![三菱ランサーエボリュ-ション9 MR](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220914/20220914224942.jpg)
4G63エンジン搭載の最終仕様
92年に初代が登場して以来14年を迎えた第3世代「ランサーエボリューション」シリーズの集大成モデルでもある「エボリューション�MR」が登場した。同時に初代モデルから搭載され、高い信頼性とハイパワーが売りの4G63型エンジンの最終モデルでもある。
より機能美を追求したエクステリア
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まず、エクステリア部分での変更点は、フロントバンパー左右下部のエアダム形状を若干ではあるが下方に延長した。これは、前方から車体下面への気流を減少させ、空気抵抗の低減とフロントダウンフォースの増大を図り、高速走行時での車体を安定させる。また、見た目にもそれと分かり易い左右両側面に設けた凹形状により車体側面の気流を剥離させてホイール内等にこもる空気を効果的に排除している。
エクステリア的にはその程度の変更に留まっているがしっかりと「エボ�MR」としての存在感をかもし出している。
エクステリアの細部
ブラッシュアップされたインテリア
インテリア部の変更点は、乗車してすぐに目に付くのはインストルメントパネルとセンターパネルが従来のシルバーからピアノブラック塗装になった事によってよりプレミアム感が演出された。そしてインナードアハンドル及びエアコン部のエアアウトレットノブもメッキ塗装にされた事もそれに伴っている。
標準装備のRECARO社製バケットシートには今回新たにアクセントとしてレッドステッチが追加されより高級感と共によりレーシーに演出されている。
これらインテリア部においても大きな変更ではないが、ドライバーにはしっかりと躍動感は伝わってくる。
インテリアの進化度合い
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走りはより扱いやすく、しなやかな方向に進化
![三菱ランサーエボリュ-ション� MR](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220914/20220914225010.jpg)
「エボ�MR」に進化して大きな変更点といえばエンジンとサスペンションだろう。
まずエンジン系の変更点は、MIVEC(連続可変バルブタイミング)をより最適化させ、低回転時から高回転時までの全域での高性能を実現している。そして、ターボチャージャー部では、タービンホイール材質をインコネルからチタンアルミ合金とすると伴に、コンプレッサー入口径を縮小させたことにより最高出力、最大トルクの数値上は変更ないがレスポンスが向上され、特に発進加速時の動力性能を向上させている。
次にサスペンションの変更点は、従来から採用されているビルシュタイン製ショックアブソーバーには、今回新たにしなやかな特性を持ち、モータースポーツ界で数々の実績を残してきたアイバッハ社製コイルスプリングを採用し従来品よりも高めのスプリングレートにしたがショックアブソーバーの減衰力を最適化する事で穏やかな挙動と優れた接地感を実現している。さらには、車高を10mmローダウンさせ、走行安定性とコーナーリング性能を向上させている。
サスペンションの改良に伴い電子制御4WDシステムのスーパーAYCもよりスポーティーな方向にリセッティングされ、特にオンロードでの旋回性能をさらに向上させた。
走りを支えるアイテム
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先代の「エボ9」が登場して試乗した時には、もの凄いパワーと気持ち良い程の旋回性能でレーシングドライバーの私も驚いたがこの「MR」ではどのように進化したのか非常に楽しみである。早速サーキットで試乗してみる。
走り出してすぐに分かるのがスタート時のアクセルの反応の良さだ。出だしの加速感が明らかに良くなって速くなっている。2速、3速とシフトアップしていってもそのレスポンスの良さは健在でターボ車特有の低回転時のかったるさを感じない。「これは気持ちいいなぁ」とつい口に出してしまった。
このレスポンスの良さはサーキット走行等では特に大きなアドバンテージになるのは間違いないはず。
そしてコーナーリングでもその楽しさを十分味あわせてくれた。
従来よりもバネレートが高めにセッティングされ、10mm下げられた車高はその数値以上に走りに現われていた。4速ハイスピードでのコーナーリング時でも車が安定し無駄なロールが無くドライバーにも安心感を与えてくれている。まるでドライビングが上手くなったかのように車が導いてくれているのだ。
更にはコーナーリングではしっかりとしているのだが、コースの縁石や凹凸ではしなやかな動きで軟らかく感じる。不思議な感じだ理想的なセッティングでこのフィーリングを市販車で実現してしまうのはかなり難しいはずだ。
このように「エボ�MR」は見た目や数値以上に進化していて凄いマシンになっていた。が、しかしこれを超える物(次期ランエボ)を造るのは相当な事だと思う。それ程にこの「最終章」は名車になっていた。
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代表グレード
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エボリューション� MR GSR
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4490×1770×1440mm
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車両重量[kg]
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1420kg
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総排気量[cc]
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1997cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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280ps(206kw)/6500rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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40.8kg-m(392N・m)/3000rpm
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ミッション
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6MT
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10・15モード燃焼[km/l]
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10.0km/l
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定員[人]
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5人
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税込価格[万円]
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362.25万円
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発売日
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2006/8
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レポート
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菊地 靖
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写真
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和田 清志
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