童夢 S102 エクステリア

今度はクローズドボディ

 レーシングカーコンストラクター「童夢(どうむ)」は3月11日、新しいレーシングカー"童夢 S102"の発表を行った。1979年の初挑戦以来、同社16回目のチャレンジとなるルマン24時間レースへ参戦するマシンだ。昨年まで使用していたS101(S101.5)がオープンだったのに対し、S102はクローズドタイプとした。童夢ではこれをレギュレーション変更によるブランニューだと説明する。
 記者発表をおこなった童夢の林 みのる社長は「2,3年で決着をつけたい」と、数年以内にS102でルマンの表彰台を目指していることを表明した。その入れ込みようは半端ではない。レースで培ったノウハウを基に童夢が新たに立ち上げたカーボンコンポジットの新会社、童夢カーボンマジック社の奥 明栄 社長を、再び技術部門へと現役復帰させたほどだ。奥氏も、S102のコンセプトを「ルマンで一番速いクルマ。すなわちP.P(ポールポジション)を取るクルマです」と明言した。

童夢 S102 フロントセクション
童夢 S102 サイドビュー
童夢 S102 リアビュー
童夢 林 みのる社長
童夢の林 みのる社長。スーパーカー世代にとっては彼が生み出した「童夢-零」の名前にグッとくる人も多いのでは。
童夢カーボンマジック社の奥 明栄 社長
カーボンコンポジット製造ノウハウを基に立ち上げた童夢カーボンマジック社の奥 明栄 社長。元々、童夢技術部門のエースだった。
童夢S102 空力テスト用のスケールモデル
コチラは発表会場に展示してあった童夢S102のスケールモデル。自社の風洞実験設備「風流舎」での綿密なテストにより、空力性能が高められた。

エアロダイナミズムと美しさの両立

 自社内に50%スケールの風洞実験設備「風流舎」を持つ童夢らしく、フェンダーの峰の谷間からサイド、そしてリアスポイラーへ、フロントセクションからフロア下への空気の抜けなど、エアロダイナミズムには強いこだわりを持つ。数値の上でも、前モデル「S101.5」に対しDrag(空気抵抗)で−9%、フロントダウンフォースで+18%、L/D値(抗力係数)で+32%向上している。しかしそのいっぽうで、なんとも美しいスタイリングを成立させている点もS102こだわりのポイントであり、また歴代の童夢マシン共通の美点といえる。
 また、重量わずか80kgというカーボンモノコックは、まさに奥氏の得意とするところ。カーボンフレーム、カーボンギアボックスとともに、高強度・高剛性を誇るという。オープンモデルに対し弱みとなる重心高も、より低くよりセンター寄りとなるよう設計したという。

 レース活動や自動車メーカーの開発受託業務などで得た利益などをつぎ込んでまで参加し続けてきた、童夢のルマンへの挑戦。林代表は、今年63歳だという自身の年齢を挙げて「そろそろ決着をつけたい」とする。S102は、3年以内に「決着づける」(林代表談)ためのマシンという位置づけだ。純国産レースカーコンストラクターのあくなき挑戦。その大きな成果への過程は、今後ともじっくり見守ってゆきたいところだ。

童夢 S102 ルマン参戦車両のイメージCG
童夢 S102 ルマン参戦車両のイメージCG。展示車とはヘッドライトの有無などの差異がある点に注意。
童夢 S102 ルマン参戦車両のイメージCG リアビュー
こちらはリアビュー。空気の流れを上手く処理した結果、実に流麗なフォルムが生み出された。
童夢 S102 カーボンモノコックのコンポジット構造
童夢 S102用カーボンモノコックのコンポジット構造。高強度高剛性で、かつ軽量に造られている。
童夢 S102 エクステリア
童夢 S102 童夢本社屋前にて

( Photo:童夢・CORISM編集部/レポート:CORISM編集部 )

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