GM燃料電池車 記者発表

燃料電池車でも、ダウンサイジングをしないのがアメリカ流

 ハイブリッド車の開発はもちろんのこと、燃料電池車の実用化は今や世界の自動車メーカーに対して必須の項目として課せられている。日本のメーカーが先端を行っているこの分野、他国のメーカーではどうなっているのだろうか? 今回、GMが記者発表を行なったのでレポートしよう。
 もちろんGMも各種環境仕様車の開発を行なっている。日本人には馴染みがないだけで、じつはハイブリッドを実用化しており、タホを皮切りに続々と搭載車種を増やしていく予定だ。システム的にはミッション内にモーターを組み込んでいるのが特徴で、4WDも含めた後輪駆動を前提としているのが注目すべき点だろう。ただし、タホだけでなく、搭載予定のユーコンやキャデラック エスカレードなど、すべてフルサイズSUV。たとえば、タホで市街地燃費が50%改善とのこと。「その前にダウンサイジイングしたら?」というのが、ハイブリッド慣れした日本人としての率直な意見で、アメリカでの主力車種であり、まずは搭載したということなのだろうが、ハイブリッドにすればなんでも売れるというわけでもないだけに先行きには不安が残る。ただし、同じシステムを懐かしいサターン オーラに搭載しており、こちらは2.4リッター直4と組み合わせているので、棲み分けは考えているようだ。

実用化目前のGM製燃料電池車シボレー エクイノックス

 そして燃料電池車だが、シボレー エクイノックスと呼ばれるモデルとなる。こちらも氷点下での始動が可能など、実用化の段階に入っており、世界各地で大規模な市場テストを実施中。著名人やメディア、さらには一般ドライバーにまで貸与されて、さまざまな情報を収集中とのこと。ここで気になったのが、日本でのテストの話。
 結論から言うと、日本ではテストは実施されていない。今回、会場に展示された1台が国内にはあるのみ。GMの側から積極的に普及促進において政府に働きかけても、結局は規制の壁が厚く、実走テストを行なうまでのハードルが高すぎるという。それをクリアしてまでテストをする必要性はGMにはないわけで、結局、アジアでは中国と韓国でのテストがメインになってしまっている。金融などでよく言われることだが、日本市場の優位性が将来的には損なわれ、中国の上海などに移転していまう可能性は低くはないだろう。そのうち、日本には参入しないメーカーが増えなければいいのだが。

シボレー エクイノックス 燃料電池ユニット
すでに100台以上が市場に投入されて走っている。性能的に見ても実用性は高く、問題とされてきて氷点下での連続始動も可能だ。
サターン オーラ ハイブリッド エクステリア
久しぶりに見る日本でのサターンの新車だ。内容的に、日本車のハイブリッドと大きな違いはないが、4速ATというのは気になる。
スズキ SX4 燃料電池車
スズキの株式を売却してしまったGMだが、進行しているプロジェクトは継続される。SX4の燃料電池車のシステムはGM製だ。