日本自動車レース工業会(JMIA) 理事及び会長・副会長が勢揃い

日本の自動車レースの現状と将来に危機感

 3月11日、都内でJMIA(日本自動車レース工業会)の発足発表会が行われた。「日本コンストラクター・ユニオン」と「日本レーシングエンジン・ユニオン」という業界団体の上部組織として生まれたJMIA。両者ともに『ドライバーの腕比べや育成だけに終始する日本の自動車レースの現状と将来に危機感』(プレスリリースより)を抱いていたことから、日本の自動車レースの発展振興と根底からの改革を目指し今回の発足となった。
 初代会長は、日本唯一の本格的なレーシングカーコンストラクター「童夢(どうむ)」の社長、林 みのる氏。名誉会長に自民党モータースポーツ議連にも所属する国土交通省副大臣の平井 たくや氏が就任する。さらに副会長にTOM’S社長の大岩 湛矣(きよし)氏が就くほか、理事などにも日本のレース界の重鎮たちが一挙に揃った。
 林氏は記者発表の席で、海外の技術に頼り開発・設計などを全て海外へ丸投げする日本のレース界に「内心忸怩(じくじ)たる思いだった」と話す。日本が持つ高い工業力や技術力が、先端技術開発競争の場としての自動車レースの世界に生かされていない現状を嘆いていたのだ。そんな中で「言いだしっぺ」(林氏談)として会長に就任した。JMIAの基本理念は『自動車レースは、自動車開発技術の戦いである』。そんな思いを基に、根本からの改革に乗り出すことになった。

JMIA初代会長 レーシングカーコンストラクター「童夢(どうむ)」林 みのる 社長
JMIA初代会長は、レーシングカーコンストラクター「童夢(どうむ)」の林 みのる 社長。
JMIA名誉会長に就任した国土交通省副大臣の平井 たくや氏
JMIA名誉会長に就任した国土交通省副大臣の平井 たくや氏。自民党モータースポーツ議連にも所属する。
JMIA副会長 株式会社トムス(TOM’S)社長の大岩 湛矣(きよし)氏
JMIA副会長には、株式会社トムス(TOM’S)社長の大岩 湛矣(きよし)氏が就く。

多岐に渡るJMIAの活動内容

 JMIAが目指す活動内容は多岐に渡る。その1つが、JMIAの技術委員会設置だ。日本の自動車レースにおいては、しばしば技術的見識不足によるレギュレーション制定などが行われている。そのような現状を、JMIAの専門家により設置する技術委員会が理論的かつ化学的に是正。将来的には、JMIA技術委員会がレギュレーションを制定するような構造へと変えてゆくことを目指す。
 さらにアマチュアレースに対するいくつかの施策も注目される。そのひとつが汎用モノコックの市販化だ。現在、廉価ながら安全性には難があるスチールフレームを使用するFJクラスなどに対し、安全だが高価だったカーボン(CFRP)モノコックをJMIAが廉価に製造・供給出来る体制を構築してゆく。
 汎用レーシング・エンジンについても、安価なエンジンの開発製造も計画する。部品点数を減らしトータルコストを低減させるいっぽう、吸排気系などを容易に換えられる汎用性も持たせる。コチラは09年3月にテストエンジンの火入れを目標とし、200万円程度の価格を目指す。
 また、新たなレースカテゴリ「F660(仮称)」の立ち上げも計画する。これは軽自動車用の市販660ccエンジンを搭載し前出の汎用モノコックを用いて行うレースで、技術開発競争を戦いの本質とするJMIAの理念とも合致する。また投資費用を抑えることで、コンストラクターを目指す者を支援するという目論見もある。

 JMIA副会長の大岩氏は会見で「自動車は文明だが、自動車レースは文化である」と話す。1963年の第一回日本グランプリ以来、日本のレース界も既に50年近い“文化”を育んできた。「これからの50年後どう発展し、日本人の心にどう残るかを、将来の後輩たちにも育てていって欲しい」とJMIAの将来に大きな期待を述べた。

( Photo&レポート:CORISM編集部 )

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