[万円]
290.0万円
発売日
2008/12/5
レポート
CORISM編集部 徳田 透
写真
本田技研工業・CORISM編集部

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