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ライバル多数! 意外に激戦区なコンパクトセダン
フロントとリヤを中心にセダン向けに専用設計
セダンならではのポイントを重点チェック
じつはスポーティさにもこだわった

ライター紹介

自動車ライター&エディター

近藤 暁史 氏

某自動車雑誌の編集者から独立。その前はファッションエディター(笑)。とにかくなんでも小さいものが好きで、元鉄チャンで、今ではナローゲージを大人買い中。メインのクルマは19歳の時に買ったFIAT500。エンジンのOHからすべて自分でやり、今やもうやるところがない状態でかわいがっております。表向きは自動車ライターながら、業界唯一の省燃費グッズの評論家というのがもうひとつの顔。

ライバル多数! 意外に激戦区なコンパクトセダン

 コンパクトSUVのSX4をベースに、スズキから新登場したのが、その名もSX4セダンだ。セダン不振の時代などと言われつつも、トヨタのベルタ、日産のティーダ・ラティオ、ホンダのフィット・アリアなど、ライバルは意外に多いのがこのクラス。最近よく耳にする脱ミニバン世代をメインターゲットにしているとのことなのだが、確かに子離れした世代はそもそもセダンで育った世代でもある。「夫婦ふたりに戻って、セダンに乗る」というのも納得できるし、その際はコンパクトサイズで十分という気持ちもわかる。
 キャラクター的には、欧州スペックを追求して作られたSX4のスポーティなハンドリング性能はそのままに、セダンとしての使い勝手やパッケージングのよさをプラスしている点にある。まさにいいとこ取りだが、スタイル的には斬新なSX4から一転して、セダンらしさを強調した落ち着いたものとなっている。

フロントとリヤを中心にセダン向けに専用設計

 開発陣によれば、もともとSX4を開発した時点ではセダンの設定は考えていなかったというが、そのスタイルに破綻は一切なし。セダン専用となっているのは、フロントがバンパー&グリル。そしてリヤはBピラーから後ろがドアも含めて新設計されている。デザイン的にも、元からあるウエッジシェイプをうまく活かしつつ、セダン化することでさらに前後を貫くラインをプラス。トランクリッドを高めにすることで、コンパクトクラスとは思えない存在感を演出している点に注目だ。

SUVをベースに作られたとは思えない、しっかりとしたラインを持ち、上質なスタイルに仕上がっている。

斬新なデザインが特徴のSX4に対して、セダンはバンパーとグリルを専用設計することで、落ち着いたイメージを演出。

Bピラー以降を新たにプラスすることで、セダン化している。ラゲッジ容量がかなりのものであることが見ても取れる。

セダンならではのポイントを重点チェック

 室内に目をやると、そこには広大な室内が広がる。とくに驚いたのは、セダン向けに新たに専用されたリヤシート。座面サイズを単純に大きくしているだけでなく、左右幅もSX4に対して最大180mmも拡大しているというからかなりのもの。さらにシートバックを寝かしたりもしているのだが、実際に座ってみても、足もとのスペースにも余裕があって、ゆったりとくつろぐことができた。ただし、ヒップポイント自体は高めに設定することで、スムーズに乗り降りすることができるように配慮されている。
 そしてセダンの命であるラゲッジも515Lもの大容量を誇る。9.5インチのゴルフバックが5つも収納可能なだけでなく、リヤシートを6対4分割可等式(しかも1タッチで操作可能)とすることで、トランクスルー機能も確保。長尺物も積むことができるのはありがたい部分だ。

515Lもの容量を誇るだけに、広大そのもの。フードを閉めてしまえば、機密性も高く、この点はやはりセダンならでは。

リヤのシートバックはワンタッチで倒すことができる。これでさらにラゲッジの積載能力は高まり、長尺物も積める。

エンジンは1.5リッターのみで、組み合わされるのも4ATだけとなっている。駆動方式はFFだけで、4WDはなし。

じつはスポーティさにもこだわった

 脱ミニバン世代をターゲットにしたコンパクトセダンというと、すべてにおいて実用性優先といったイメージがあるが、SX4セダンに関してはじつはそんなことはなし。すでに紹介したシートはサポート性もよく、表皮の色も含めてかなりソリッドなイメージに仕上がっている。さらにタイヤに関しては、サイズダウンしているのだが、これがまたしっかりとした乗り味を演出。今のところ、試乗はできていないのだが、高い直進安定性も含めて、じつはSX4の秘めたるポテンシャルは想像以上に大きいと言っていいだろう。

インパネまわりのデザインはとくに変更なし。シンプルながら質感にこだわることで、未来感をうまく演出する。

セミバケットタイプのフロントシート。スポーティさもコンセプトのひとつであるということがよくわかる。

リヤシートは見ただけで、広いことがわかるほど。こちらも形状にこだわるだけでなく、しっかりとした座り心地も確保。

代表グレード G(FF)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4490x1730x1545mm
車両重量[kg] 1190kg
総排気量[cc] 1490cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 110ps(81kW)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 14.6kg-m(143Nm)/4000rpm
ミッション 4速AT
10・15モード燃焼[km/l] 16.4km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 165.9万円
発売日 2007/7/24
レポート 近藤暁史
写真 森山良雄
取材協力 スズキ