
達人「こもだ きよし」が斬る!

職業:モータージャーナリスト
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)、JAF交通安全委員会委員、セーフティドライビング・インストラクター・アカデミー会長、警察庁運転免許制度に関する懇談会委員、BMWドライバー・トレーニング・チーフインストラクターなど...

パワーアップを図った「TTS」、その乗り味は・・・?
第二世代に進化しているアウディTTに、パワーアップしたエンジンを搭載したスポーティバージョン「TTS」が追加された。また、今注目のディーゼルエンジンを搭載した「TTディーゼル」も本国では同時にラインナップに追加された。「TTS」の日本への導入は2008年秋の予定になっているが、「TTディーゼル」に関しては未決定である。
「TTS」のエンジンは、これまでの直列4気筒2リッター直噴ターボをベースとしているが、タービン径を大きなものを採用し、圧縮比も10.5から9.8に下げて大量に空気を取り入れ、ブロックやシリンダーヘッドの合金の種類を変えるなどの補強もされている。これらによりこれまでの200psから272psにパワーアップしたものだ。最高出力200kW(272ps)/6000rpm、最大トルク350Nm/2500-5000rpm、0-100km/h加速は5.2秒、燃費は7.9l/100km(日本式の表示では12.6km/L)というデータが発表されている。
|
![]() |
|
![]() |
|
|
![]() |
|
![]() |
|
ドイツのミュンヘン空港を出発し、アウディ本社のあるインゴルシュタット周辺で試乗したので「TTS」の走行インプレッションをレポートする。
試乗したのは6速ツインクラッチのSトロニック。Dレンジで普通に走るときには特にパワーアップしたエンジンだという感じはしなかった。つまり癖がなく普通に乗れたという意味だ。しかしアクセルペダルを深く踏み込みエンジン回転が上昇すると背中を押される力が時間とともに増していくようなターボエンジンらしい加速感を味わえる。200psのエンジンに対して多少ターボラグはあるが力強さは2段階くらい上になった感じだ。スポーティに走るときはSトロニックのSモードかマニュアルシフト(パドルシフト)を使って走れば、ターボラグも感じにくくなり鋭い加速を常に味わえる。
|
![]() |
|
![]() |
|
高速でも安定感は抜群!! 乗り心地のよさも好印象
これだけ鋭い加速をしても安定性が損なわれることはない。「TTS」はクワトロが標準だからだ。またアウトバーンを飛ばしたときの高速安定性も高いレベルにある。ワインディングロードでのハンドリング性能も素晴らしい。コーナリング時のライントレースはドライバーの意思に忠実で、ターンインでハンドルを切ったときのノーズの動きに遅れはなく、コーナリング中にアクセルペダルを踏んだときのアンダーステアも弱い範囲に留まる。
こうしたハンドリング性能に対して乗り心地が良かったことも印象的だった。これは標準装備のマグネティックライドと呼ばれる可変式ダンパーの効果だ。スポーツモードも選ぶことができるが、ノーマルでも乗り心地とハンドリングのバランスは良かった。「TTS」用に車高が10mm低くされ、専用チューニングが施されている。
新しいスポーティなエンジンとマグネティックライドによるハンドリングと乗り心地の良さで日本でも人気が出るだろう。
|
![]() |
|
![]() |
|
走りの性能の凄さと燃費のよさに、「TTディーゼル」の日本導入を希望!
![]() |
「TTディーセル」のエンジンも非常に魅力的だ。現在6速MTとの組み合わせしかないが、日本でもぜひ乗りたいクルマだ。125kW(170ps)/4200rpm、350Nm/1750-2500rpm、最高速度226km/h、0-100km/h加速7.5秒、燃費5.3L/100km(18.8km/L)というデータからも、走りの性能が凄いのに燃費が良いことが判るだろう。
実際に走ってみても、エンジン回転は最高出力の4200rpmを楽々超えて4600rpmからのゼブラゾーン、さらに5000rpmのレッドゾーンまで回ろうとする。最大トルクは1750-2500rpmだが3000rpmを越えてもますます力が沸き出てくる感じがする。
アイドリングのときにはディーゼルエンジンだなとわかる音がするが、決してうるさい音ではない。走っているときにはディーゼルを忘れるほど音や振動は気にならない。スポーティなモデルだからこそディーゼルエンジンが似合うことをアウディTTが教えてくれているようだ。
ハンドリング性能はTTSに比べるとワインディングロードで少しフロントが重い感じがする程度。それもマグネティックライドをスポーツモードにするとロールが小さくなりノーズの入りも良くなりフロントの重さは気にならなくなる。
|
![]() |
|
![]() |
|
代表グレード
|
TTクーペ 2.0TFSI
|
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
|
4198x1842x1345mm
|
車両重量[kg]
|
1395kg
|
最高出力[ps(kw)/rpm]
|
272ps(200kw)/6000rpm
|
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
|
350N・m/2500-5000rpm
|
ミッション
|
6速MT
|
定員[人]
|
4人
|
レポート
|
菰田 潔
|
写真
|
アウディジャパン
|