スズキの世界戦略車だが日本では・・・。
残念ながら、スズキSX4は売れていない。クルマがよく売れる6月であっても、国内の販売台数は1000台に達していないのだ。そんなスズキSX4にセダンが追加された。正直なところ思わず「なぜ?」と頭の中には?マークがいっぱい。その理由は意外とシンプルだった。現在のスズキは、軽自動車メーカーから小型車メーカーへ大きく変貌を遂げようとしている。それは、主に海外のマーケットをターゲットとしていることもある。そのため、国内市場においても軽自動車を除く小型車のラインアップを増やしていかなくてはならないという方針があるようだ。だから、あまり売れないかもしれないと思われるSX4のセダンも市場に投入したのだろう。
まあ、SX4のコンセプトは分からないでないが、日本の小型車を好む保守層にとっては5ドアよりセダンのほうが選びやすいというのもあるのかもしれない。どちらにしても、1.5リッタークラスのセダンで一番売れているトヨタのカローラアクシオは、6月で6,000台以上も売っている。このことから考えれば、5ドア比べセダンのほうが売れるのではないかというマーケティングも正しい。
とても静かな室内
試乗してみると、想像以上にいい。まず、すぐに気が付くのが室内騒音の低さだ。明らかに5ドアに比べて静か。セダンのため、サスペンションの付け根あたりがトランクの中で、リヤシートにより遮音されるので、フツーに作っただけでも5ドアよりセダンのほうが静粛性は一般的に高いが、想像以上に静かだったのが印象に残る。全席と後席での会話も、あえて大きな声を出さなくても十分にできる。
想像以上の乗り心地とスポーティな走りを両立
乗り心地は、5ドアに比べ一段と良好になった。5ドアの16インチから15インチに変更しタイヤの偏平率も60から65へ変更。サスペンションもセダン用に、乗り心地重視のものが与えられている。5ドアの乗り心地も悪くなかったが、セダンの方がより洗練された印象だ。通常、乗り心地がいいと大きくロールしてカーブが苦手といったハンドリングになりがちだがSX4は少々違う。不要なロールは感じない。セダンとしては、着座位置が高く見晴らしが良いドライバーズシートであっても、必要以上にロールしないので不安感はない。ちょっとした交差点、高速道路の緩やかなカーブなどなど色んなシーンで想像以上にスポーティに走ってくれる。アクセルやブレーキ、そしてステアリングの操舵共にすべての操作系が軽く出来ていていかにもオジサン仕様な印象だが走りはどうしてなかなか侮れない。トランクも恐ろしいくらい広大なので荷物もバッチリと積めるのもポイントだ。
後席中央の3点式シートベルトとヘッドレストの装備を望む
乗ってみるとそのルックスと味気ない内装とは想像できないほどのパフォーマンスをもつSX4セダン。ある意味、とても質実剛健なクルマ。ブランドやイメージでなくクルマのもつ本質で選ぶなら賢いユーザーに支持されるだろう。ただただ残念なのは、後席中央席に3点式シートベルトとヘッドレストが装備されていない点だ。スズキだけの問題ではないが、各社ヨーロッパ仕様には後席中央の3点式シートベルトとヘッドレストが装備されているのにもかかわらず、国内仕様車にはあえて外すということが多い。シートベルトとヘッドレストは最低限の安全装備だ。クルマとしての本質にこだわったクルマだけに、この部分でのコストダウンは、ぜひとも改善して欲しい点だ。