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ROUND1 トヨタ アイシスのファーストインプレッション
ROUND2 日産 ラフェスタのファーストインプレッション
ROUND3 総評

ライター紹介

自動車ライター&エディター

近藤 暁史 氏

某自動車雑誌の編集者から独立。その前はファッションエディター(笑)。とにかくなんでも小さいものが好きで、元鉄チャンで、今ではナローゲージを大人買い中。メインのクルマは19歳の時に買ったFIAT500。エンジンのOHからすべて自分でやり、今やもうやるところがない状態でかわいがっております。表向きは自動車ライターながら、業界唯一の省燃費グッズの評論家というのがもうひとつの顔。

5ナンバー枠というのは、取り回しのよさや経済性の高さなどを考えると、日本の風土に合ったサイズといっていいだろう。
とくにミニバンの場合は、このクラスは激戦区といってよく、こなれた価格設定ながらも各社魅力的なモデルを投入している。

今回はトヨタ代表としてアイシス。また日産代表としてラフェスタを対決させてみようではないか。どちらもマイナーチェンジを受けたばかりで、実力は確実に高まったといっていいだけに、結果には興味津々だ。
とくに今回は、プラタナとライダーというエアログレードの登場となっただけになおさら。
5ナンバーサイズで気になる各シートのクリアランスなど、多角的にチェックしてみよう!

PHOTO/和田清志 構成/近藤暁史

ROUND1 トヨタ アイシスのファーストインプレッション

日常的な扱いやすさは抜群 Bピラーレスで高い乗降性を確保

まず注目なのはやはり助手席側に設定されたパノラマオープンドアだろう。
いわゆるセンターピラーは持たず、センターピラーにあたる構造をリヤドア内に収納している。
ドアを開けるときは助手席側のドアとともにオープン時はそのままドアとともに開く構造なので、1列目/2列目シート部分がつながった、前後長1890mmもの広大な開口部が出現するのだ。
ドアやボディの補強もしっかりとやっているので、クローズした場合の衝突安全性はしっかりと確保されているので心配は無用である。
このパノラマオープンドアのおかげで最良な乗降性が確保でき、無理のない乗り降りが可能となっている。

エンジンは1.8リッターと2リッターの2本立てで、ミッションは前者が4速ATで後者がCVTが組み合わされる。
プラタナのCVT車に関しては、マイナーチェンジでノア/ヴォクシー同様にパドルシフト付き7速モードへと進化。
素早くレスポンスのいいシフト操作が楽しめるようになったのはトピックスだろう。
デザイン的にも前後に流れる流麗なラインを基調にしたスタイリッシュなもので、ウィッシュなどの上級モデルと比べても遜色のない仕上がりを見せる。
さらに今回の取材に登場したプラタナは精悍なエアロスタイルが特徴のグレードだ。

[取材時実測燃費]
13.4km/L

[アイシス価格帯]
181.65〜277.2万円

エンジン

2リッターの直噴エンジンはパワフルで静粛性も高い。
CVTとのマッチングも良く、スムーズな走りを味わえる。

ホイール

プラタナはスポーティな16インチタイヤが標準装備。そのほかのグレードは15インチとなる。

インテリア

ブラックを基調としたスポーティな印象のインテリア。ナビの画面も見やすくエアコンなどの操作性も良好だ。

シフトレバー

CVTによる滑らかでスムーズな加速感を実現。7速のマニュアルモード付きなので、スポーティな走りも楽しむことができる。

フロントシート

スポーティな形状のフロントシートは、サポート性も良く疲れにくい。肘掛けも装備しており、ゆったりとくつろぐこともできる。

セカンドシート

セカンドシートはスライド量も多く、足下スペースも十分確保されている。シート表皮の手触りも良く、全体に質感は高い。

サードシート

5ナンバーミニバンのなかではトップレベルの居住性を誇る。さすがに余裕があるとはいえないが、それでも緊急用としては不満のないレベルだ。

フルフラットシート

サードシートの背もたれも倒せるので、完全にフラットになる。助手席を前に倒せば、テーブルとして使える。

パノラマオープンドア

アイシスの最大の特徴であるパノラマオープンドア。乗降性の良さはもちろん、荷物の積み降ろしにも便利だ。

ラゲッジ

フル乗車時でも十分なラゲッジスペースが確保されている。フロアはサードシートを収納するスペースの分、少し低くなっている。

セカンドシートを倒せばフラットなフロアが現われる。スクエアな形状なので、使い勝手は文句なしだ。

セカンドシートを前方へスライドさせれば、さらにスペースが稼げる。かなり大きなものでも余裕で積み込むことが可能だ。

2.0プラタナ(FF)
ボディサイズ(全長x全幅x全高) 4640×1710×1640mm
車両重量 1470kg
エンジンタイプ 直列4気筒DOHC
総排気量 1998cc
最高出力 155ps(114kw)/6000rpm
最大トルク 19.6kg・m(192N・m)/4000rpm
ミッション CVT
10・15モード燃費 14.0km/L
サスペンション(前/後) ストラット/トーションビーム
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク/ディスク
税込価格 225.75万円

ROUND2 日産 ラフェスタのファーストインプレッション

ユニークなスタイルと装備が自慢 エンジンも熟成され、走りも満足

トヨタ対日産の対決。
アイシスがパノラマオープンドアなら、ラフェスタはパノラミックルーフで勝負だ。
これは日本車ではラフェスタが先駆けとなった装備で、ルーフ全体がガラスとなる。そのため抜群の開放感が味わえるのがポイント。
まるでオープンカーに乗ったかのような気持ちよさが味わえる。
もちろんシェードを閉めれば、ノーマルのスチールルーフ同様のクローズ感が確保できる。

マイナーチェンジで内外装のデザインが変更され、上質感をアップ。
ボディ形状もスクエアなイメージを全面に出したもので、ミニバンとしてはじつにユニークなスタイルだ。
装備的にも両側スライドドアを採用しているのは重宝する点ではある。だがしかし、そのスタイルゆえにパッケージング的には厳しい面もあり、3列目まわりの各クリアランスは最小限にとどまる。
車内全体も広大とは言いがたく、この点がライバル比較でどう評価されるか?

エンジンは2リッターのみの設定で、パワーと経済性を高いレベルで両立させた日産自慢のMR型を、CVTと組み合わせて搭載している。
こちらも6速マニュアルモード付きで、積極的に操ればMT車的なキビキビとした走りを楽しむことが可能だ。

[取材時実測燃費]
13.1km/L

[ラフェスタ価格帯]
186.9〜239.4万円

エンジン

新開発の直4、 2リッターエンジンはパワーでは劣るが、トルクは太く街中でもキビキビとした走りを実現する。

ホイール

6本スポークのスポーティなデザインのアルミホイールを装着する。乗り心地も良くハンドリングもまずまず。

インテリア

アイシス同様インパネシフトを採用し、左右のウォークスルーがしやすい。各スイッチ類の操作性も良好だ。

シフトレバー

シフトノブは非常に短いが、アシスト付きなので操作力はとても軽い。エンジンとのマッチングも良く鋭い加速が味わえる。

フロントシート

体全体を包み込んでくれるシートは、長距離ドライブでも疲れにくい。ソフトな手触りのシート地も好感が持てるもの。

セカンドシート

シートのサイズもまずますで、掛け心地も良い。足元やヘッドクリアランスにも余裕が感じられる。

サードシート

サードシートのスペースは足元も狭く、必要最低限のスペース。あくまでも緊急時の使用に限定したほうがいいだろう。

フルフラットシート

サードシートの背もたれは倒せないが凹凸は少なく、ゆったりと足を伸ばしてくつろぐことができる。

パノラミックルーフ

パノラミックルーフは大きな開口部を持つので、室内を明るくしてくれる。ガラスを開けることはできないが、開放感は感じられる。

ラゲッジ

ラゲッジスペースの使い勝手は特に不満はない。床下収納などもあるので小物類はこちらに入れておけば転がらずにすむ。

ホイールハウスの張り出しがやや大きいのが気になる。だが、容量的には十分なので、これでも問題はない。

セカンドシートはダブルフォールディングが可能。わずかに段差はできるが、スペースは十分あるのでアウトドアレジャーなどでも使いやすい。

ハイウェイスター(FF)
ボディサイズ(全長x全幅x全高) 4575×1695×1615mm
車両重量 1430kg
エンジンタイプ 直列4気筒DOHC
総排気量 1997cc
最高出力 137ps(101kW)/5200rpm
最大トルク 20.4kg-m(200N・m)/4400rpm
ミッション CVT
10・15モード燃費 15.0km/L
サスペンション(前/後) ストラット/トーションビーム
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク/ドラム
税込価格 215.25万円

ROUND3 総評

どちらもCVTを採用しているため、走りはとてもスムーズだ。静粛性や乗り心地もよく、高速道路での快適性は高い。