日産 新型 ムラーノ 250XV FOUR エクステリア

ガリバーズEYE

ユーザ視点に立ったガリバー独自の「安全基準」「環境・燃費基準」「経済性」という新たな評価軸を用いてクルマを評価いたします。

個性派プレミアムSUVが、日産の重要な世界戦略モデルへと発展

 9月29日、日産の高級SUV「ムラーノ」が4年ぶりにフルモデルチェンジを実施した。今回のモデルで2代目となる。02年11月、北米専用モデルとして発売された初代 ムラーノは、デビュー早々に年に6〜8万台を売るヒットモデルとなった。その人気ぶりを受け、04年9月に発売を開始した日本を含め、当初予定がなかった世界各国でも販路を拡大。最終的には80ヶ国以上で、トータル50万台を販売する成功作となった。そして新型 ムラーノではその規模をさらに拡大。世界170ヶ国で売る、日産の重要な世界戦略モデルへと発展した。新型 ムラーノの果たす責任は、先代以上に大きいものになったのだ。
 新型 ムラーノは、斬新なエクステリアで強烈な個性を放った初代のアイデンティティを継承。さらにダイナミックさとエレガントさをも加えたスタイリングとした。またプラットフォームを一新し、最新のALL MODE 4x4-iやエクストロニックCVTなどの採用により、更なる快適性とスポーツ性能を両立させた。インテリアの質感も向上させ、プレミアムSUVらしい高級感を高めている点も見逃せない。エンジンラインナップは初代同様にV6 3.5リッターと直4 2.5リッターの2機種。FFは廃止され、全車4WDとなる。全方位に渡り大きな進化を遂げた新型 ムラーノ。その詳細について解説してゆく。
日産 新型 ムラーノ リアビュー

初代の個性にエレガントさとダイナミックさをプラス

日産 新型 ムラーノ 未来的な雰囲気の4連サークルヘッドランプ

 新型 ムラーノのボディサイズは、全長x全幅x全高が4825x1895x1700mm。全長で55mm、全幅で15mm、全高で15mmほど先代より拡大している。ホイールベースは1830mmと変わりなく、最小回転半径も先代同様に5.7mだ。寸法的には、主にフロントバンパー部が延伸されたほかはあまり大きな変化はない。
 ムラーノのハイライトといえば、やはりその個性的なスタイリングだろう。初代ムラーノは、何よりその未来的フォルムが国内外で高く評価された。新型ムラーノでは、初代モデルが放った繊細で都会的な個性に加え、多用した曲面の交差によって、エレガントさとダイナミックさを大胆に表現した。それはつまり、新型 ムラーノに与えられた世界戦略車としての使命に他ならない。原油価格の高騰を受け、SUVの本場である北米こそ市場の冷え込みを見せているものの、アジア・中東、そしてロシア市場などSUVのマーケットはまだまだ大きく、今後も拡大の余地がある。新型 ムラーノは、かの地でSUVに求められる力強さやたくましさと、プレミアムカーらしい上質感を同時に表現。個性的な”ムラーノらしさ”を残しつつ、より広い世界で受け入れられる普遍性を与えたのだ。今度のデザインが世界でどのように評価されるのか、興味は尽きない。

日産 新型 ムラーノ LEDを採用したリアコンビランプ
LEDを採用したリアコンビランプはヘッドランプのイメージを呼応する立体的な造形。
日産 新型 ムラーノ 初代のイメージを継承しつつ、SUVらしい力強さとプレミアム度を増したフロントグリル
初代のイメージを継承しつつ、SUVらしい力強さとプレミアム度を増したフロントグリル。
日産 新型 ムラーノ 力強さを強調する18インチ金属調塗装アルミホイール
力強さを強調する18インチ金属調塗装アルミホイールは上級モデルに標準装着される。

プレミアムカーらしい上質で居心地の良いインテリア

日産 新型 ムラーノ 立体感が増したモダンなインテリア

 いっぽうインテリアについても、新型 ムラーノでは大きな進化を遂げている。先代 ムラーノのインテリアは、日産のスポーツカー「フェアレディZ」を想わせるメーターデザインが象徴するように、シンプルでスポーティな仕上げが特長だった。新型では一転、プレミアムカーらしい質感を備えることに力が注がれた。インパネはボリューム感のあるデザインとし、本アルミ素材の多用による装飾によって新しい高級感を与えた。シート形状も改善されたほか、ソフトパッドを使用した柔らかな質感のアームレストや、ツインタイプのスタイリッシュガラスルーフによる採光、LEDによる雰囲気照明の採用など、贅沢な空間造りの演出が細部に渡り施されている。
 ボディサイズがほとんど変化ないことから、室内空間自体が格段に拡大したわけではない。しかし前席アームレストとドアアームレストの高さ位置を合わせたり、後席膝周りのスペースを拡大したりすることで、数値には表れない快適性は高まったという。

日産 新型 ムラーノ 初代とは一転、ボリューム感を増したインパネ周り
初代とは一転、ボリューム感を増し質感を向上させたインパネ周り。
日産 新型 ムラーノ ソフトパッドを採用したアームレスト
ソフトパッドを採用した柔らかなタッチが特長のアームレスト。
日産 新型 ムラーノ 形状が改善され快適度が増したリアシート
形状の改善や素材の吟味などにより快適度が増したリアシート。
日産 新型 ムラーノ 大型のツインサンルーフ「スタイリッシュガラスルーフ」
大型のツインサンルーフ「スタイリッシュガラスルーフ」はフロントのみ電動でチルト・スライド可能。
日産 新型 ムラーノ 電動復帰タイプのリモコン可倒式リアシート
先代にも採用されたリモコン可倒式リアシートはさらに電動でシートバックを起こすことが可能となった。
日産 新型 ムラーノ ボタン操作でオープンする「カーゴデバイダー」
ボタン操作でラゲッジボードが開く「カーゴデバイダー」でVDA値402リッターの広大な荷室を仕切る。

新Dプラットフォーム採用がムラーノのプレミアム度を高める

日産 新型 ムラーノ ASC(アダプティブシフトコントロール付き)新型エクストロニックCVT

 新型ムラーノの技術的ハイライトとして第一に挙げられるのが、新Dプラットフォームの採用だ。これは新型「ティアナ」などから採用が始まった、Dセグメント車両向けの新設計プラットフォームである。軽量化と高強度・高剛性化を両立させ、さらに遮音性も高いのが自慢。背の高いムラーノ向けにエンジン搭載位置を低くし、重心高を下げたことで操縦性を高めた。プレミアム度を増した新型 ムラーノを陰から支える立役者となる。
 サスペンション形式は先代同様にフロント:ストラット式、リア:マルチリンク式だが、取り付け点の剛性を高め安定性の向上と振動の低下を図った。また4輪リバウンドスプリング内蔵ショックアブソーバー採用により、乗り心地も向上させた。
 今回のモデルではFFモデルが廃止され、3.5リッター、2.5リッター車共に全車4WDとなった。エクストレイルに搭載し評価の高い4WDシステム「ALL MODE 4x4-i」を新たに採用。横滑り防止装置「VDC」の全車標準採用と相まって、適正な前後トルク配分を行うシステムとし、操縦安定性を大幅にアップさせた。
 エンジンは従来型同様にV型6気筒 3.5リッター「VQ35DE」型と直列4気筒 2.5リッター「QR25DE」型の2機種。共に出力特性や燃費性能を改善させた。組み合わされるのはエクストロニックCVT。約700の変速パターンを組み込んだ適応型変速制御ASC(アダプティブシフトコントロール)もまた、レスポンスの向上や燃費に寄与する。その結果、10.15モード燃費は3.5リッターが9.3km/L、2.5リッターが11.4km/Lをマークする。ちなみに初代ムラーノのFF 2.5リッターよりも、4WD仕様の新型ムラーノのほうが燃費が向上しているという。なお2.5リッター版のみレギュラーガソリン仕様である。

日産 新型 ムラーノ V6 3.5リッター「VQ35DE」型エンジン
V6 3.5リッター「VQ35DE」型エンジンは、最高出力260ps(191kW)/6000rpm、最大トルク34.3kg-m(336N・m)/4400rpm。6速マニュアルモード付きエクストロニックCVTと組み合わされる。
日産 新型 ムラーノ 直4 2.5リッター「QR35DE」型エンジン
直4 2.5リッター「QR35DE」型エンジンは最高出力170ps(125kW)/5600rpm、最大トルク25.0kg-m(245N・m)/3900rpmと先代より性能を向上させた。こちらはレギュラーガソリン対応なのがウレシイ。
日産 新型 ムラーノ ASC(アダプティブシフトコントロール付き)新型エクストロニックCVT
新型エクストロニックCVTは約700もの適応型変速制御のパターンを持つASC(アダプティブシフトコントロール付き)を採用。従来のCVTに比べ、燃費や動力性能が大幅に向上させているという。

プレミアムなおもてなし装備で世界と戦う

日産 新型 ムラーノ プッシュエンジンスターター

 装備面においても「プレミアムSUV」らしい快適さが追求されている。上級グレードにはツインガラスサンルーフの「スタイリッシュガラスルーフ」、本革+前席パワーシートなどが標準装備。さらに全車でプッシュエンジンスターター、インテリジェントキー、イモビライザー、サイドブラインドモニターやバックビューモニターが標準装備される。ただし日産ご自慢の「アラウンドビューモニター」が、なぜか設定すら無いのは唯一残念なところである。
 この他HDDタイプのナビゲーションシステムとツインのBOXサブウーハーを含む11スピーカーを搭載する「BOSEサウンドシステム」装着車を全車に設定。プレミアムな音響空間を作り出す。またこのほか、さらに後席用の電動開閉式9インチモニターも用意されている。
 価格は2.5リッターのベーシック版「250XL FOUR」3,150,000円から、3.5リッターの上級版「350XV FOUR」4,042,500円まで(共に消費税込み)。日本国内での販売目標台数は月900台と控えめ。だが成長著しい世界の高級SUV市場を明確なターゲットにしており、日産にとっても気合十分なモデルチェンジとなった。その仕上がりが楽しみな1台だ。

日産 新型 ムラーノ マイルドフローエアコン
インパネ上部に専用の吹出し口を設け直接風を受けないようにする「マイルドフローエアコン」。
日産 新型 ムラーノ リモコンオートバックドア
運転席スイッチかリモコンキーで電動操作が可能な「リモコンオートバックドア」は全車オプション。
日産 新型 ムラーノ ツインモニターシステム
後席に9インチの電動開閉式ディスプレイを設けた「ツインモニターシステム」。
日産 新型 ムラーノ エクステリア
ムラーノの新車見積もり
希望しない電話は一切なし
2日以内のスピード回答
よくわからない諸費用を含めてお見積もり
新車見積もりはこちら

( Photo:日産自動車・佐藤 靖彦・CORISM編集部/レポート:CORISM編集部 徳田 透 )

代表グレード
350XV FOUR(4WD)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4825x1895x1730mm(ルーフレール付き)
車両重量[kg]
1850kg
総排気量[cc]
3498cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
260ps(191kW)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
34.4kg-m(336N・m)/4400rpm
トランスミッション
エクストロニックCVT-M6
10・15モード燃焼[km/l]
9.3km/L
定員[人]
5人
消費税込価格[万円]
4,042,500円
発売日
2008年9月29日
レポート
CORISM編集部 徳田 透
写真
日産自動車・佐藤 靖彦・CORISM編集部

日産 ニュー ムラーノ 関連記事はコチラもチェック!

【日産 新型 ムラーノ 発表会レポート】最先端モードのプレミアムSUV「新型 ムラーノ」は、匠の職人技で丹精込めて仕上げられた”作品”だった!

【特集】  written by CORISM編集部 (2008.09.29)

斬新なデザインで話題を呼んだSUV「日産 ムラーノ」の日本デビューから、丸4年。早くもこのタイミングでフルモデルチェンジを実施する。9月29日、東京・東銀座の日産本社ギャラリーにて記者発表が行われたのでさっそくレポートしよう。 >> 記事全文を読む


【ポルトガルから緊急レポ!】速報!新型「ムラーノ」試乗! 世界の日産車が一堂に!『日産360』試乗レポート その1

【新車情報】  written by 松下 宏 (2008.06.09)

日産自動車がポルトガルのリスボン郊外で『日産360』と題するイベントを開催した。これは世界中(360)で生産・販売されている日産車を一堂に集め、一気に試乗してもらおうというイベントだ。日本未発売の新型ムラーノを始め、アルティマ ハイブリッド、アルティマ クーペの試乗レポートをお届けする! >> 記事全文を読む


【速報! 日産 新型「ムラーノ」北米で初披露!】「日本デビューは08年秋!?」LAオートショーで新型『日産 ムラーノ』世界デビュー!

【新車情報】 (2007.11.15)

日産自動車は、米国ロサンゼルスで11月14日より開催されるLAオートショー(LA Auto Show)で、世界初公開の新型「ムラーノ」を出展する。流麗なフォルムはそのままに、さらに魅力的に進化を遂げた! >> 記事全文を読む


遂にデビュー!デュアルパネルムーンルーフを採用し室内の開放感を演出した日産 新型「ムラーノ」画像集

【新車情報】 (2007.11.22)

LAオートショーで世界デビューを果たし、2008年1月上旬米国での発売が予定されている日産 新型「ムラーノ」を画像でチェック! >> 記事全文を読む


【速報:日産 新型 ムラーノ 新車情報】「ムラーノ」遂にフルモデルチェンジ! 日本向け仕様、9月発売へ!「新型ムラーノスペシャルサイト」で日本仕様車を先行公開

【新車情報】 (2008.08.25)

日産は、9月に発表する新型「ムラーノ」のフルモデルチェンジ情報を、発売に先立ち日産のホームページ「新型ムラーノスペシャルサイト」上で一般公開した。 >> 記事全文を読む