【ザ・対決】ダイハツ ムーヴ vs ホンダ ゼスト 徹底比較(2)〜達人コダワリ評価編〜

ROUND2：達人によるコダワリ評価

松下 宏 小さくて軽く、誰でも買える価格帯、そして燃費がよいということを信念としてクルマを評論。大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。 片岡 英明 学校の先生から自動車雑誌編集者経て、モータージャーナリストになったという異色の経歴を持つ。元教師ということもあり、分かりやすい評論に定評がある。さらに、クルマの細部まで見逃さない観察力はハンパではなく、徹底的に調べ上げてしまうほど。最新のクルマから、ヒストリックカーまで幅広い知識をもつ。 国沢 光宏 歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなく、WRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。

エンジン ダイハツ ムーヴ ホンダ ゼスト 松下 宏 新開発のアルミエンジンはエッセから採用が始まり、ターボ仕様と自然吸気仕様の両方にCVTが組み合わされて、ムーヴで完成した。動力性能、環境性能ともに最高水準だ。 ゼストのエンジンも決して悪いエンジンではないが、オーソドックスなSOHCで、とくにNAエンジンではムーヴのDOHC仕様との差が大きい。ターボのトルクでも劣っている。 片岡 英明 NAエンジンでも軽快感があり、加速も冴えている。4速ATは変速ショックがちょっと大きめだが、CVTは滑らか。ターボは低回転から力強いトルクを発生し、軽やかに加速する。 4速ATの洗練度が高く、NAエンジンでも滑らかな加速を見せつける。ただし、パワー感は今一歩だ。ターボは全域にわたって太いトルクを発生する。速いし、扱いやすさも一級品。 国沢光宏 軽自動車業界でもっとも新しいタイプのエンジンを搭載している。当然ながら燃費や使い勝手は良好。とくに低い回転域のトルクが太く、ターボなしでも十分走ってくれます。 ゼストに搭載されるエンジンも2003年の秋にデビューしただけに、燃費と動力性能を高いレベルイで両立させている。ただ効率という点でムーヴに若干届いていない感じ。

ハンドリング ダイハツ ムーヴ ホンダ ゼスト 松下 宏 電動パワーステアリングのフィールは悪くないが、全高が高いだけにロール感が出るのは止むをえないところ。ロングホイールベースが貢献して乗り味は決して悪くない。 リニアなステアリングフィールとフラット感のある乗り味はデビューした時点では相当に高いレベルにあった。今ではムーヴに追いつかれた感じだが、負けてはいない。 片岡 英明 安定志向の操縦フィールだ。サスペンションのストロークを活かした、優れた接地能力を売りにする。ロールは許すものの、揺れの収まりは速やかだ。乗り心地もなかなかいい。 背の高いボディを硬めのサスペンションで抑え込んでいる。ヤンチャ系で、かなりスポーティな味わいだ。安定したコーナリングを披露するが、乗り心地の洗練度は今一歩である。 国沢光宏 「楽しさより安定性重視」だったこれまでのダイハツ車からすれば明らかにワンランク上がったと思う。楽しさが出てきたのだ。乗り心地も良好。満足度極めて高い。 ハンドリングは良好。楽しさも安定性も高い。ただ乗り心地が硬過ぎか？　とくにスポーツ系のＷのリアシート、けっこう上下方向で厳しい。買う前にぜひ試乗してみよ。

パッケージング ダイハツ ムーヴ ホンダ ゼスト 松下 宏 軽自動車としては究極ともいえるパッケージング。ホイールベースもさすがにこれが限界ではないか。ロングスライドするリヤシートなど室内の広さでは随一のクルマだ。 背の高いパッケージングを採用しての登場で、室内空間は家族で使えるくらいの広さがある。ムーヴがさらに上を行くパッケージングを採用してきたが、ゼストも十分なレベル。 片岡　英明 シートはたっぷりとしたサイズだし、キャビンも広い。ベンチタイプの前席はソフトなタッチで座り心地がいい。後席は平板だが、実用になる広さだ。ドアも大きく開く。荷室も広い。 大柄な人でも最適な運転姿勢を取ることができる。座り心地はいいが、シートリフターの設定はないし、乗降性もムーヴに一歩譲る。頭上に余裕はあるが、後席は平凡な広さだ。 国沢光宏 ホイールベースをコンパクトカーと同じくらい確保した結果、もはや軽自動車と思えないくらいの室内スペースを得た。リアシートに成人男性が余裕で座れることに驚く。 必要にして十分ながら、結局は従来の軽自動車のパッケージングである。もちろんフロントシートをメインに使うのであれば、何の問題もないレベルではあります。

経済性 ダイハツ ムーヴ ホンダ ゼスト 松下宏 エンジンと新CVTによってリッター当たり20km/Lを超える低燃費を実現している。この燃費のよさはムーヴが競合車に対してもつ大きなアドバンテージといえる。 ムーヴの最新エンジン＋CVTに比べるとゼストのエンジン＋4速ATとの燃費性能の差はけっこう大きい。エンジンの仕様が古くなりつつあるのが理由といえるだろう。 片岡英明 NAエンジンは10・15モード燃費が23.0km／L、ターボは21.5km／L。CVTの優位性が感じられる。4速AT車でもNAエンジン搭載車は20km／Lの大台に乗り、装備も充実！ NAエンジン搭載車でも燃費は20km／Lの大台に届かない。だが、ターボはNAエンジンに迫る10・15モード燃費を達成した。軽自動車だから自動車税や保険料はかなり安く済む。 国沢光宏 新エンジンにCVTを組み合わせたモデルは抜群の経済性を発揮する。室内スペースと燃費のバランスという点から評価すれば、軽自動車ナンバー１だと思う。車両価格は普通。 燃費や車両価格について言えば、いろんな意味で「平均的な軽自動車」。ただ中古車市場の人気は期待できるため、次に乗り換えるときのリセールバリューはいいと思う。

お買い得感 ダイハツ ムーヴ ホンダ ゼスト 松下 宏 新開発のコンポーネンツが多いこともあって価格設定がやや高めになった感じ。その分だけイニシャルコストでやや不利になるものの、総合的には納得の価格だと思う。 ムーヴに比べると価格設定がやや安め。パワートレーン系の仕様の違いが影響しているのは間違いない。ただ燃費性能で逆に大きく劣るので総合的には互角といった印象だ。 片岡　英明 装備やキャビンの広さを考えると、かなり買い得な印象だ。排出ガス低減レベルは星3つから星4つだし、グリーン税制にも一部グレードが適合している。Xリミテッドは内容が濃い。 ベースグレードのNは装備が今一歩。それなりに装備が充実しているのは、その上のGだ。ただし、グリーン税制には適合していないなど、買い得感に関しては不満点も見られる。 国沢　光宏 クルマの内容を考えれば軽自動車で一番お買い得。コンパクトカーから乗り換えても何ら不満は感じないんじゃなかろうか。買うならぜひ上級グレードをどうぞ！ ホンダというブランドイメージが強い追い風になっている。ムーヴほどの実用性は持っていないけれど、だからといって不満を感じることもない。中の上といった評価か？

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