ライター紹介

221616 編集部

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新しいマーケットを切り拓く最上級ハッチバック

06年12月21日、トヨタから新しいハッチバック車「ブレイド」が発表された。車名の「ブレイド」は英語で「刃(やいば)」の意味。国内専用の車種となる。トヨタではこの名前を「スタイルや走りにおいて人を魅了する鋭さを持ち、新しいマーケットを切り拓きたいという願いを込めた」と語る。
 実はこのブレイド、先に発表された「オーリス(AURIS)」とプラットホームなどの基本構成を共用する、いわば兄貴分。1.5および1.8リッターエンジンを搭載するベーシックなオーリスに対し、ブレイドは2BOX車にしては大きめの排気量2.4リッターエンジンを搭載するのが大きな特長だ。内外装も専用部品を多く使ういっぽう、安全面においてもVSC&TRC、SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ、運転席SRSニーエアバッグなどを標準装着するなど、高級車顔負けの充実度にも驚かされる。そんな新種の2BOX「ブレイド」の狙いについて順を追って紹介していこう。

トヨタ ブレイド (BLADE) 〜トヨタブランド最上級ハッチバック〜

エンジンは2.4リッター1種類のみ

先に述べたように、新型ブレイドのエンジンは1種類。直4 2.4リッター 2AZ-FE VVT-I(連続可変バルブタイミング機構)エンジンを搭載する。最高出力167ps(123kW)/6000rpm、最大トルク22.8kg-m(224N・m)/4000rpm。2リッター超のエンジンらしいパワフルさで、0→100km/h発信加速は9.4秒(トヨタ計測値)をマークするなど、スポーツカー顔負けの加速性能を誇る。いっぽうで10.15モード燃費は13.4km/l(2WD車)を記録し、国土交通省の平成22年度燃費基準を満たす。また排気システムの最適化などにより平成17年度基準排出ガス75%低減レベルをクリアし、低排出ガス車4ツ星認定も受けている。

 組み合わされるミッションはSuper CVT-I(自動無段変速機)。通常のDレンジのほかに、マニュアル車感覚のシフト操作が楽しめる7速スポーツシーケンシャルシフトマチックを全車に採用する。
 なお、メーカーオプションのHDDナビ装着車には、コーナーや勾配といったナビの道路情報や、交差点などの経路案内と連動したNAVI-AI-SHIFT制御を設定。コーナリング時や山間路でのアクセルコントロール性やドライバビリティを高めるという。

VSC&TRC、SRSサイド・カーテンシールド、運転席ニーエアバッグが標準装備!

ブレイドの開発テーマは「洒落た大人の高級ハッチバック」。広告展開では、ハッチバックや2BOXではなく「ショートプレミアム」と呼ばせている。国内のライバル車のみならず、日本で最も売れている欧州プレミアム2BOXハッチ、「VW ゴルフ」を仮想敵として強く意識していることが明らかだ。
 それを最も端的に現すのが、欧州のライバルが標準装備するVSC(横滑り防止装置)&TRC(トラクションコントロール)、SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ、運転席SRSニーエアバッグなどを、ブレイドでも軒並み標準装着としている点。日本車の同クラスではまだまだオプション設定かあるいは設定すらない高価な電子デバイスや安全装備を奢るあたり、トヨタの本気具合がうかがえる。
 その他、トヨタご自慢の全方位コンパティビリティボディ構造『GOA』も、社内実験において国土交通省の自動車アセスメントの最高ランク6ツ星レベルに相当する衝突安全性能を確保しているという。
 サスペンション構成は、フロントのマクファーソンストラットこそオーリスと同形式だが、リアはトーションビーム式のオーリス※に対し、ブレイドではダブルウィッシュボーン式に換えられている。駆動方式は2WD(FF)と4WD。後者には電子制御により駆動配分制御を行なうアクティブトルクコントロール4WDを採用する。
※オーリスは4WD車のみリアにダブルウィッシュボーン式を採用

高級感を演出したエクステリア

大まかなフォルムだけを観る限りはオーリスとの近似性を感じる外観だが、ディテールをチェックしていくとブレイドの主張を垣間見ることが出来る。まずは、メッキが光る3本の横バーフロントグリルが目をひく。そのセンターに輝くのは、例のトヨタマークではなく「b」の文字をブレイド(刃)のイメージでデザインしたロゴマークだ。カジュアルなオーリスに対し、高級なブレイド、という対比が見て取れる。またヘッドランプも、オーリスとは異なるL型異型デザインにプロジェクターランプがレイアウトされ、ここでも高級感を演出しているのがわかる。
 いっぽうリアでは、LEDタイプの横長なクリアコンビランプを採用し、さらに黒いバンパーガードをアンダー部に設定するなど、ワイド感を強調したデザインとした。
 ボディカラーは7色。濃いゴールドやワインレッドなど高級感ある色彩が多くセレクトされているいっぽう、ビビットな赤(スーパーレッドV)といった欧州車を想わせるカラーも用意されているところが面白い。

ボディカラーは全部で7色。写真はシルバーメタリック

メッキが光る3本の横バーフロントグリル。

横長のスリットデザインが印象的なLED式リアコンビランプ

特別色 クールホワイトパールクリスタルシャイン

ジンジャーレッドマイカメタリック

特別色 ディープゴールドパールクリスタルシャイン

ブラックマイカ

スーパーレッドV

ダークブルーマイカ

素材に凝った上質なインテリア

いっぽうのインテリアも基本的な構成パーツこそオーリスに近いものの、素材の選び方などは大きく異なる。メーターフードやグローブボックスの周りはスウェード調革張り仕上げとし、非常に上品だ。また、印象的なセンタークラスターからシフト、パーキングレバーへと続く造形部にはチタン調塗装、パネル部にはブルーブラックメタリック塗装を配し、精悍な印象を与える。ステアリングホイールの本革巻は、トヨタ内でも最高級の品質のものを使用しているという。
 シートも見た目にも柔らかそうなデザインで、ホールド性の高いスポーツシートを採用。またGグレードの運転席には8ウェイマルチアジャスタブルパワーシートも付くほか、シート表皮にはスウェード調人工皮革「アルカンターラ」を採用。さらにドアトリムにもステッチを施したスウェード調の表皮とするなど、全体に上質な雰囲気を演出している。
 その他Gグレードには3連LEDを使用した天井大型イルミメーションや、ルームミラーに内蔵された白色LEDが演出するシフトイルミネーションが採用されるなど凝った室内照明にも注目したい。

価格もちょっと「プレミアム」!

グレード構成は標準「ブレイド」と「ブレイドG」の2タイプ。それぞれ2WDと4WDが設定される。
キーを携帯するだけで解錠、エンジンスタートが可能なスマートエントリー&スタートシステムは全車に標準装備される。その他、オプションのHDDナビに連動し音声ガイダンス機能付カラーバックガイドモニターがセットされるほか、トヨタご自慢のインテリジェンスパーキングアシストもGグレードにオプション設定される。
 「ブレイド」標準タイプが224.7万円(2WD)256.2/万円(4WD)、「ブレイドG」が245.7万円(2WD)/277.2万円(4WD)と、価格もちょっと「プレミアム」だ。欧州ライバル車とも、機能面のみならず価格面でも真っ向勝負をかける格好になる。月販目標は3000台。全国のトヨタ店・トヨペット店系で販売される。2BOXラインナップのフラッグシップとして、「ブレイド」でトヨタブランドの真価を問う。

代表グレード ブレイド G(2WD)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4260x1760x1515mm
車両重量[kg] 1675kg
総排気量[cc] 2362cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 167ps(123kW)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 22.8kg-m(224N・m)/4000rpm
ミッション 7速シーケンシャルシフトマチック付き Super CVT-i(自動無段変速機)
10・15モード燃焼[km/l] 13.4km/l
定員[人] 5人
消費税込価格[万円] 256.2万円
発売日 2006/12/21
レポート 徳田 透(CORISM編集部)
写真 CORISM編集部/トヨタ自動車