後席シートベルトは「着けないと危ない」から着けるんです!

 この6月1日からいよいよ後席シートベルトの着用が義務化された。着用を怠った場合罰則あり、ってこともあってか、新聞やニュースなどでも大きく扱われた。賢明な『CORISM』読者の皆さんならもう既にご存知だろう。
 しかし!罰則があるから着けるんじゃない。危ないから着けるのだ!というオハナシが、これらのニュースではあまり語られていなかったのが『CORISM』的に不満。まずは論より証拠、下の写真をご覧頂きたい。

運転席、後席左側は3点式シートベルト着用。中央席は2点式着用。そして後席右側(運転席後ろ)はシートベルト非着用(07年4月19日に行われた「JAFユーザーテスト」の模様より)

衝突実験直前の様子(※各乗員ダミーのシートベルト装着・非装着状態に注目)

運転席、後席左側は3点式シートベルト着用。中央席は2点式着用。そして後席右側(運転席後ろ)はシートベルト非着用。(07年4月19日に行われた「JAFユーザーテスト」の模様より)

※注記:2007年4月19日掲載「JAFユーザーテスト」特集記事内容を一部再構成

シートベルト着用(運転席・後席左)/非着用(後席右・中央)

 テストは出会い頭事故を想定。直線の誘導路を時速25.5km/hで走る白い大型セダン(セルシオ)。直角に交差する誘導路に、時速45km/hで走る銀色のミニバン(ノア)。交差点で、セダンの左側面にミニバンがぶつかる、というシチュエーションである。出会い頭の事故で、ミニバンに乗せられた4名のダミー人形がどのような挙動をするかが実験の主眼。

【衝突直前】運転席、後席左側は3点式シートベルト着用。中央席は2点式着用。そして後席右側(運転席後ろ)はシートベルト非着用(07年4月19日に行われた「JAFユーザーテスト」の模様より)

【衝突!その瞬間】シートベルトを着けていなかった後席の乗員が・・・!

【JAFユーザーテスト】衝突実験、衝撃の瞬間!

 衝突! その瞬間、シートベルト非着用の後席右乗員(女性ダミー)が、前方に吹き飛ばされる。女性ダミーは運転席の背もたれに激突! 運転席シートを前方に動かしてしまうほどの勢いだ。頭部が運転手横に飛び出しているのが写真でも分かる。
 また2点式シートベルト(+ジュニアシート)装着の中央乗員(児童ダミー)は、全体重を一気に腰で支えることになり、物凄い前屈状態となった。万が一シートベルトを腰骨で支えていなかったら・・・腹部にかかっていた場合、内蔵破裂の危険もある・・・

【衝突!その瞬間】シートベルトを着けていなかった後席の乗員が運転席シートを直撃!

 そう、何より問題なのは、後席の非装着者のせいで、前席の装着者を傷付ける、という事実。「運転席シートは丈夫そうだから、後席はベルトなんかしなくっても安全だよ!」・・・と漠然と思っているとすれば、それは想像力が無さ過ぎる。
 例えば体重50kgのヒトが後席でシートベルトをせずに時速40km/hで衝突した場合の衝撃力は約30倍と言われている。そう、実に1.5トンもの力が前の席にかかるということだ!!
 このことを解説するニュース・新聞は、私の観た限りではほとんどなかったように思う。上に載せた写真を見る限りでも、その一端は分かってもらえるだろう。

衝突実験直後の様子(※シートベルト装着・非装着の各乗員のその後に注目)
衝突実験直後の様子(※シートベルト装着・非装着の各乗員のその後に注目)
衝突実験直後の様子だ。運転席は一見平穏なようにも見えるが、良く見るとシートは前に押し出され背もたれは直立。肩のシートベルトも首寄りに掛かっているのが分かる。中央席のジュニアシートも衝撃に耐え切れず機能を果たしてない。

観光バス・高速路線バスだってシートベルトは着用すべし!

観光バス・高速路線バスだってシートベルトは着用すべし!

 さてハナシは変わり。つい昨日(6月5日)、社の研修旅行で観光バスに乗る機会があった。何気なく周りを見渡すと・・・シートベルト装着率の低さに愕然とする!
 身内の恥をさらすようだが、自動車関連企業に勤める社員でこのレベルとは。しかし、どうやら世間一般はコレが現実なようだ。慌てて周囲に装着を促したのは言うまでもない。
 上の衝突実験でも分かるように、事故の際には激しい衝撃が乗員に加わる。その勢いを体だけで支えられないことは言うまでもなく、さらに周囲を傷つけることも忘れてはならない。またもっと恐ろしいのは車外放出。衝突の衝撃で車外に放り出され、高速走行する後続車に轢かれたり、路面に叩き付けられたりしたら・・・即死だ。
 自らの身を守る唯一の手段。それがシートベルトだ。

観光バスの2点式シートベルト装着例
とある観光バスで見かけたシートベルト装着シーン。2点式シートベルトではやはり不安。さらに写真のケースだと、もっと深く腰掛けてベルトも腰部にしっかり装着しないと、万が一の時の安全性が確保出来ない場合もある。
最新の観光バスには3点式シートベルトを装着するものも(三菱 エアロクイーン・特別仕様車)
最新の観光バス・高速路線バス車両には3点式シートベルトを装着するものも。むしろこのほうが装着時の違和感も少なく、抵抗なく着けられるかもしれない。早々の普及に期待したい。
最新の観光バス(三菱 エアロクイーン・特別仕様車)
こちらは最新の観光バス、三菱 エアロクイーン(特別仕様車)。とはいえ、現状の観光バス・高速路線バス車両での3点式シートベルトは、まだまだ普及していないのが現状のようだ。

written by 徳田 透

【後席シートベルト着用の重要性】「知らなかった!」じゃ済まされない! 併せてコチラも必ずチェック!

『後席に乗っても絶対シートベルト!』 JAF公開衝突実験で後席シートベルトの効果を見せつけられる!

【特集】  written by 徳田 透 (2007.04.19)

皆さんは、シートベルトをしているだろうか。「当たり前じゃん」って言っているあなた。後席だとどうだろうか。「え、後席はしなくてもいいんでしょ??」そう思っているヒトは、今日からすぐに改めて欲しい! 「JAFユーザーテスト」実車実験で判った、衝撃の事実から目をそらすな! >> 記事全文を読む


【後席シートベルト】車外放出=即死!? 再確認!! 後席シートベルトの安全性

【達人ISM】  written by こもだ きよし (2007.05.26)

ダミー人形を使った衝突実験をテレビなどで目にしたことはないだろうか? 自分自身も実際に見学に行ったことがあるが、正しくシートベルトをしていなかったために、身を危険に晒してしまうケースが多いのだ! >> 記事全文を読む


死にたくなければシートベルト!

【達人ISM】  written by こもだ きよし (2005.08.07)

最先端の安全装備もシートベルトをしなければ意味がない! >> 記事全文を読む


【巨人・原監督も納得!】『後席に乗ったら、絶対シートベルト!』 原 辰徳・巨人軍監督が、後席シートベルトの重要性を呼びかける!

【特集】 (2007.05.28)

JAFと警察庁の調べによれば、運転席のシートベルト着用率は93.8%。それに対し、後席の装着率はわずか7.5%だという。この深刻な事態に、読売巨人軍「原 辰徳」監督が立ち上がった!! >> 記事全文を読む