【アウディRS4】

アウディRS4
アウディRS4/フロント
空力と冷却を最優先にデザインされたフロントマスク
アウディRS4/サイド
エレガントなサイドラインはアウディならでは
アウディRS4/リア
左右に大口径のエキゾーストエンドが装備される
アウディRS4/ブレンボ社製8ポッドキャリパー
レーシングカーを彷彿とさせる8ピストンキャリパー
アウディRS4/専用フルバケットシート
普通のセダンではない事はこのシートでバレるだろう
アウディRS4/フルスケール310キロメーター
VDO社製310キロメーターはデジタル油温計を装備

 ジャイア試乗会レポートPart,1では、リアルオープンスポーツを取り上げましたが、今回はお金さえあれば(ありませんが・・・。)明日にでも欲しい輸入車2台に試乗してきました。
 
  1台目は、スーパーセダン「アウディRS4」。
 実は私が最初に所有したクルマは「アウディ」なのです。当時大学生でしたので、「身分をわきまえろ!」なんて言われそうですが、出資元の父親は生粋のカーマニア。「どうせ乗るならアウディがいい」と当時、驚異的な空力を誇っていた「アウディ90クアトロ」を購入。自ら乗りたいという気持ちがあったのは間違いなく、偶に行方不明になりました。この「アウディ90クアトロ」は左ハンドル5MT。初心者マークながら、「アイツのクルマとは何かが違う」程度は分りました。
 
 そんなこともあってか、現在でも「アウディ」に対する思い入れが人一倍強い私。そこで、4ドアセダンでは、世界最速に君臨するであろうこの「RS4」に短時間ではありますが、試乗してきました。
 エクステリアの上質さはアウディならでは。しかし、大きく口を開けたエアーインテーク、ブレーキ冷却用ダクト、そして19インチホイールから覗く8ピストンキャリパーなど“タダモノ”ではない要素を探し出すのは容易なことです。
 ドアを開くと、4ドアセダンのものとは俄かに信じがたい本革のフルバケットシート。そして“模様”ではなく、ホンモノのカーボンパネルが随所に貼られ、浮世離れしたスケールまで表示されたメーターと共に、さらに気分が高まります。最も嬉しい事は、左ハンドル!マニアル車!!さすが、「クワトロGmbH」が送り出したクルマだけのことはあります。
 V8、4.2L、FSIエンジンに火を入れますと、アイドリングから、「ドゥルルル・・・」という鼓動がキャビンに届きます。最近は、自動車そのものにあまり見かけなくなったクラッチを踏んでニンマリしながら、アイドリングで左足を浮かせても、グズねる事無く、従順に動き出します。
 試乗コースは時間の関係、高速のみ。少し無理をして箱根の麓まで足を伸ばすことに。砂の浮いた合流地点で一旦停止。流れの合間を見計らいフルスロットルをくれると、4本のタイヤがガシっとアスファルトを噛み、猛烈にダッシュ。助手席に座るカメラマンのクロノグラフによると5秒を切るタイムで時速100キロに到達。一瞬レブカウンターに目をやるとなんと8000rpm!を飛び越している。このエンジン、4.2Lもありながら、ピストンスピードはF-1に匹敵するという。ちなみにレブリミットは、8250rpm。一向に衰えを感じないトルクは、果てしなく速度が出てしまうような錯覚すら覚え、帰路は5、6速で流す事に。しかし、追い越しもシフトダウンなど不要。そのままアクセルを踏めば湧き上がるトルクの恩恵であっさり終了。まるでオートマ感覚です。
 最後に、日産「GT-R」のブレーキさえ品祖に見える8ピストンを持つブレーキを踏みつけてみた。まるで、パラシュートでも開いたかのような制動・・・。このブレーキが生かされるのは、わが国ではないことを実感しました。

【アルファロメオ アルファブレラ3.2JTS Q-トロニック Sky Window】

アルファロメオ アルファブレラ3.2JTS Q-トロニック Sky Window
アルファロメオ アルファブレラ3.2JTS Q-トロニック Sky Window/6連ヘッドライト
6連ヘッドライトは、外側にHIDを標準装備している
アルファロメオ アルファブレラ3.2JTS Q-トロニック Sky Window/リアスタイル
ジウジアーロの作品といえる造形美は鑑賞領域
アルファロメオ アルファブレラ3.2JTS Q-トロニック Sky Window/ヒップライン
角型4本出しマフラーからは迫力のあるサウンドを奏でる
アルファロメオ アルファブレラ3.2JTS Q-トロニック Sky Window/ブレンボ4ポッドキャリパー
伝統のテレホンリングホイール&4ピストンキャリパー
アルファロメオ アルファブレラ3.2JTS Q-トロニック Sky Window/インテリア
派手なインテリアは私の○ェルサーチも相手にならない
アルファロメオ アルファブレラ3.2JTS Q-トロニック Sky Window/VDO社製メーター
147あたりから独VDO社のメーターを積極的に採用している

 デビュー当時から気になっているのが、「アルファ・ブレラ」。このスタイリング、一度見たら忘れないほどのインパクトがあります。デザインはあのジウジアーロが担当。おそらく、こんな格好のクルマ、日本人には造れないだろうなあ?なんて考えながら、じっくりエクステリアを観察。睨みを利かせた6連ヘッドライト、リアゲートまで伸びるウェッジライン・・・眺めていてこんなに楽しいクルマもそうあるものではありません。
 インテリアもキテます。肉厚感のあるダッシュボードは、上部が京紫色、下部は柿色で派手ながらも上品。センターコンソールには、アルミパネルが張られ、ドライバー側にオフセット。3連メーターも装備され、燃料計、水温計、油温計が組み合わされます。(この3連メーター、156やGTVでも採用されたが、一つがアナログ時計だった為、スポーティさに欠けるという意見が多く、油温計に刷新された。)ドライバー正面のメーター類も質感が向上。これまで、イタリア「マニエッティ・マレリ」社製だったものが、ドイツ「VDO」社製に変更されたのも、メーターマニアの私としては興味深い。照明は、従来のレッドから、LEDを光源とするホワイトの目盛りにレッドの指針が精悍なイメージを与えます。
  
 この「アルファブレラ3.2JTS Q-トロニックSky Window」は試乗時間にゆとりがあったため、試乗会場の大磯プリンスホテルから一般道に出て、小田原厚木道路〜西湘パイパスと一周約40キロほどのコースを走る事が出来ました。
 エンジンは新開発のV6、3.2L直噴のJTSユニット。正直このエンジンが登場したときには、もう“金管楽器”と評されたアルファV6のあの音が聴けないのか?と切なくなりましたが、そこはアルファ、退屈なエンジンを乗せる訳がありません。前代ユニットのようなビートこそ刻みませんが、3000rpmを超えた辺りから「フォーン」という抜けのよいサウンドとともに、レッドゾーンの始まる7000rpmまで気持ちよく吹け上がり、気分も一気にハイテンションに。
 しかし、「Q-トロニック」と呼ばれるトルクコンバーター式のミッションは、滑らかで快適ではありますが、エンジン能力を100%生かしきっていない印象を覚えました。以前乗った左ハンドル、MT仕様では260psというハイパワーを使いきり痛快でしたが、どうも眠たいレスポンスなのです。やはりアルファには、2ペタルでも“板と板”が動力を伝えるセレスピードの組み合わせがベストなのでしょう。
 ステアリングのギアレシオは“超”が付くほどクイック。高速域では、それこそミリ単位で蛇を入れても反応するほど。慣れるまではやや気を使います。また、轍にも結構敏感。この緊張感がクルマ好きにはかえってたまらないのかもしれません。
 ブレーキはフロントに「ブレンボ」社製4ピストンキャリパーを採用。同社「147」や「156」では初期のタッチがややオーバーサーボ気味で“カックンブレーキ”でしたが、踏力に見合って制動を立ち上げる理想的なもので好感がもてました。

 何者にも似ていないスタイリングに実用性、スポーツカーの名に恥じない動力性能を備えた「アルファブレラ3.2JTS Q-トロニックSky Window」人生に潤いを忘れない大人の為のクルマであると感じました。

written by 外川 信太郎