“普通”にカイゼンしライバルに対向!
シトロエンの私のイメージと言えば、独創的なスタイルと機能を思い浮かぶ。7年振りのフルモデルチェンジをしたC5の第一印象は「普通になった」。しかしジックリ見るとデザインやメッキの使いかたなどは「やっぱりシトロエンだな」と感じる。C6と同様に他車に真似できないスタイルが欲しかったが、ライバルとなるBMW3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスに対向するには、必要なカイゼンだったのだろう。
C5はセダンとツアラー(ワゴン)の二種類のボディに、直列4気筒2.0L(143ps)とV型6気筒3.0L(215ps)の二種類パワーユニットが用意されている。
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堂々としたサイズの3.0Lセダン
最初に試乗したのが3.0Lセダンのフル装備のエクスクルーシブ。全長は4.79m、全幅は1.86mと堂々としたサイズでワイド&ローのスタイルは数値以上の大きさを感じる。ミドルサイズセダンと言うよりフルサイズに近く、一方、車両価格は479万円でミドルサイズの価格である。
インテリアはクール&モダンで、シトロエン伝統の世界が広がっている。メーターはアナログとデジタルを併用し様々な情報が得られる。またセンターパッドが固定のステアリングで、センターパッドにはオーディオ類だけではなく様々なスイッチが配置されていて便利であるが、数が多いので慣れないとブラインドタッチは難しい。上質なレザーを使ったシートはプレミアム感がたっぷりで、運転席にはマッサージ機能まで付いている。助手席のシートは革が滑りやすく身体を保持するのが山道では難儀であった。一方後席はシートサイズ及びホールド性も良く、C5では一番の快適な場所で迷わずに座りたい。
3.0Lエンジン+6速ATは必要十分であるが、ゆったりとした特性で、ドイツ車を運転している時のような急かされた気持ちにはならない。
サスペンションはシトロエン独特のスプリングとダンパーを取り去り、代わりに窒素ガスとオイルを使用したハイドラクティブ�プラスである。ノーマルモードとスポーツモードの切り替えスイッチがあるが、走行条件によりセンサーからの信号で刻々と変化させるためか、どのスイッチを選んでも大きな差は分からなかった。乗り心地は独特で、柔らかいけどコーナーではロールが少なく快適でクルマの最大の美点である。
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操縦性に驚くツアラー2.0
次に乗ったツアラー2.0(ワゴン)は大きなガラスルーフを装備されていて、一段と開放感がある。シートはハーフレザーであるがフィット感も高く、フルレザーに比べると豪華でないが、お洒落度はこちらの方が上である。
2.0L+4速ATはこの大柄の車体には辛い。特にトルクが必要な上り坂では、4速という事もあり、なかなか加速をしてくれない。普通のペースでは問題なるほどでは無いのだが、荷物も満載し大人4人乗車では厳しいだろう、と思っていたら、段々スピードが出てくるとエンジンに活気が出てくる。勿論、V6比べて音も大きくうるさいのだが、速度が上がると印象は一変し、常用速度レンジの高いヨーロッパのクルマだと感心した。更に驚いたのが、操縦性で、V6モデルに比べてフロントの軽さを誰にでも実感出来る。特に下り坂は、ハイドラクティブの長所である安定性が高く、ロールの少なさはスポーツカーに乗っているかのようであった。
普通に近づいたC5であるがシトロエンの伝統は息づいていてクルマに飽きた人に乗って欲しい。2.0Lモデルのお買い得感はとても高く(セダン399万円)、新しい刺激が欲しい人にお勧めしたいクルマである。
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代表グレード
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C5 ツアラー 2.0
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4845×1860×1490mm
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車両重量[kg]
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1690kg
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総排気量[cc]
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1997cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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143ps(103kw)/6000rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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20.8kg-m(200N・m)/4000rpm
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ミッション
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電子制御4速AT(シーケンシャルモード付)
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定員[人]
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5人
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税込価格[万円]
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419万円
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発売日
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2008年10月1日
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