新開発の4.6リッターV8+8ATの組み合わせはダテじゃない!
搭載エンジンはV型8気筒4.6Lの自然吸気DOHC。トヨタは先にISやGSなどに搭載したV型6気筒3.5Lの新型エンジンを持っているが、これに2気筒加えたのが今回の新エンジンだ。3.5LのV型6気筒がポート噴射と直噴を組み合わせることであらゆる回転領域でパワフルなエンジンに仕上がっていたのと同じように、このV型8気筒エンジンも同様の仕様によって豪快なパワーフィールを実現する。
というか、実際に走らせた印象としては、実に静かで滑らかに吹き上がっていくので、豪快さを感じさせないようなスムーズな力強さとなる。今回の国内仕様車では超高速域での走りを試すことはできなかったが、ヨーロッパでの試乗時にはアクセルを踏み込んで気付いたときには150km/hを軽く超えているような速度域に達していた。速度感が希薄なのは必ずしも良いことではないという指摘もあるが、静かで滑らかかつ安定した走りが実現されているからこそ、速度感が薄い面もあるのだ。283kW(385ps)/500N・mのパワー&トルクはダテではない。
新開発の電子制御8速ATも実に良い。メルセデス・ベンツが7速の7Gトロニックを出しているから対抗上8速にした思われることだけが難点だが、とても滑らかで変速ショックのない走りを実現する。ただ、このATには現在何速のギアを使って走っているかを表示する機能がない。試乗する立場からするとどの状況で何速を使って走るのかを知りたいところだが、そんなことを考える必要がないくらいにスムーズな走りが可能なのだ。このATの制御も相当なものといえる。
日本的やすらぎを感じさせる静寂の乗り心地
電子制御エアサスペンションの乗り心地はあくまでも快適なもの。減衰力可変システムを採用することで、より高い次元で安定性と乗り心地が両立されている。電子制御パワーステアリングと可変ギアレシオステアリングも好フィール。電子制御式であることによる違和感を全く感じさせないリニアな感覚の操舵フィールが得られるのだ。
走行中に感じられる圧倒的な静粛性の高さや、ストレスを感じさせない滑らかな走りのフィールなど、LS460はレクサスならではのクルマに仕上がっている。これらの要素は、ともすれば味の薄さとして指摘される要素でもあるが、個性を声高に主張しない控えめな姿勢こそが東洋的、日本的なものであり、仮に味が薄いとしてもそのこと自体がレクサスの味であると主張して良いと思う。
●お勧めグレード
レクサスLS460は本当に良いクルマに仕上がったと思うが、価格も相当に高くなった。これはいろいろな装備や仕様がテンコ盛りになっているためでもあるが、ベース車の価格が770万円となると普通のユーザーには簡単に手の届くクルマでない。装備や仕様の違いを考えたらレクサス分のブランド代は高くても50万円くらいのものなのだが、絶対的な価格帯が770万円から1000万円というのではあまりにも高い。
特に後方プリクラッシュセーフティを含む最新の安全装備をオプション装着できるのが最上級グレードだけであり、100万円ほどのプリクラやほかのオプション装備を含めて考えると、最上級グレードのフルオプション車では1200万円くらいになってしまう。
こうなると、素っピン状態ともいえるベースグレードを770万円で買うのが最もリーズナブルな買い方になりそうだ。