ライター紹介

自動車評論家

松下 宏 氏

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。 誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。

アメリカンサイズの超巨大SUV

MLクラスやRクラスに続き、メルセデス・ベンツがアメリカのアラバマ工場で生産する3番目の車種であるGLクラスの輸入が始まった。GLクラスはMLクラスを大きく上回るサイズのボディを持つ最高級のSUVである。GL550 4MATICのボディは見るからに大きい。全長が5mを超え、全幅は2mに近く、全高も1840mmという巨大さだ。アメリカではこうした大型のSUVが好まれる傾向が強く、さまざまな自動車メーカーがアメリカで大型のSUVを販売している。ガソリン価格の上昇で多少は売れ行きが鈍ったともいわれているが、GLクラスのような高額車はさほど影響を受けていないとのことだ。

 ただ日本で使うことを考えると、前述のボディの大きさは使い勝手に影響する。狭い場所での取り回しなどで扱いにくさを感じるシーンも多いはずだ。最小回転半径は5.7mとそれほど大きくはなく、アウディQ7が6.0mに達していたのに比べたらずっとましだが、それでもボディが大きすぎるのは確か。

インテリア

巨体を支える5.5リッターV8による走り

 搭載エンジンはV型8気筒5.5LのDOHCで、メルセデス・ベンツのほかの高級車に搭載されているのと同じもの。285kW/530N・mという数値もセダン系のモデルと変わらないものとされている。GL550はボディの大きさと合わせて車両重量も極めて重く、2530kgに達しているのだが、このV8エンジンの圧倒的な動力性能はその重さを苦にしないだけの実力を発揮する。重量級のボディをグイグイ押し出していく力強さを感じさせるのだ。

 トランスミッションは電子制御7速ATの7Gトロニックで、このあたりは乗用車用の基本コンポーネンツが使われている。オンロードでの試乗だったので悪路走破性を確かめることはできなかったが、メルセデス・ベンツならではの電子制御4WDに加えてDSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)やヒルスタートアシストなど、オフロード走行のための仕様も用意されている。

 大きくて重いクルマだけに不必要に飛ばすのは良くないが、GL550はブレーキの効き具合もなかなか良かった。大径ローターを持つ前後ベンチレーティッドディスクにより、重さをカバーするだけの動力性能を発揮する。こうしたシャシー性能の高さはメルセデス・ベンツならではだ。

●まとめ

GL550の価格は1280万円。レンジローバーやBMWのX5、ポルシェ・カイエン、アウディQ7などと競合するクルマになる。マイナーチェンジを受けたボルボXC90なども含めて、1000万円級のSUVがにぎやかになってきた。

代表グレード GL550 4マチック 4WD
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 5100×1955×1840mm
車両重量[kg]2530kg
総排気量[cc]5461cc
最高出力[ps(kw)/rpm]387ps(285kw)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]54.0kg・m(530N・m)/4800rpm
ミッション7AT
10・15モード燃焼[km/l]5.9km/l
定員[人]7人
税込価格[万円]1280.0万円
発売日2006/10/02
レポート松下 宏
写真CORISM編集部