達人「国沢光宏」が斬る!
職業:自動車評論家
歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど、多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなくWRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。
ウエットでも乗りやすさ抜群、GT−Rの懐の深さを体感!
「ウエット路面なので雪道のように滑ります。姿勢制御装置VDCは『ノーマル』を推奨します」と開発スタッフが言っていたし、初めて走るコースということもあり、ミッションだけ『マニュアルモード』を選択。とりあえず標準状態のGT−Rでコースインしてみる。
ハーフスロットル&4千回転くらいでシフトアップしていくと、う〜ん! めちゃくちゃ気持ちいいじゃありませんか! ギアチェンジ、素晴らしく早いのだ。しかも気持ち良い変速ショック出る。まるで競技車両のシーケンシャルシフトみたいです。
それじゃ、とシフトチェンジを一番速いモードにしてみたら、さらに競技車両風になった。シフトダウンも早いし確実。こら面白いぞ、と。アクセルをさらに深く踏み込む。するとどうよ! コーナー出口でいともたやすくパワースライドするじゃありませんか!
考えてみれば480馬力もあるのだ。なるほどウエット路面は雪道みたいなもの。相当ウデに自信のあるドライバーでも、強烈なパワーを持て余すだろう。ただ意外なことに扱い易い。確かにパワー掛け過ぎれば滑るが、丁寧にアクセル踏むと十分コントロール可能。滑るやVDCも介入してくる。
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腕さえあればVDCなしでも大丈夫、世界有数のコントロール性を誇る!
ハンドリングは素晴らしい。一般的にハイパワー車をウエット路で走らせると、ストレス溜まるばかり。レクサスIS−Fの時だって決して楽しくありませんでした。なのにGT−Rは楽しい。なぜか? ウエットでもクルマを操れるのだ。
おそらく路面からの情報量多いせいだろう。数ラップするウチ「滑る量」や「滑る限界」を掴めるようになってきた。こうなるとラリー車で林道を走るようなもの。むしろ積極的にコーナーでテール流したくなってきちゃう。
「ガマンはこれまで!」と、VDCを『R』モードに変更。すると滑ると同時にパワーを絞っていた制御が、少し遅れて介入するようになってくる。このモード、ドライ路面でサーキットを走るような時に使うそうな。ノーマルより「滑り」を許容します。
けれど3ラップすると、これもジャマになってしまった。嬉しいことにVDCを完全オフするモードもあり、GT−Rの『素』を楽しめるようになる。少しラフにアクセル開けようものなら、いともたやすくパワースライドするし、流れ始めたらドライバーがコントロールしなければならない。
猛烈に手強い反面、猛烈に楽しい! ブレーキングしながらシフトダウンし、前輪荷重のままハンドル切り込むとマイルドにテールスライドが始まる。ここでアクセルを適度に踏んでいけば、ラリー車のようにドリフトアングル付けたまま気持ちよく立ち上がって行けるのだった。
ラップを重ねるごとに上手に乗りこなせるようになり、ドンドン楽しくなっていく。スポーツカーってこうじゃなくちゃ! ウエットでも初めて走るサーキットでも、降りたくならないような魅力を持ってないとダメ。
おそらくどんな人がサーキットを走っても、速さの差こそあれ「楽しい!」と感じてくれるのではなかろうか。ちなみにナビの中に組み込まれているGPSでサーキットを判別、スイッチ操作により180kmで稼働する速度リミッターがコース内でのみカット可能という機能も付いてます。
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