夏の暑さはエンジンオイルにとっては非常に過酷といわれますが、実際どのくらい過酷なのか。今回は、エンジンオイル交換をサボっていたために起きたトラブルを例として挙げながら、エンジンオイルの役割や重要性を解説していきます。
- この記事の目次 CONTENTS
- 記事トップ
- 1.真夏はエンジンオイルにとって最も劣悪な環境!
- 2.調子よく走行していた矢先、油温で異常な数値が!
- 3.今回のトラブルの原因は?
1.真夏はエンジンオイルにとって最も劣悪な環境!
この写真では、愛車に取り付けられた合計9個の「後付けメーター」の一個である「外気温度計」。この温度計の示す数値と外気の誤差は+1℃程度であるため、いかに暑い日であったからお分かりいただけるでしょう。(測定場所は日本でも有数の暑さを誇る山梨県甲府市です。)外気がこの気温ということは、車内は推定70℃、ステアリングも触れないほどの熱地獄だということが予想されます。
しかし、窓を全開にして10分も走れば、熱気も抜けてエアコンの涼風が心地よく頬を撫でてくれます。
計画を練っていざドライブへ!
この日は平日の午前中ということもあり、交通量も少なめ。「久しぶりに富士五湖あたりまで流してみるかな?途中のワインディングは高速コーナーの連続だが、換えたばかりのショックアブソーバーを試すには最適だし・・・。」という思いからドライブを計画し出かけました。
しかし、楽しいはずの計画がオイル交換をサボっていたためにとんでもないことになるとは、この時点では想像もしていませんでした。
2.調子よく走行していた矢先、油温で異常な数値が!
選んだコースは、山梨県甲府市から河口湖に至る国道137号線。甲府側が海抜300mであるのに対して、河口湖側が950m。途中の峠が海抜1300mほどであるため、上り勾配の方が多いルートになります。
サイドウインドを全開にして、イタリア「イノックス・レーシング」社製φ105マフラーの奏でるゴキゲンなエキゾーストを満喫しながら、12%の勾配を3速全開で駆け上っていく。11年連れ添った愛車「トゥインゴ」の調子も最高!と思いきや、事態が一転・・・。
急にクルマの動きが重くなってしまい、とりあえず桃農園の駐車場にピットインすることに・・・。
油温が90℃に迫る勢いで上昇!
私の愛車は周囲から通称“走る計測器”と呼ばれています。ステアリングの前にこれでもか、と並べられたメーターたちを、まるで電車の運転手のように指差しで各計器を確認するのです。
この日もいつもと同じように確認していた際、異変に気付きました。「水温よし!」「吸気温よし!」「排気温よし!」「油温アレレ?」そう、通常走行より油温がかなり高い数値を指していたんです。
一般道では、60℃から70℃前後で推移していた油温が90℃に迫る勢いで上昇。この写真を撮影した後、1.2Lの自然吸気エンジンでは明らかに高すぎる、105℃まで上がりました。
走行会で頑張って走っても精々85℃だったため、これは一大事です。
さらに油圧低下を知らせるランプも点灯
しかも、ステアリングポスト上の一等地に配置された「油圧計」からは、油圧低下を知らせる発光ダイオードが赤く点灯。これ以上、峠道を駆け上ればエンジンを壊す危険性があると判断しました。
そのため、この日は、急遽ピットインした桃農園であまーい白桃をおなか一杯食べて、来た道を観光バスを後ろに付いて引き返しました。
3.今回のトラブルの原因は?
このようなことが発生した原因は、エンジンオイルの劣化にあります。エンジンオイルにはエンジンの「潤滑」「洗浄」「冷却」といった役目があります。しかし、走行を重ねていくうちに、エンジン内の燃えカスや金属粉などさまざまな汚れを取り込み、自ら黒く汚れていきます。これが、結果的に性能低下を招きます。
高温と劣化したオイルが油圧低下を招いた
高温の中、劣化したオイルでアクセル全開!という状況は、冷却性能低下で油温上昇、そして潤滑不足で油圧低下を招きます。幸いにして、私のクルマにはオイルの状態を克明に伝えてくれる「後付けメーター」が装着されていたので、大事には至りませんでしたが、即オイル交換をしたのは言うまでもありません。
その後、少し奮発して化学合成100%のエンジンオイルを注ぎ込み、同じルートを走行しましたが、油温、油圧ともに極めて安定していました。
エンジンオイルはエンジンのコンディションを保つ大変重要な液体であると痛感した一日となりました。
ロングドライブの前には必ずオイル交換を
たかがオイル、されどオイル。私と同様、「あれ?エンジンオイルいつ換えたっけ?」という方、夏のロングドライブに出かける前に即オイル交換をしてください!