【ザ・対決】ホンダ ストリーム vs トヨタ ウィッシュ徹底比較 (2)〜達人コダワリ評価編〜

ROUND2：達人によるコダワリ評価

松下 宏 小さくて軽く、誰でも買える価格帯、そして燃費がよいということを信念としてクルマを評論。大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。 片岡 英明 学校の先生から自動車雑誌編集者経て、モータージャーナリストになったという異色の経歴を持つ。元教師ということもあり、分かりやすい評論に定評がある。さらに、クルマの細部まで見逃さない観察力はハンパではなく、徹底的に調べ上げてしまうほど。最新のクルマから、ヒストリックカーまで幅広い知識をもつ。 国沢 光宏 歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなく、WRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。

エンジン ホンダ ストリーム トヨタ ウィッシュ 松下 宏 1.7リッターから100cc排気量アップされて性能的にもまずまず。多人数乗車時はともかく日常ユースでは不満を感じない。2リッターはトルク感のある走りと燃費とのバランスが魅力。 カタログデータの比較では1.8リッターはストリームに劣るが直噴の2リッターは上回っている。ほぼ互角の実力だが、吹き上がりの軽快さなどでストリームのほうがやや優位か。 片岡 英明 2リッターのi-VTECエンジンは、滑らかさ/トルクの出方/パワー感/静粛性すべてでクラストップレベルの実力だ。実用燃費もいい。1.8リッターエンジンも満足できる。 2リッターの直噴エンジンはパンチ力がある。CVTの採用もあり、加速は力強い。1.8リッターエンジンも厚みのあるトルクを発生するが、加速時にエンジンが唸るのが弱点だ。 国沢光宏 世界でもっとも新しいコンセプトを取り入れたエンジンを搭載。1.8リッターは5速ATと。2リッターはCVTと組み合わされる。いずれもスムーズで快適である。 これといった特徴も弱点もない。けれど丈夫で信頼性高く、燃費だって悪くない。1.8リッターが4速AT。2リッターは多少滑らかさに欠けるCVTと組み合わされる。

ハンドリング ホンダ ストリーム トヨタ ウィッシュ 松下 宏 スポーティで軽快感のある走りがストリームの身上。低重心のパッケージングは走りにも貢献し、とりわけRSZはコーナーでのロールを抑えた安定感のある走りを実現する。 2.0 Zは足回りのチューニングやタイヤサイズの違いなどによってやや硬めの乗り心地となるが、ほかのモデルは全体に乗り心地を重視した柔らかめの乗り味でやや平凡な印象。 片岡 英明 ボディなどの高い剛性が軽快なフットワークと絶大な安心感を生み出している。低い重心と相まって、一体感のある走りと素直なハンドリングを身につけた。乗り心地もしなやかだ。 接地能力が高く、ドッシリとした落ち着きが感じられる。軽快感もあるが、2.0Ｚはパワーステがちょっと重く、乗り心地も硬質だ。1.8リッターモデルはバランスがいい。 国沢光宏 「ミニバンとしては良い」というレベルじゃなく、日本車のなかでトップクラスの走りの質感を持つ。なかでも素晴らしいのがガッシリしたボディ＆滑らかな乗り心地です。 1.8リッタークラスの乗用車と比べてもまったく遜色なし！　街中から高速道路、ワインディングロードに至るまで、普通のクルマを運転している感覚。乗り心地は硬め。

パッケージング ホンダ ストリーム トヨタ ウィッシュ 松下 宏 低床プラットホームによる低重心パッケージングはホンダならではのもの。タワーパーキングに入るまで低くした低全高ながら室内には十分な空間が確保されている。 5ナンバーサイズの中に十分な空間を確保した点は評価できるが、ストリームの革新的なパッケージングに比べると特徴に欠ける印象。今では3列目の居住性も物足りない。 片岡　英明 背は低いが、フロアを低く抑え、十分な頭上空間と優れた乗降性を手に入れた。ベージュの内装色は感覚的に広く見え、居心地がいい。サードシートも実用になる広さを確保している。 ややアップライトな姿勢で座り、2列目と3列目の居心地もいい。斜め前方に死角があるものの四方の見晴らしは良好だ。サードシートも不満のない広さだが、足入れ性は今一歩。 国沢光宏 3列シートミニバンでは少数派の「乗用車同じ開くタイプのドア」を持つ。全高1545mmと、ほとんどのタワーパーキングが利用可能。使い勝手は乗用車とまったく同じ。 ストリームと同じく「開くドア」の3列シートミニバン。違いはタワーパーキングが利用できない1590mmという全高。都市部では少し不便を感じるかも。

シート&アレンジ ホンダ ストリーム トヨタ ウィッシュ 松下宏 フラットでスクエアなラゲッジスペースが簡単な操作で作れるのは大きなメリット。3列のシートを使った状態でも大きな収納スペースが確保されるのは魅力的なポイント。 助手席の背もたれを倒し3列分の空間を使って長尺物を積めるのはストリームにはない特徴。ただ2〜3列目のアレンジのしやすさではやや劣る部分がある。トータルでは互角か。 片岡英明 2列目に6対4分割可倒式シートを採用し、シートバックも長くなったから気持ちよく座れる。サードシートも厚みを増し、座り心地がいい。荷室のアレンジも工夫されている。 2列目にキャプテンシートを用意する。シートは張りが強く、クッション部も厚みがないのでフィット感は今一歩。シートアレンジもソツがなく、ラゲッジ容量もストリームを凌ぐ。 国沢光宏 先代モデルのパッケージングも素晴らしかった。後出しジャンケンのウィッシュさえ、ストリームを凌げなかったほど。しかし新しいストリームは一段と広い。凄い！ このボディサイズで身長183cmの成人男性が運転席/2列目/3列目シートに無理なく座れるのだから驚く。とくに3列目シートを畳めば、広いラゲッジになります。

スタイル ホンダ ストリーム トヨタ ウィッシュ 松下 宏 ひと目見た印象はミニバンというよりステーションワゴンを思わせるもの。いかにもスポーティでスタイリッシュなデザインはストリームならではの個性を表現したものだ。 見るからにミニバンらしい外観デザインを採用する。その意味で分かりやすいクルマであり、ごく普通のファミリーユーザーにはこのほうが好まれるかもしれない。 片岡　英明 ワゴンのようにスポーティかつ伸びやかなフォルムで、フロントもリアもエネルギッシュなデザインだ。小型車サイズのなかに収めながら強い存在感と強い個性を放っている。 こちらも軽快でスポーティなデザインだ。まとまりのいいデザインで、フロントマスクとリアも破綻がない。ストリームと比べるとオーソドックスだが、飽きないし、万人好み。 国沢　光宏 3列シートのミニバンというより、カッコ良い５ドアハッチバック風。フィットと同じく見飽きることのない優れたデザインだと思う。日本車のなかじゃ久々のホームラン。 デビューから4年近く経つものの、いまだに古さを感じさせない。とはいえクルマ選びにコダワリを持つ人だと個性に欠ける。やや物足りなく感じるんじゃなかろうか。

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