ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ミニバンこそ安全は平等であれ!安全装備標準化の心意気でダントツ「マークXジオ」!

マークXジオの素晴らしいポイントは、どのグレードを選んでもS-VSC(横滑り防止装置)とサイドエアバッグ、後席中央の3点式シートベルトが標準装備されているところだ。ライバルとなるオデッセイは、サイドエアバッグ&横滑り防止装置はオプション。後席中央の3点式シートベルトはなく、事故時には上半身が不安定になる2点式のみだ。オデッセイだけではなく、後席中央の3点式シートベルトをミニバンで標準装備としているのはマークXジオのみだ。また、同じジャンルではないが日産のセレナなどは横滑り防止装置すらオプションでも装着できないほど。多くの人間が乗り、重心が高く横転の危険性が高いミニバンだからこそ、ベーシックな安全装備は標準化しなくてはならないとボクは考えている。それだけにマークXジオの安全思想は、僕の考え方と非常に近い。同じトヨタのクルマでさえS-VSCはオプション、後席中央3点式シートベルトはないクルマがたくさんあることを考えると、マークXジオの開発責任者こそ今後のトヨタの安全思想を決める重要な人物であると思うほどだ。

心地よく落ち着きのあるインストルメントパネル。シフトレバーは、マニュアル感覚の操作感が味わえるゲート式を全車に設定。

浮き上がった円盤指針が視認性にも優れ美しい。中央の運転サポート情報は、瞬間燃費、平均燃費、平均車速、航続可能距離、外気温などを必要に応じ切り換えて表示する。

6人乗りセカンドシートには、大型アームレスト兼用コンソールボックスを採用。アームレストを開くとカップホルダー2個、トレイ、収納ボックスとして使用できる。

 多少、口が悪い表現になってしまうが、よほど高価な先進装備を除けば「お金を出した人は安全で、お金を出さないなら危険」なんていうのは、そもそもおかしいのである。S-VSCや中央後席3点式シートベルトなどは、5万円以下で装備できるベーシックな技術。それだけに、クルマを買う人すべてが共有しなければいけない。
 ということで、それだけで安全思想の高い人が作ったクルマってことでオススメ。トヨタのプロモーション真っ向から対立するが、子離れ世代の4+FREEなどというまやかしで買って欲しくない。本当に子供や自分のクルマに乗るすべての人に「もしものことがあってはならない」という愛深くクルマの本質が分かる人が選ぶクルマだ。

CMに心揺れるな!おすすめグレードはガンガン使える7人乗り

 こういっちゃ何だが、4+FREEという宣伝文句にだまされてほしくない1台。4人で乗るならマークXを買ってください。このクルマは、本格派のミニバンとしてガンガン使って欲しい。と、いうことでオススメは7人乗りの240か240Fだ。これだけの安全装備で256万円〜というプライスはお買い得である。

中央に大型アームレストを配した6人乗りセカンドシートは、くつろぎのあるキャプテンシートを採用。

7人乗りセカンドシートは、6:4分割可倒式ベンチシートを採用。

プラス2名の3列乗車を可能にする、5:5分割可倒式のサードシート。いざという時の多人数乗車に対応できる。

無理やりな“X”バッチが悲しいが…プレーンな味付けは好印象

 ボンネットフードに大きく「X」と輝くバッチが悲しく見える。ちょっと無理やりマークXにしたかったのかと思えるほど。ジオだけではまずかったのかなぁ。マークXブランドを主とするトヨペット店で売れるミニバンがなかったから仕方ないか・・・、という開発人のため息が聞こえてきそう。営業が強いトヨタならではのブランディング。デザインはヌメッ、ポテッとした塊感あるデザイン。プレーンな味付けが好印象。押しもアクも強くないので、大人な雰囲気がトヨタ流。トヨタは6人乗りを主張するが、どう考えたって現実には7人乗りがベストバイ。メーカーのCMにだまされない強い心が必要だ。

低重心ボディに、立体感のあるフロントビュー。

3列車には新しい、低い全高で流れるようなサイドビューとボリューム感のあるリヤビュー。

“X”バッチは無理やりでも、力強い存在感のあるフロントマスク。フォグランプは、バンパー埋め込み式ですっきりとした見映え。

車庫入れ、乗り心地重視なら16インチタイヤ!

 マークXジオは、オデッセイのように走りをアピールするクルマではない。あくまでも優雅に快適に移動するためのクルマと考えるといいだろう。240か240Fをオススメする理由のひとつが16インチタイヤ装着車であること。マークXジオの開発は16インチタイヤをメインとしたように感じるほど、18インチと16インチの乗り心地が大きく違う。圧倒的に16インチの乗り心地が際立ち、ハンドリングも含め18インチの良いところを探すのも難しい。確かに18インチの方がカッコ良いのには間違いないが・・・。実は最小回転半径も16インチは5.5メートルで18インチは5.7メートルと大きく違うのもミソである。というわけで、車庫入れ苦手で乗り心地重視なら16インチを選ぶべし。

圧倒的に乗り心地が際立つ16インチタイヤ。

やはりデザインでは、17インチタイヤを選びたくなるが…。

力強いトルクと優れた燃費性能のV6エンジンは、コンパクト設計で軽量化をはかっている。