個性派プレミアムSUVが、日産の重要な世界戦略モデルへと発展
新型 ムラーノは、斬新なエクステリアで強烈な個性を放った初代のアイデンティティを継承。さらにダイナミックさとエレガントさをも加えたスタイリングとした。またプラットフォームを一新し、最新のALL MODE 4x4-iやエクストロニックCVTなどの採用により、更なる快適性とスポーツ性能を両立させた。インテリアの質感も向上させ、プレミアムSUVらしい高級感を高めている点も見逃せない。エンジンラインナップは初代同様にV6 3.5リッターと直4 2.5リッターの2機種。FFは廃止され、全車4WDとなる。全方位に渡り大きな進化を遂げた新型 ムラーノ。その詳細について解説してゆく。
初代の個性にエレガントさとダイナミックさをプラス
新型 ムラーノのボディサイズは、全長x全幅x全高が4825x1895x1700mm。全長で55mm、全幅で15mm、全高で15mmほど先代より拡大している。ホイールベースは1830mmと変わりなく、最小回転半径も先代同様に5.7mだ。寸法的には、主にフロントバンパー部が延伸されたほかはあまり大きな変化はない。
ムラーノのハイライトといえば、やはりその個性的なスタイリングだろう。初代ムラーノは、何よりその未来的フォルムが国内外で高く評価された。新型ムラーノでは、初代モデルが放った繊細で都会的な個性に加え、多用した曲面の交差によって、エレガントさとダイナミックさを大胆に表現した。それはつまり、新型 ムラーノに与えられた世界戦略車としての使命に他ならない。原油価格の高騰を受け、SUVの本場である北米こそ市場の冷え込みを見せているものの、アジア・中東、そしてロシア市場などSUVのマーケットはまだまだ大きく、今後も拡大の余地がある。新型 ムラーノは、かの地でSUVに求められる力強さやたくましさと、プレミアムカーらしい上質感を同時に表現。個性的な”ムラーノらしさ”を残しつつ、より広い世界で受け入れられる普遍性を与えたのだ。今度のデザインが世界でどのように評価されるのか、興味は尽きない。
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プレミアムカーらしい上質で居心地の良いインテリア
いっぽうインテリアについても、新型 ムラーノでは大きな進化を遂げている。先代 ムラーノのインテリアは、日産のスポーツカー「フェアレディZ」を想わせるメーターデザインが象徴するように、シンプルでスポーティな仕上げが特長だった。新型では一転、プレミアムカーらしい質感を備えることに力が注がれた。インパネはボリューム感のあるデザインとし、本アルミ素材の多用による装飾によって新しい高級感を与えた。シート形状も改善されたほか、ソフトパッドを使用した柔らかな質感のアームレストや、ツインタイプのスタイリッシュガラスルーフによる採光、LEDによる雰囲気照明の採用など、贅沢な空間造りの演出が細部に渡り施されている。
ボディサイズがほとんど変化ないことから、室内空間自体が格段に拡大したわけではない。しかし前席アームレストとドアアームレストの高さ位置を合わせたり、後席膝周りのスペースを拡大したりすることで、数値には表れない快適性は高まったという。
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新Dプラットフォーム採用がムラーノのプレミアム度を高める
新型ムラーノの技術的ハイライトとして第一に挙げられるのが、新Dプラットフォームの採用だ。これは新型「ティアナ」などから採用が始まった、Dセグメント車両向けの新設計プラットフォームである。軽量化と高強度・高剛性化を両立させ、さらに遮音性も高いのが自慢。背の高いムラーノ向けにエンジン搭載位置を低くし、重心高を下げたことで操縦性を高めた。プレミアム度を増した新型 ムラーノを陰から支える立役者となる。
サスペンション形式は先代同様にフロント:ストラット式、リア:マルチリンク式だが、取り付け点の剛性を高め安定性の向上と振動の低下を図った。また4輪リバウンドスプリング内蔵ショックアブソーバー採用により、乗り心地も向上させた。
今回のモデルではFFモデルが廃止され、3.5リッター、2.5リッター車共に全車4WDとなった。エクストレイルに搭載し評価の高い4WDシステム「ALL MODE 4x4-i」を新たに採用。横滑り防止装置「VDC」の全車標準採用と相まって、適正な前後トルク配分を行うシステムとし、操縦安定性を大幅にアップさせた。
エンジンは従来型同様にV型6気筒 3.5リッター「VQ35DE」型と直列4気筒 2.5リッター「QR25DE」型の2機種。共に出力特性や燃費性能を改善させた。組み合わされるのはエクストロニックCVT。約700の変速パターンを組み込んだ適応型変速制御ASC(アダプティブシフトコントロール)もまた、レスポンスの向上や燃費に寄与する。その結果、10.15モード燃費は3.5リッターが9.3km/L、2.5リッターが11.4km/Lをマークする。ちなみに初代ムラーノのFF 2.5リッターよりも、4WD仕様の新型ムラーノのほうが燃費が向上しているという。なお2.5リッター版のみレギュラーガソリン仕様である。
プレミアムなおもてなし装備で世界と戦う
装備面においても「プレミアムSUV」らしい快適さが追求されている。上級グレードにはツインガラスサンルーフの「スタイリッシュガラスルーフ」、本革+前席パワーシートなどが標準装備。さらに全車でプッシュエンジンスターター、インテリジェントキー、イモビライザー、サイドブラインドモニターやバックビューモニターが標準装備される。ただし日産ご自慢の「アラウンドビューモニター」が、なぜか設定すら無いのは唯一残念なところである。
この他HDDタイプのナビゲーションシステムとツインのBOXサブウーハーを含む11スピーカーを搭載する「BOSEサウンドシステム」装着車を全車に設定。プレミアムな音響空間を作り出す。またこのほか、さらに後席用の電動開閉式9インチモニターも用意されている。
価格は2.5リッターのベーシック版「250XL FOUR」3,150,000円から、3.5リッターの上級版「350XV FOUR」4,042,500円まで(共に消費税込み)。日本国内での販売目標台数は月900台と控えめ。だが成長著しい世界の高級SUV市場を明確なターゲットにしており、日産にとっても気合十分なモデルチェンジとなった。その仕上がりが楽しみな1台だ。
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( Photo:日産自動車・佐藤 靖彦・CORISM編集部/レポート:CORISM編集部 徳田 透 )
代表グレード
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350XV FOUR(4WD)
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4825x1895x1730mm(ルーフレール付き)
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車両重量[kg]
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1850kg
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総排気量[cc]
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3498cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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260ps(191kW)/6000rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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34.4kg-m(336N・m)/4400rpm
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トランスミッション
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エクストロニックCVT-M6
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10・15モード燃焼[km/l]
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9.3km/L
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定員[人]
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5人
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消費税込価格[万円]
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4,042,500円
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発売日
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2008年9月29日
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レポート
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CORISM編集部 徳田 透
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写真
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日産自動車・佐藤 靖彦・CORISM編集部
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