クロスカントリ系ワンボックスカーとして登場したデリカも現行モデルで5代目となる。初代モデルから比べると、グッとミニバン的なフォルムとなったが、標準の4WDは最低地上高210mmとSUVも驚愕のロードクリアランスを誇る。その一方でローダウンサスやエアロパーツをまとうスポーティ仕様のローデストも設定。発表後に順次、標準仕様にFF、ローデストは4WDを追加するといったきめ細かいグレード展開をした。搭載エンジンは2.4リッターのみで、ミッションは全車CVTを採用。シャーシはアウトランダーをベースに、空間の大きなミニバンに合わせあばら骨のような補強フレームによってキャビンを守る。これによって高いボディ剛性が確保され、走行性能及び乗り心地の向上も実現した。
イメージ的なライバルは、2.4リッターエンジンを搭載するエリシオンやエスティマといったLサイズミニバン。価格的には、それぞれの下にくる割安な設定だが、ボディサイズや装備による車格感までも含めて考えると、デリカの直接ライバルとは言いがたい部分もある。それはデリカが4WDの標準仕様をメインにするクルマであり、他のライバルはFFを主力車種にして4WDは派生モデルという位置付けにしているからだ。ある意味、デリカを買う場合、ミニバンに4WDという価値が必要なのかもしれない。とはいえ、ボクシーなフォルムによる優れたパッケージングやアウトランダー譲りの安定感のある走りなど、魅力的な部分も多いのは事実だ。また、ローデストはライバル車にはない押し出し感および標準モデルとの差別化感を持っている。価格も高いが、この場合はエルグランド・ハイウエイスターあたりをライバルとして考えてもいいかもしれない。
グレード構成は、標準仕様/ローデストともにFFモデルは、ベーシックなSグレードが加わるが、それ以上のグレードはG、Gパワーパッケージ、Gナビパッケージ、Gプレミアムパッケージとなる。そのグレードごとの価格差は、FF/4WDともに同じだ。Sの装備がかなり簡素化されているのはもちろんだが、GとGナビパッケージの主要な装備差は、マルチキーレスエントリーシステム、助手席側パワースライドドア、アルミホイール、パドルシフトだ。その価格差は約12万円と、単体でのオプション価格から換算するとほぼパワースライドドアとキーレスに相当のみ。いずれもミニバンの装備としてはマストアイテムであり、Gパワーパッケージはアルミホイールも標準装備するので割安感は相当に高い。
ナビパッケージとパワーパッケージの装備差はHDDナビゲーションのみで価格差は約25万円。社外ナビゲーションも視野に入れられる価格だが、値引きによってその価格差を縮められる可能性は高いのでナビ装着を予定しているのならナビパッケージはお得な設定だろう。駆動方式や標準仕様、ローデストの選択は使用状況や好み次第。ただ、標準仕様とローデストの価格差は約23万円となるが、それがエアロパーツ+ローダウンサス+17インチホイール&低扁平タイヤの装備代とすれば、割安感はあるだろう。