安全が乗員全員に平等じゃない恐ろしさ!
みなさん、今お乗りのクルマの後席中央に3点式シートベルト付いていますか?
とくに最近発売された新型車などは、後席中央に3点式シートベルトが付いているか付いていないかで、自動車メーカーの安全思想の本音が見え隠れする。クルマの安全性性能は大切だと思う人は、そんなところに注目してクルマ選びをするといい。
後席の中央に座り2点式シートベルしかないまま事故に合うとどうなるのかというと、固定されない上半身は激しく前後左右に振られ、前方のシートや左右の同乗者にぶつかることが予想できる。シートベルトを装着せずに後席で体重50kgの人が40km/hで走行して事故に合うと体重の50倍、約1.5トンの力が前席に座る同乗者に加わるという。2点式シートベルトでなんとか下半身は支えているものの、それに近い力が自分と左右の同乗者に加わるとなるとゾッとしまうはずだ。
つまり、後席3人乗りのクルマで全員シートベルトを装着しても、中央席が2点式だと本来ケガをしなくてよい左右の人まで怪我をする恐れがある。もっと原点に帰れば、後席に3人分のシートがあるのに、その安全性は乗員全員が平等ではなく中央席の安全性は明らかに低いのだ。
平成24年7月全車装備へ…メーカーの対応は?
ということで、国土交通省も平成18年度3月に道路運送車両の保安基準が改正され、平成24年7月から製造されるすべてのクルマの後席の中央席には3点式シートベルトが装備されることになった。
そこで注目して欲しいのが、平成18年度3月以降に登場してきている新車。いったいどれほどの新型車に後席の中央席に3点式シートベルトが装備されているかだ。驚くことに2年半ほど経っているのに、輸入車と一部の高級車を除き装着されていないのが現状だ。
どの自動車メーカーも環境と安全は最重要課題だという。エアバッグも安全ボディもシートベルトを装着していなければ、なんの意味ももたない。ところが、そんな安全装備で最も重要なシートベルトに関して手を抜いているといわざるを得ないのだ。ここ3年ほど、新型車が出るたびにコリズムでは後席中央の3点式シートベルトを装備しないわけを開発者に尋ねてきた。
安全な海外仕様と危険な日本仕様、安全装備の矛盾。その理由とは?
その多くの答えが「コストがかかるから」「後席に3人座ることはあまりないから」「クルマが重くなるので燃費が悪くなるので」「法律は24年の7月からまだいいでしょう」といったところだ。このコメントに、安全性に関して前向きなものは、ほとんど感じない。
それどころか、同じ車種でヨーロッパやアメリカ向けに輸出しているクルマには、後席中央の席にはしっかりと3点式シートベルトが標準装備されている。それなのになぜ、日本仕様は安全性に劣る2点式のシートベルトをわざわざ作り変えて採用するのか? と問うと、途端に口が重くなる。法律が変わるギリギリまで、シートベルトさえもコストダウンして利益を得ようということなのだろうか。
こういった考え方がまかり通るのはなぜなのだろう。色々考えた結果、日本のクルマ作りに思想がないのではないからだと感じた。つまり、なににおいてもマーケティング優先の考え方だ。シートベルトを例に出すと、日本のユーザーはそんなことに興味がないから、2点式のシートベルトでも大丈夫。そのほうが儲かる。ヨーロッパやアメリカは、法律でも決められているしユーザーの安全意識も高いので3点式は必須だよね。簡単だがそんな考え方なのではないだろうか。
騙されてはいけない。“安全・環境”がマーケティング手法になっている?
安全・環境とどの自動車メーカーもいっているが、それはマーケティング的に安全・環境を前面に出すメーカーはユーザーに支持されたり共感されたり、ブランド力が上がったりということが結果として出ているからなのだろう。それが真実だとしたら、我々は非常に脆弱なクルマ選びをしているのかもしれない。
安全・環境という言葉がマーケティング手法のひとつとして使われているのでは、懐疑的になり安心してクルマを選べなくなってしまうはずだ。
ボク個人の願いとしては、自動車メーカーは安全・環境を思想として持っていてもらいたいと思うのだ。思想はマーケティングの上流に位置し、時代や流行に流されない普遍的なものであるべきだと考える。
クルマが家電選びと大きく違うのは、自分や同乗者、そして歩行者や他のクルマなどなど命に大きくかかわるものであるということだ。デザインや燃費、価格で選ぶだけでなく後席中央に3点式が付いているかいないか、そんなところにも注目して欲しい。
後席中央にあるもの、2点式か3点式シートベルトか、それは自動車メーカーの良心なのかもしれない。
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