【サルでもわかるクルマ磨き!】では、これまでに水洗いから始まり、粒子状物質の除去、くすみ、小傷除去の研磨作業をお伝えしてまいりました。研磨作業ではポリッシャーまで持ち出し、本格的な作業工程もお伝えしてきましたが、今回の作業が塗装面最終仕上げの「ワックス掛け」になります。年末愛車大掃除に是非参考にしてみてください!
ワックスを掛けるという行為をカンタンに説明しましょう。ワックスは、塗装面の光沢、保護を目的としたものです。ワックスの保護皮膜は、塗装色に深みのある艶を与え、紫外線、降雨、大気中の汚染物質から塗装面をガードします。
ワックスは、“厚く塗れば効果的”と思い込んでいる方も多いようですが、薄くて硬い均等な皮膜を形成するのが理想的です。実際に、固形ワックスにて形成される皮膜の厚さは、約0.5ミクロン程度。しかし、この皮膜が侮れないのです。
ワクシングをするのにオシャレな格好は不要です。最も理想的なのが「フリース」。柔らかな素材は、塗装面に触れても傷が付く心配はありませんし、動きやすく温かいので、まさにワクシングウェアーといえます。
また、時計や指輪など宝飾品、ベルトなどの金具は塗装面と接触した場合、間違いなく傷を刻みます。外してから作業を始めましょう。
まずは、ワックス塗布用のスポンジ。製品に付属しているものはやや固めのものが多いので、セルロースやパフ状の柔らかく気泡の多いものを選びましょう。スポンジは、溜めておいたバケツもしくは、流水で十分濡らし、ギュッと絞ります。なぜこんなことが必要か?といいますと、水分が潤滑剤の役目をしてくれ、ワックスのノリをよくしてくれます。
ワックスをスポンジに馴染ませるには、やや圧力を加えながら、手首のひねりでくるっと缶を一回転させます。その後、余剰分を缶の縁を使って擦り切れば、均等にワックス成分をスポンジに馴染ませる事が出来ます。
さて、いよいよ塗りこみスタートです。コーティング剤などは長時間の乾燥を必要とする製品もありますが、ここではワックスの基本、固形カルナバワックスを使っています。基本的にはクルマ全体に一度に塗り込むのではなく、パネルごとに仕上げていきます。まずは、タテ方向で塗布。往復はさせず、必ず一方方向で!
次にタテに塗布したワックスを被せるようなイメージでヨコ方向に塗布していき、最後に再びタテ方向でフィニッシュ。空に対して平行な部位であるルーフやトランクもこの方法でOKです。
空に対して直角に近いフェンダー、ドア、ピラーなどは、上から下方向に向かって一方方向に塗布をします。これによりワックス皮膜が「樋」になり、降雨時の排水性に大きな差がでます。(排水性がよい塗装面=汚れが付きづらいということです。)
また、座って作業をしておますが、決して楽をしているわけではありません。塗装面と同じ目線で作業をする事で、傷などの発見が容易になります。
ワックス塗布作業だけでも数時間は掛かる今回の方法ですが、塗装面が平坦化された上に薄く硬い均等な皮膜が定着した事により、撥水、排水性が高まり次回からの洗車が大幅に楽になります。この作業を「労働」から「至福」と思えるようになれば、あなたも車磨きの「達人」といえます。
塗装面のケアは今回の最終仕上げをもちまして終了ですが、【サルでもわかるクルマ磨き!】は不滅です!次回以降は、内装やシート、そして皆様からも毎回反響を頂いている、ヨイショ無しのカーワックスインプレッションも継続していきますので、楽しみにしていてください。