新プラットフォームによる上質な乗り心地とパワフルなエンジンが魅力
今回のランドクルーザー200系ではプラットホームが新しくなった。フルフレーム構造という基本は変わらないが、軽量化と剛性アップが図られている。電子制御5速ATはシーケンシャルモード付きになった。フルタイム4WDのセンターデフにはトルセンLSD付きトランスファーが採用され、通常時には後輪に60%の駆動力を配分する後輪寄りのトルク配分としている。
搭載エンジンは4.7Lの2UZ-FE型であるのは変わらないが、新たにVVT-i機構を備えることなどによって大幅なパワーアップが図られ、288ps/45.7kg-mと発生するようになった。文字通り余裕の動力性能である。
4WD車らしい装備として、KDSSと呼ぶ油圧制御式のスタビライザー、世界初のクロールコントロール、マルチテレインABS、アクティブトラクションコントロール、ヒルスタートアシストコントロールなどが装備された。
ランドクルーザー200系に乗って走り出すと、すぐに“これは物が違う”という印象を感じる。それくらいに際立つ性能を持つのが今回のモデルだ。
まず感じるのが静粛性の高さ。LS並みの静粛性というのが、決してオーバーな表現とは思えないくらいに静かな室内が作られている。騒音だけでなく振動もしっかり遮断されている。オンロードで路面が少々荒れたところを走っても、ゴツゴツ感などはほとんど伝わってこない。フルフレームの上にマウントされたボディは余分な音振から遮断されている。
上級グレードの車両重量は2500kgに達するが、動力性能が向上したことで走りには余裕がある。5速スーパーECTとの組み合わせも滑らかなものだし、状況によってシーケンシャルシフトを操作してマニュアル車感覚の積極的な走りを味わうこともできる。オフロードではシーケンシャルシフトが生きるシーンが多い。
悪路走破性の高さは世界トップレベル!
今回の試乗では富士が嶺オフロードの特設コースで試乗した。このオフロード場はいろいろな車種の試乗に使われてきたが、これまではランドクルーザーほどヘビーなコース設定ではなかった。にもかかわらず、ランドクルーザーはそのコースを楽々とこなしていく。しかも今回のコース設定でもランドクルーザーの実力の5割から7割程度を試すことにしかならないという。
オフロードコースでの試乗で確認できたのはKDSSとクロールコントロールだ。路面がモーグル状態になったところを走っても、少々の凹凸ならスタビライザーが制御されて大きなホイールストロークを確保し、しっかり路面をとらえた走りが可能だ。この機構はマニュアル操作の必要がなく自動的に働くので、とても便利である。
世界初のクロールコントロールは急な上り坂や下り坂、あるいたスタック状態のときなど、あらゆるシーンで働く。インパネのスイッチをオンにするだけで、エンジンとABSが自動的に制御され、時速1kmから5km(3段階に調整可能)でズリッズリッという感じで着実に地歩を進めていく。
この機能のうち、下り坂だけで使われるのがヒルデセントコントロールで、これはいろいろな車種に採用されているが、ランドクルーザーでは上り坂や荒れ地、岩場などでも効果を発揮する。ヒルデセントコントロールだけだと、下り坂で少しスリップしてからでないと働かないが、クロールコントロールならスイッチを入れる必要はあるものの、入れるとすぐに効果が発揮される。
オンロードでの快適な走りから、オフロードでの高い走破性まで、ランドクルーザー200系は正に4WDの王者にふさわしい走りを持つモデルに仕上がった。
●お勧めグレード
ランドクルーザー200系は470万円のAXだけの単一バリエーションのモデルで、本革シートやプリクラッシュセーフティ、KDSSなどを装備したGセレクションが540万円で設定されているだけ。本革シートはともかく、安全装備のプリクラッシュセーフティはあったほうが良いし、KDSSも高い効果を持つ装備なので装着したいから、できることなら上級グレードとなるGセレクションを選びたい。
ランドクルーザー200系はリセールバリューも極めて高くなるものと予想されるので、何年か乗った後で手放すときにも高い満足度が感じられるはずだ。