感覚までチューニングされた高性能に脱帽
搭載されるエンジンはV型8気筒4.2Lの自然吸気DOHCのみ。XJに搭載されるスーパーチャージャー仕様のエンジンの設定はない。自然吸気とはいえ224kWは馬力に換算すれば300psを超える性能だし、トルクも421N・mの十分な性能を発揮する。大柄なサイズながらアルミモノコック構造によって比較的軽めのボディなので、300psからのパワーがあればその走りは豪快なものになる。
加速時には迫力あるサウンドを聞かせ、通常のクルージング時には静かなドライブを実現できるよう、サウンドのチューニングも行われている。ただXKのようなラグジュアリーなクーペの場合にはあえてサウンドを聞かせるより、静かな走りを重視したほうが良いようにも思う。
1速で60km/h、2速で100km/hまでカバーする6速ATの変速フィールも上々。このATにはジャガーとしては初めてのシーケンシャルシフトが採用されている。シフトレバーをL字型ゲートのマニュアル側に倒すとステアリングの裏側に設けられたパドルによってシフト操作が可能。ほかのメーカーのシーケンシャルシフトとは違ってレバーによるシフト操作はできない仕組みだ。
特別なサスペンションで、走れるのに快適な足回り
試乗したのはスポーツで、前後異サイズの20インチタイヤを履くが、偏平率が30/35という割には乗り心地も悪くない。コンピューター・アクティブ・テクノロジー・サスペンションを採用することも、乗り心地の良さにつながっているのだろう。
●お勧め
発売時点で設定されたのはコンテンポラリー、スポーツ、ラグジュアリーの3種類のスタイルセレクション。これは好みの問題もあるが、ジャガーのイメージに最も良く似合うのはラグジュアリーではないか。ソフトなレザーシートがジャガーならではの独特の雰囲気を醸しだしている。コンテンポラリーはラグジュアリーの持つ伝統的なジャガーらしさを現代の感覚で表現したモデル。明るいポプラウッドのパネルなども魅力的だ。アルミパネルを採用したスポーツは、ルマン24時間レースなどで活躍したジャガーの走りの魅力を得ようという人向き。新しい感覚のジャガーの魅力を楽しむことができる。