ザ・対決 ダイハツ ムーヴ VS ホンダ ゼスト
ハイト系軽自動車編
ダイハツ ムーヴ vs ホンダ ゼスト

小型・普通乗用車を大きく上回る販売台数など、熾烈な戦いが繰り広げられるハイト系軽自動車。広大な室内によるミニバンライクな使い勝手と、各段にレベルアップした走りなど、満足度も高い。このジャンル、ワゴンR vs ムーヴといった図式は変わらないものの、他メーカーも手をこまねいているわけもなく、続々と新型車を投入。以前、本企画でスバルのステラなど、オリジナリティ溢れるライバルたちが続々と登場してきている。そこで今回はホンダ初のハイト系であるゼスト。そして新型にスイッチしたばかりのムーヴを対決させてみようじゃないの!

永浜いりあ
PHOTO/高木博史 構成/近藤暁史
モデル/永浜いりあ

ROUND1:ファーストインプレッション

ダイハツ ムーヴ
ダイハツ ムーヴ
大ヒットを続ける超人気者
各部を新開発して満を持す

 スズキのワゴンRと人気を二分するのが、ダイハツのムーヴだ。モデル末期のワゴンRに対して、先行して新型へとスイッチしたアドバンテージは大きく、コンセプトはズバリ「クラスを超えた新次元へ進化」。とくに注目なのはパッケージングで、シャーシは新開発とする力の入れよう。トピックスとしてはタイヤを四隅に配置しつつ、エンジンをできるだけ前方に追いやることで無理なく室内空間を拡大している点だ。実際に乗り込んだ瞬間から広さが十分に体感でき、とくに後席まわりは広大といってもいいほどである。またロングホイールベースが新型シャーシの特徴のひとつで、その数値はなんとソニカ以上と、操安性や乗り心地の向上に貢献している。
 そしてエンジンだが、ダイハツ自慢のトパーズエンジンは可変バルブシステムのDVVTを採用するなど、各部を徹底的にブラッシュアップ。世界初のスーパーインテリジェント触媒も装着し、環境性能にもこだわる。さらにCVTも新開発していて、これは内部構造に世界初のシステムを採用したもの。駆動伝達力や燃費の向上に加えて、軽量・小型も特徴だ。
 標準車に対して、以前から人気のカスタムも用意されており、今回対決に連れ出したのはこちら。丸目を強調した精悍なシルエットで、先代よりもさらに差別化が図られている。

[ムーヴ価格帯]
101.85〜167.475万円

ホンダ ゼスト
ホンダ ゼスト
ホンダ独自のパッケージングで
広大な室内と荷室を実現

 ホンダもかなり初期の段階から軽自動車を手がけ、Nシリーズなどユニークな車種を多くリリースしてきた。しかし、最近主流のハイト系に関しては今まで手つかずのジャンルだったのだが、販売面を考えると必要性は高いということで開発されたのがゼストだ。ベースはライフとし、スクエアなボディを乗せてハイト系化。顔はまさにホンダ顔で、ミニステップワゴン的なイメージも漂う。軽とはいえ、ホンダらしさ十分で他社とは一線を画したテイストを演出するのに成功している。
 特徴はなんといってもホンダ自慢の低床プラットホーム。そのおかげで車高をそれほど高くすることもなく、広大な室内を実現している。室内高はなんとステップワゴンに匹敵するほど。またラゲッジに関しても同様で、軽自動車最低のフロア高を実現しているだけに開口部はじつに広い。こちらもなんとステップワゴン以上の開口面積を誇るほどだ。
 エンジンは若干のチューニングの違いはあるもののライフ譲りといってよく、走行性能と環境性能を両立させたi-DSLユニットを搭載。NAに加えて、ターボも用意されている。どちらも味付けは従来からの軽自動車のイメージを覆す、しっとりしたものでコンパクトカーライク的。それだけに高速巡航でも静粛性は高く、ゆったりとクルージングすることができる。

[ゼスト価格帯]
103.95〜157.5万円

ダイハツ ムーヴ カスタム RS
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
3395×1475×1615mm
車両重量
880kg
エンジンタイプ
直列3気筒DOHCターボ
総排気量
658cc
最高出力
64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク
10.5kg-m(103N・m)/3000rpm
ミッション
CVT
10・15モード燃費
21.5km/L
サスペンション(前/後)
マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング
税込価格
155.4万円
ホンダ ゼスト スポーツ Wターボ
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
3395×1475×1635mm
車両重量
920kg
エンジンタイプ
直列3気筒SOHCターボ
総排気量
658cc
最高出力
64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク
9.5kg-m(93N・m)/4000rpm
ミッション
4速AT
10・15モード燃費
17.6km/L
サスペンション(前/後)
マクファーソンストラット/車軸式
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング
税込価格
144.9万円
ダイハツ ムーヴ エンジン

室内のスペースを稼ぐためにギリギリまで前に出され、エンジンルームはギチギチ。ターボはカスタムだけに設定され、標準車はNAのみ。

ホンダ ゼスト エンジン

エンジンはホンダの小型環境ユニットの証であるi-DSLを採用。ターボも用意されているが、こちらもi-DSLとなっている。

ダイハツ ムーヴ タイヤ

一般的な軽自動車としては初となる16インチホイールを装着。ゴツゴツ感はなく、うまくスタビリティのみを向上させている。

ダイハツ ムーヴ インパネ

センターメーターというだけでなく、大胆に左右を結ぶ大型のメータークラスターなど開放感溢れる。シフト部分の張り出しも少ない。

ホンダ ゼスト タイヤ

こちらは15インチホイールとなるのだが、スポーツWというグレードは、かなりガチガチのサスペンションで、ホンダイズム全開だ。

ホンダ ゼスト インパネ

直線を基調にしたデザインは骨っぽい感じだ。なんと、ステアリングはシビックと同じタイプが採用されており、操作性は上々。

ダイハツ ムーヴ シフト

ミッションは4速ATも用意されるが、新開発のCVTがメインとなる。ファジー制御なども行ない、リニア感もかなり高い仕上がりだ。

ダイハツ ムーヴ フロントシート

一見するとミニバンにも見えるフロントシートまわりの質感の高さ。アームレストは大型で、ゆったりと走りを楽しむことができる。

ホンダ ゼスト シフト

全グレード、4速ATのみだが、プロスマチック化することで、坂の上り下りなどに対して適正なファジー制御を行なってくれる。

ホンダ ゼスト フロントシート

シートは大ぶりで、しっかりと乗ることができる。さらにグラスエリアも広く、ドライブ時の見切りもよく、扱いやすい。

ダイハツ ムーヴ リヤシート

最近の軽自動車はリヤシートのスペースを競っているが、この足もとの余裕っぷりはさらに上をゆく。しかも完全フラットなのだ。

ダイハツ ムーヴ ラゲッジ

乗員スペース優先ということもあり、正直なところ、ラゲッジは最小限といっていい。リヤゲートは横開きなので、開閉自体は楽。

ホンダ ゼスト リヤシート

低床化のおかげで、全高を控えめにしつつも、室内は広々。ただし、シート自体は小さめで、座面のクッションも薄いのが気になる。

ホンダ ゼスト ラゲッジ

乗員スペースだけでなく、ラゲッジ容量にもこだわったというだけに、ノーマル状態でもこの広さ。しかも開口部はかなりの大きさだ。

ダイハツ ムーヴ ラゲッジ

センター部分にある大ぶりのレバーを倒せば、ここまで広くなるし、また座面を引き上げなくても完全フラットを実現している点に注目。

ホンダ ゼスト ラゲッジ

さらにリヤシートを収納するとさらに広大になる。ダイブダウンで、足元にスッポリとはまるので、低床を存分に活かすことができる。

ダイハツ ムーヴ vs ホンダ ゼスト

低回転からしっかりとトルクが出るので、それほど回さなくてもキビキビ走るゼスト。そしてムーヴは先代に比べると、かなり低回転重視に変わってきている。やはり後発な分、ムーヴのほうが完成度は高いというのが印象だ。