SWISSVAX コンコルソ

 日本国内では、自動車の美観やオーナーの品格を競う「コンクールド・エレガンス」というイベントはあまり馴染みがありませんが、アメリカ西海岸や、ヨーロッパ各地では、年間を通して頻繁に開催されています。オーナーは、自らの愛車にありあまる愛情を注ぎ込み、最終仕上げとして最高素材のワックスを塗り込みます。これらワックスは、数社のものが限定されており、すべてに共通しているのが、“天然成分のみ”を原料としているということです。
 
 今回紹介するコダワリワックスは、1930年にスイスで誕生した『SWISSVAX』。創業時から職人の手によって、厳選された原料のみブレンド。最高品質のカルナバにココナッツやシナモンなど天然植物成分のみ含有。化学薬品を一切使用しないため、塗装面やオーナーにも優しく、施工にはスポンジではなく、人肌で塗り込むという独自の方法が推奨されております。
 「SWISSVAX」は、自動車メーカー別の塗料に見合ったブレンドを行い、専用ワックスを多くラインナップしていますが、今回は、全色対応で「コンクールド・エレガンス」専用の「コンコルソ」をテストしてみました。
 
 まず、目を引くのが、パッケージ。まるで、ブルガリの化粧品のような高級感漂うもので、ガレージに並べ眺めているだけでも、楽しいものです。
 カルナバ含有率は、容器中になんと48%!ワックスそのものは、素材の色である黄色。なんともあまい香りが、化学成分含有が皆無である事の証です。通常は、専用の「SWISSVAXクリーナー」を使用し、塗装面に付着した不純物や細かい傷を除去をしてからワクシングを行いますが、今回、施工車が新車ということもあり、下地処理は行わずに施工を敢行しました。

デリケートな塗装面には人肌で塗布!

SWISSVAX コンコルソ
SWISSVAX コンコルソ 手のひらで塗布

 ↑「SWISSVAXコンコルソ」は、高級バターのようなきれいな黄色で、天然植物成分のみで構成されています。スポンジでの塗布も可能ですが、ワックス表面に手をあて体温で温めますと、しっとりと液化してきます。5本の指先にワックスを均等に馴染ませ、塗装表面に刷り込むようなイメージでワクシングを行います。実は、人間の指は最高のスポンジであり、「コンクールド・エレガンス」では、この手法が一般的です。直接皮膚に触れても安全というのは、天然成分ならではといえます。

塗装に馴染ませた後、極細繊維にて素早く拭き上げる。

SWISSVAX コンコルソ 拭き取り

 ↑作業は、フェンダー、ドア・・・とパネル単位で行います。「SWISSVAXコンコルソ」は塗装に深く浸透し、老朽化した塗料層に働きかけ、潤いを取り戻す効果を有しています。そのため、すぐに拭き取りを行うカルナバワックスの常とは異なり、約10分ほど定着させます。その後、超極繊維を使用し、丁寧に拭き上げ、さらにもう一度、磨き上げれば皮膜が均等化し、定着性が向上します。その後、風のない日中、日当たりの良い場所にクルマを移動し、3時間ほど皮膜に“焼き”をいれます。高純度カルナバはいわば樹液。空気に触れることで硬化をし、塗装表面に強固な皮膜を形成します。(3時間は塗装に手を触れてはいけません。)

その艶はまさにコンクールコンディション

SWISSVAX コンコルソ 仕上がり

 この「SWISSVAXコンコルソ」の施工には、週間天気予報で“風のない晴れの日”を事前に確認し、スケジュール帳に次の休日は“クルマ徹底磨き”と記載しておく必要があります。
 確かに、洗車工程から仕上げまでは、手馴れた方でも最低数時間を要しますが、“儀式”に忠実に従い磨き上げた愛車は、本当にうつつを抜かすほど眩い艶を放ちます。それは人工的な、ギラギラ、ヌメッといったものではなく、塗装本来の色合いを決してかえないのも特徴です。
 「コンクールド・エレガンス」の選考基準にオリジナルを保持しているか?という項目があります。オリジナルペイントの発色を美しく見せるワザこそ、コンクールでの常用ワックスであると納得できました。

「SWISSVAXコンコルソ」全色対応 ¥24800

written by 外川 信太郎