プジョ−308

プジョーのお家芸「幅広化」は再び同クラスをリードするか?

 欧州市場で日本車の手強いライバルとなっているプジョーの主力モデル『307』がフルモデルチェンジし、『308』となった。このモデル、欧州独特のクラス区分で「Cセグメント」に属し、VWゴルフやシビック、カローラ、そしてデュアリスもこのクラス。果たして実力はいかに?

 プジョー最大の特徴として挙げたいのが、幅広ボディ戦略である。長い間、Cセグメントのボディ幅は日本の5ナンバーワクの1700mmより狭かった。いや、その上のDセグメントすら、プジョー406のデビューまで1700mmを少し超える程度でありました。

 参考までに書いておくと、プジョー405や初代ベンツCクラスなどは全幅1720mm。アコードやプリメーラといった日本車のDセグメントも同等。なのに406から突如1770mmという常識外れの車幅になってしまったのだ。以後、Dセグメントは406の車幅がベンチマークになる。

 Cセグメントも同じ。VWゴルフもプジョー306もオペル・アストラも全て1700mm以下だったのに、307ときたら突如1760mmというDセグメント級としてきた。これまた全メーカー引っ張られてしまい、今やCセグメントは1750mm程度ないと勝負にならず。果たしてプジョーの最新モデルは再び車幅勝負に出るか? と楽しみしていたら、うひゃ〜! でございます。何と1815mmだって! 一昔前ならセルシオに匹敵する車幅を持つ。

プジョー308 サイドビュー
2本のプレスラインが程よいアクセントとなっているサイドビュー
プジョー308 リアビュー
リアビューはリアコンビランプの形状変更で307とはかなり違った印象
プジョー308 インテリア
大きく質感が向上したインテリア、イタリア車的な雰囲気も感じられる
プジョー308 リアシート
ゆったり感の増したリアシート、全幅の拡大により3人掛けも十分可能に
プジョー308 ラゲッジスペース1
4人分の荷物も十分飲み込むラゲッジスペース
プジョー308 ラゲッジスペース2
トノカバーには貴重品などを収納できる機能も備わる

 なぜ車幅なのかというと、インテリアスペースを稼ぐために有効だからだ。軽自動車が狭く感じるの、車幅のためである。実際、ワゴンRの幅広ボディ仕様に乗ると、完全に2クラス上のランクのクルマになったみたい。プジョーによれば、横幅の確保は側面衝突時に安全性向上にも役立つという。

幅広化の弊害はなし、308もプジョーらしい奥行きある走りが楽しめる

 こうなると気になるのが「運転しにくくないのか?」という点。御存知の通り欧州の道って基本的に狭い。特に古い街並みは日本より狭いほど。山の中のワインディングロードの道路幅なんか、日本の林道です。

今回フランスのアルザス地方の街中やワインディングロードを中心に試乗したのだけれど、ほとんど気になりませんでした。ワイド化する一方の車幅と対照的に、全長は4276mmと平均的なCセグメントと同じ。見切りも良いため、ほとんど車幅の広さを感じさせない。このあたり、狭い道を横になって走るラリーの雄であるプジョーのノウハウなんだろう。

 面白いことに車幅がこれだけあると、格上のクルマみたいである。フランスのカントリーロードを走っていると、プジョー特有のストローク感ある乗り心地もあって「苦しゅうないぞよ」みたいな気分になります。

プジョー308 走り
プジョー308 エンジンルーム
写真は1.6リッターターボエンジン、低燃費と扱いやすさが特徴
プジョー308 パノラミックガラスルーフ
開放感満点の「パノラミックガラスルーフ」、同乗者からも喜ばれるだろう
プジョー308 レーン逸脱警告機構
写真中央のスイッチはレーン逸脱警告機構

 日本発売は来年。まず1,6リッターターボの150馬力仕様(6速マニュアル)と140馬力仕様(4速AT)の2タイプから販売されるそうな。個性のあるクルマに乗ってみたいという人は、ぜひとも試乗してみたらいい。