新体制で迎えた08年のホンダF1
ホンダは3月10日、今週末に迫ったF1世界選手権開幕を目前に、東京都内にて2008年のホンダF1参戦体制について記者会見を行った。
08年の『Honda Racing F1 Team』は、チームプリンシバルに元フェラーリF1チームのロス・ブロウン氏を迎え、チームCEO ニック・フライ氏、ディピュティマネージングディレクター 中本 修平氏とともに今シーズンを戦う。
08年は、全マシン共通ECU(電子制御システム)導入やトラクションコントロールの廃止など大きなレギュレーション変更がある。トラクションを稼ぐエアロダイナミズムのチューニングは、各チームの命運を分けると言っても過言ではない。ロス・ブロウン氏はスペイン・へレス サーキットで行われた単独テストで、新旧モデルの比較が非常に好感触であった事を明かした。トップ集団のマクラーレンやフェラーリとの差は依然としてあるものの、BMWやルノー、レッドブルなどのセカンドグループ勢とは十分戦える、と自信を持つ。これを受けて中本氏も、このテストで開発の方向性が間違っていなかったことを確認出来たといい「あとは、第1戦豪州メルボルンで本当の実力が分かる」と期待を込めて話す。
支援パートナーも決定し体制が固まったスーパーアグリ
いっぽう、その去就が注目されていた『SUPER AGURI F1 TEAM』も、鈴木 亜久里 チーム代表が笑顔で会場に現れ、無事に08年もホンダのテクニカルパートナーとして参戦することを正式に発表した。鈴木氏はさらにチームを支援するパートナーとして、英国・マグマグループと基本合意を結んだことも明らかにした。鈴木氏は「ようやく参戦の体制が整った。シーズン当初は厳しい幕開けとなるが、チーム一丸となって頑張ってゆく。」と決意を語る。
ドライバーは昨年同様の2名。日本人ドライバーの佐藤 琢磨選手は「まずはこの場に出ることが出来て嬉しい。テスト不足は不安要素だが、メルボルンを走るのは楽しみだ」とあくまで前向き。パートナーのイギリス人ドライバー、アンソニー・デビットソン選手は「トータル3日しかテストをしていない。他チームに比べ遅れをとった。しかし長い冬の間、メンタル面も含め鍛えたからモチベーションは高い。」とクールな表情で語った。
08年のホンダF1マシンは、昨年の"myearthdream"に続き、"earthdreams"を掲げる。これは、世界で露出されるF1を媒体にして地球環境問題のメッセージを掲げる昨年から始まったプロジェクトだ。
通常、スポンサーはF1マシンへの企業ロゴ貼り付けが行われるが、このプロジェクトでは車体には一切の企業名は記されない点が特長だ。今年は、総額120万ドル(約1億2700万円)の環境関連慈善団体への寄付も行われる予定となっている。