ザ・対決 トヨタ プリウス VS ホンダ シビック・ハイブリッド
ハイブリッドカー編
ハイブリッドカー編

日本車が世界をリードしているもののひとつにハイブリッドがある。他国のメーカーが未だ開発できないなか、完全に実用化し、ごく普通に市販しているのは驚くべきことといっていい。その元祖たるのが、お馴染みトヨタのプリウス。そして技術のホンダがまったく違う発想で、そのあとを追いかける。シビック・ハイブリッドはその最先端に位置するが、果たしてこの両車を対決させた場合、優位性はどちらに軍配が上がるのか? とくに数字に出てしまう燃費については、非常に気になるところ。もちろん実走データで、真の実力に迫ってみた!

川口みさ
PHOTO/佐藤靖彦 構成/近藤暁史
モデル/ 川口みさ

ROUND1:ファーストインプレッション

トヨタ プリウス
トヨタ プリウス
システムの熟成は大きく進み
走りの質もグンとアップ

 初代プリウスが登場したのは1997年のことだから、もう10年ほどが経過しているわけだ。このトヨタの先進性にはただ驚くしかないのだが、今から見ればシンプルであったハイブリッドシステムもTHSからTHSIIへと進化。1.5リッターエンジンとモーターの組み合わせというのは変わるところはないが、まず使用電圧を300Vにまで高めている点に注目で、その結果モーターの出力を大幅にアップさせることに成功している。35.5km/Lという驚異的な燃費を実現するだけでなく、2リッタークラス以上の走りを披露する。また初代では気になったエンジンとモーターの切り替え時のギクシャク感は、2代目プリウスではほぼ皆無になっており、走りの質という点でも完成度は高まっている。また任意でモーター走行に固定できるEVモードやインテリジェントパーキングアシストといった世界初の装備も採用されるなど、話題は満載だ。またガソリン車にハイブリッドシステムを組み込むのではなく、専用ボディとしているのも「ハイブリッド車感」を大いに強調しており、優れた燃費に加えて、気分的な満足感は高いといっていいだろう。

[今回測定実用燃費]
27.8km/L
[プリウス価格帯]
226.8〜325.5万円

ホンダ シビック・ハイブリッド
ホンダ シビック・ハイブリッド
ホンダ独自のシステムで
トヨタとは一線を画す

 プリウスの登場から遅れること4年の2001年に登場したのが初代シビック・ハイブリッドだ。その後、2005年にシビック自体のフルモデルチェンジに合わせて2代目へと進化した。システム的には先行発売されていたインサイトのものを継承しており、エンジンとモーターを別々にして協調制御を図るというトヨタとはまったくの別物。簡単にいってしまうと、エンジンとミッションの間にモーターを挟み込むというもので、シンプルで小型というのが特徴となる。それゆえ、搭載車種の拡大も容易といっていいだろう。ただし、モーター自体のスペースが限定されてしまうことから、自ずとその出力には限界があり、簡易型と見る意見も多い。実際、モーターのみでの走行は不可能。アシストも力強いわけではないため、実際の燃費もプリウスと比べると遜色があるのは事実だ。また見た目は普通のシビックというのも、まだハイブリッドが特別な存在である現状では、購入時の満足感が薄いという点で大きなハンディだろう。使い勝手自体は実用ミディアムセダンだけに、取り立てて不満は出ないが、この点も5ドアハッチバックであるプリウスと比べるとどうだろうか?

[今回測定実用燃費]
18.3km/L
[シビック・ハイブリッド価格帯]
222.6〜259.4万円

プリウス1.5G
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4445×1725×1490mm
車両重量
1280kg
エンジン(モーター)タイプ
直列4気筒DOHC(交流同期モーター)
総排気量
1496cc
最高出力
77ps(57kw)/5000rpm
最大トルク
11.7kg・m(115N・m)/4200rpm
ミッション
CVT
10・15モード燃費
33.0km/L
サスペンション(前/後)
マクファーソン・ストラット/トーションビーム
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング
税込価格
262.5万円
シビック・ハイブリッドMXB
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4540×1755×1435mm
車両重量
1260kg
エンジン(モーター)タイプ
直列4気筒SOHC(交流同期モーター)
総排気量
1339cc
最高出力
95ps(70kw)/6000rpm
最大トルク
12.5kg・m(123N・m)/4600rpm
ミッション
ホンダマルチマチックS(CVT)
10・15モード燃費
31.0km/L
サスペンション(前/後)
マクファーソンストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング
税込価格
222.6万円
トヨタ プリウス

1.5リッターエンジンとモーターの組み合わせは初代から変わることはないが、制御電圧を高めるなどし、出力をアップさせている。

ホンダ シビック・ハイブリッド

バッジが付いているものの、ハイブリッドであることは見た目からはあまり感じられない。シンプルなシステムがシビックの利点だ。

トヨタ プリウス タイヤ

タイヤは185/65R15と実用重視のサイズ。ホイールデザインはオーソドックスなものの、もちろん軽量化に力が入れられている。

トヨタ プリウス インパネ

ハイブリッドの持つ未来感を演出しつつも、しっとり落ち着いた高い質感も両立しているのはさすが。世界のセレブも満足だ。

ホンダ シビック ハイブリッド タイヤ

15インチとはいえ、1本あたり6.9kgという超軽量ホイール。デザインも専用で、見た目でハイブリッドをアピールする数少ないポイントだ。

ホンダ シビック ハイブリッド インパネ

基本的にはガソリン車のシビックと変わるところはないが、ベースデザインからしてかなり大胆で、実用セダンにありがちな地味さはない。

トヨタ プリウス フロントシート

レザーパッケージを選べば、高級車のような気持ちのいい乗り心地を味わうこともできる。さらにドライビングポジションもじつに自然。

トヨタ プリウス リヤシート

5ドアハッチとしたことで、ヘッドクリアランスをタップリと確保でき、ゆったりと座ることができる。パッケージングも文句なしだ。

ホンダ シビック ハイブリッド フロントシート

ステアリングコラムが手前に出ていて、レース車両っぽい感じ。シビックだけに、座り心地や見切り、取り回しなどに不満はまったくない。

ホンダ シビック ハイブリッド リヤシート

ミディアムセダンだけに、ルーフの落ち込みがリヤシートにも影響を与えている。レッグスペースは余裕があるのだが、それ以外は最小限。

トヨタ プリウス メーター

制御状況や燃費といったメーターはじつのところ、控えめ。インパネ全体でプリウスらしさを演出しているから、メーターは小ぶりでもいいのだろう。

トヨタ プリウス シフト

インパネから生えるシフト。シフトというより、もはやスイッチ。小型のスティックで操作感はゲームっぽい。慣れるとサッと操作できる。

ホンダ シビック ハイブリッド メーター

メーターはユニークな2段式。タコとスピードが別々なのだが、ハイブリッドならではの表示は両サイドに設置され、かなり控えめだ。

ホンダ シビック ハイブリッド シフト

CVTだが、ホンダ独自の制御を行なうホンダマルチマチックS。もちろんハイブリッドのうま味を最大限に引き出すセッティングとなっている。

トヨタ プリウス ラゲッジ

初代がセダンだったのに対して、ハッチバック化したことでラゲッジは広大。もちろんリヤシートを倒して、拡大することも可能で実用的だ。

ホンダ シビック ハイブリッド ラゲッジ

プリウスと比べるとスペース的には劣るが、セダンとしてはまったく遜色のないラゲッジルーム。ただリヤシートを倒すことはできない。

トヨタ プリウス vs ホンダ シビック・ハイブリッド

モーターのアシストがガッチリと効くプリウスのほうが胸のすく加速が楽しめるなど、気持ちいい。やはりモーターの出力に限界のあるシビックの走りは実用レベルに止まる。走りのフィーリングはまったく違う。