初代モデルでは当初600ccのターボが設定されていて、それが後に700ccに排気量アップされたが、今回のモデルでは1000ccの自然吸気エンジンに変更された。このエンジンはかつてダイムラー・クライスラーが傘下に入れていた三菱自動車製のもの。水島工場で生産されているという。
排気量が拡大されたことでパワーは向上したが、ターボから自然吸気になったことで最大トルクは逆にやや低下した。ただ、排気量の余裕から中速域のトルクが厚くなったとのこと。ボディの拡大に合わせてエンジンの拡大も必要だったということだろう。
トランスミッションはATモード付きの電子制御5速のシーケンシャルトランスミッションだ。いわゆるマニュアルオートマと呼ばれているもので、基本構造は従来と同じ。ただ変速時間を従来に比べて半分くらいに短縮しているという。
実際に走らせると、初代モデルに比べると格段に走りやすくなった印象だ。初代スマートではエンジンがすぐに吹き上がり、急いでレバー操作をして6速のギアをフルに使って走る感じだった。それが今回のモデルでは排気量が大きくなってエンジン性能に余裕が出たこともあって、よりゆったり走らせることができるようになった。
ATモードに設定して停止状態から加速していくと、6000回転から始まるレッドゾーンまで回って50km/hに達したあたりで2速に変速する。さらに3速にシフトアップするのはレッドゾーンに入って6300回転くらいまで回った後で、この時点では80km/hに達している。変速時にトルクの抜けがあるのは相変わらずだが、それも初代モデルに比べると格段に改善されているマニュアルモードで運転してもレバー操作に追われるようなことはない。
ボディが大きくなってホイールベースも延長されたため、乗り心地はかなり良くなった。といってもまだまだ限界があるのだが、初代モデルがちょっとした段差がでポンポン飛ぶような感じあったのに比べると、確実に乗り心地が良い方向に進んでいる。
ステアリングのフィールは据え切りのときには手応えが足りなくて頼りない感じもあるが、走り出した後は一定の手応えがあって操舵フィールもそれほど悪くない。前輪の荷重が軽いのでFF車のような感じにはならないが、不安や不満を感じる操舵感ではない。
●お勧めグレード
スマート・フォーツーにはクーペとカブリオの2モデルが設定されているだけで、それぞれのボディごとにグレードが設定されているわけではない。なので、お勧めグレードというのも難しいが、一般的にはクーペを選び、遊び心がいっぱいの人はカブリオを選べばいい。価格はクーペが176万円で、カブリオが205万円と30万円ほどの違いがある。