日産デュアリス

ドライバーを楽しませてくれる日産車が帰ってきた!

 久々に楽しいクルマだったので、前置きは後回しにして試乗といこう。ドアを開けて運転席に座ると、平均的な日本車のシートと全く違う。ドイツ車のようなホールド感があるのだ。座面は硬めながら良い形状らしく、フィット感抜群。以前ヨーロッパでキャシュカイ(デュアリスの欧州名)に試乗した時も好印象だったのだけれど、改めてチェックするとやっぱり良い。

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日産デュアリス インテリア
質感では若干国内生産車より劣るものの、全体的に使いやすいインテリア。ペダルの造りなどもヨーロッパ流でガッチリとしている。
日産デュアリス シート
写真は上級グレードの20Gのシート。表皮は特に目立つものではないが、座ったフィーリングは良好。長距離ドライブでも疲労は少なそうだ。
日産デュアリス ラゲッジルーム
新設計のリアサスペンションの効果もあって、出っ張りが少なく使いやすいラゲッジルーム。広さ自体も4315mmという全長を考えればかなり優秀。
日産デュアリス エンジン

Dレンジをセレクトし、走り出す。これまた素性の良いエンジンである。基本的にセレナなどに搭載されるのと同じ2リッター4気筒と同じなのだが、排気系を全て作り替えたためなのだろう。印象はずいぶん違う。新型のエンジンだと言われれば信じます。全域で滑らかだし、高回転域の音も澄んでいて快適。

 CVTの味付けは燃費稼ぐべく回転を下げよう下げようとする最近の流れに乗っておらず、人間の感覚と合っている。数年前の日産車に乗ると、エンジン特性やCVTの味付けなど様々な部分で「う〜ん」と不満を感じたものだが、このところ何だか雰囲気変わりつつあるような気がしてならない。良かった時代の日産車に戻りつつあるのか?

ザックス製ダンパーも楽しい走りを支える隠し味!

 決定的なのがザックス製のダンパーを使うサスペンションである。ザックスというメーカー、今やビルシュタインより高い評価を得ている。なにしろF1でもWRCでもシェア高く、ポルシェやベンツ、BMWの純正ダンパーとしても採用されてます。今まで日本で販売される日本車で採用したモデルは無し。

日産デュアリス ザックス製ダンパー

 そんなこんなで以前からザックスのダンパーを使えばいいのに、と書いてきた。デュアリスのハンドルを握ると「予想通り!」。ヨーロッパ車のような乗り味で、何より上質。日産の開発陣にさすがザックスですね、と言うと、意外にも「最初はこれほど良くありませんでした」。おそらく日産をナメていたのだろう。適当なスペックのダンパーを作ってきたらしい。

 これに対し日産の開発陣はビシッと鋭く問題点を指摘したそうな。するとザックス側のスタッフが入れ替わり、以後、ドンドン良いダンパーに仕上がって行ったという。ま、ここで四の五の書くより、試乗してみることをおすすめしておく。硬いけれど不快でなく、狙ったラインをキッチリとトレース出来ます。

日産デュアリス 走り

好みが分かれそうなスタイル

 意外だったのが価格設定。ほぼフル装備のATにも関わらず195万3千円(20S)というスターティングプライスは、ヨーロッパより圧倒的に安い。秋口に出るエクストレイルとバッティングしないように、という配慮なのだろう。

 その分、ヨーロッパだと標準装着となっている装備を落としている。買うならサイドエアバッグや姿勢制御装置VDC、リア中央席ヘッドレスト&3点式シートベルトがセットになっている13万6500円のオプションをオーダーするといい。これで安全性はカンペキだ。

 デュアリスの問題点を挙げるとすればデザインか? 特にフロントについちゃ好き嫌い分かれるんじゃなかろうか。最近の日産顔って「好ましくない」と考える人が日産社内にも多いと言う。出だし好調のデュアリスながら、半年後に売れ行き伸び悩んでいればデザインだと思う。

日産デュアリス フロントマスク
日産SUVのアイデンティティとなっているV字型のグリルが大きな特徴となっているフロントマスク。ヘッドライトの形状も好みが分かれそうだ。
日産デュアリス サイドビュー
実際のボディサイズ以上のボリュームを感じるサイドビュー
日産デュアリス リアビュー
リアビューはムラーノを思わせる部分もある。ルーフ上に見えるスタイリッシュガラスルーフは上級の20Gにのみ用意される装備。
達人プロフィール: 国沢光宏
職業:自動車評論家
歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど、多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなくWRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。
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