1.8リッターモデルはゆとりある走りを実現した!
搭載エンジンが1.5Lと1.8Lになって排気量が拡大されたため、従来に比べて走りに余裕が生まれたのは確か。ボディが大きくなったので重量も増加しているが、動力性能に特に不満はない。ただ、特に優れているかといえばそうでもなく、1.5L車の走りは平凡。スーパーCVT-iとの組み合わせで滑らかに走るものの振動や騒音は大きめで、プレミオで感じさせた走りの質感は感じられなかった。
1.8L車は余裕ある動力性能を感じさせるが、こちらはなぜか4速ATとの組み合わせ。CVTの滑らかさはなく、今では古典的とも言うべき段差のある加速である。
大きめのタイヤが災いしてやや硬めの乗り味
騒音に関して言うと、全体にレベルが高めだ。ロードノイズは入ってくるし、アクセルを軽く踏み込んだだけでエンジン音やCVTの作動音などの機械音も入ってくる。比較的良かったのは風切り音で、高速走行でも風切り音は気にならなかった。これはほかの音が大きかったからかも知れない。
初代イストも似たような仕様とされていたが、今回のイストもSUV感覚を表現するために大きめのタイヤを履いたことが影響し、乗り心地の良くないクルマになった。フラットな路面を走っているときには良いが、マンホールを越えたり、ちょっと舗装が荒れた路面を走ると、ショックがそのまま伝わってくるような印象だ。
●お勧めグレード
今回のイストは、今のトヨタが抱えている矛盾がそのまま表現されたクルマのようだ。アメリカ向けのクルマ作りが日本向けには適さないことを端的に示したパッケージングがその代表だし、安全性を重視資する姿勢を取ろうとしつつも、小さくて安いクルマまで含めて同じようにお金をかけたクルマ作りができないという点なども同様だ。
さらにいえば、価格設定も相当に高い。なのでイストでは特にお勧めできるグレードはないというのが実情だ。ネッツ店ではヴィッツやオーリスも販売しているので、イストを買うならオーリスを買ったほうが良い。オーリスにもイストと同様の問題を抱えている部分はあるが、少なくともしっかりした走りが得られるのが良い点だ。