2006F1も10戦を消化したが、序盤で予想されたアロンソの独走が怪しくなってきた。第9戦カナダまではルノーのフェルナンド・アロンソが6勝、フェラーリのミハエル・シューマッハが2勝と圧倒的にアロンソが有利だった。シーズン序盤もリタイアしないアロンソが圧倒的有利と予想されていた。
しかし、第10戦アメリカGPでミハエルが完全優勝を遂げ、予選から決勝まで終始ライバルのアロンソを圧倒してみせた。アロンソは今期初の表彰台落ちとなる5位と、優勝したミハエルに一気に6ポイントものポイント差を縮められてしまった。それでもポイント差は19あるので、このままコンスタントにアロンソが上位入賞すればアロンソがシリーズチャンピオンを獲得する。
今後のチャンピオンシップの行方は、マシン開発が順調に進むミハエルのフェラーリに対して、アロンソが操るルノー・R26の新化にかかっているといっても良いだろう。
予選はミハエル&マッサのフェラーリ勢が1-2
アメリカGPの優勝の勢いに乗り、予選で1位を獲得したのはミハエルだった。そして2番手は同じフェラーリのフェリペ・マッサと、ここでもフェラーリの強さが際立っている。特にマッサが予選2番手を獲得するなど、フェラーリの好調さは本物のようだ。対するルノーはアロンソが3番手も、ジャンカルロ・フィジケラが7番手と差が大きく開いてしまっている。
決勝で強さを発揮するアロンソの走りがあれば優勝も狙えるが、フェラーリの速さも本物となったため、アロンソにとってはあまりいい状況とはいえない。フィジケラのジャンプアップを願いたいところだろう。
また、スーパー・アグリF1のフランク・モンタニーは今戦が最後。フランス人ドライバーとしては久々にフランスGP決勝レースを走ることとなる。母国GPのおかげか予選では佐藤琢磨より上位グリッドを獲得した。
迎えた決勝レース、スタートから安定してミハエルがトップを快走し、2位マッサがこれに続く展開。アロンソは3番手だが、トップのミハエルに追いつくのは厳しい状況だ。そして16周目にマッサがピットインしガソリン補給とタイヤ交換、17周目はアロンソがピットイン。ミハエルは18周目にピットインしたが、ここでの順位の入れ替えは無く、戦略的に同じように思えた。
今回のレースのポイントはこの後にあった。2番手のマッサは34周目に2回目のピットインを行い、3回目は53周目に行っている。対するアロンソは42周目に2回目のピットストップの後、最後までレースを走りきった。ミハエルも38週目と55週目にピットインし3回ストップの戦略だ。
今回3回ストップのフェラーリ勢に対しアロンソは2回ストップ。アロンソはピットインの数を減らし、ライバルの作業中に追い越すという戦略だった。しかし、マッサより12秒先にチェッカーフラッグを受けたアロンソだが、ミハエルよりも10秒遅れという結果。ミハエルの完璧な勝利といえるだろう。
結果は1位ミハエル、2位アロンソ、3位マッサ、4位ラルフ・シューマッハ(トヨタ)、5位キミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)、6位フィジケラ、7位に今戦モントーヤに変わり出場しているペドロ・デ・ラ・ロサ(マクラーレン・メルセデス)、8位ニック・ハイドフェルド(BMWザウバー)となった。
チャンピオンシップ争いは、アロンソとミハエルの熾烈な争いが今後も期待される。ポイント差は17。アロンソの正念場だろう。しかし、日本人としてはもっと気になる情報がある。
これまで4年落ちの旧アローズシャシーを改良し出場していたスーパー・アグリF1だが、次戦ドイツGPよりいよいよニューマシンとなるSA06を投入する。写真を見る限りフ今年開発したフロントノーズ周りは変わっていないように見えるものの、リアセクションに関しては完全にニューマシンの様である。
3.0リッター用に作られたSA05はスペーサーを挟み2.4リッターエンジンを搭載するなど、バランスがいいマシンとはいえないものだった。それがニューマシンになり大幅に改良されると共に、エアロダイナミックスの改良もありかなり期待できるようだ。車重はマイナス20kg、重心も低く戦闘力はかなりアップした。
ドライバーの佐藤琢磨のコメントによれば、「戦闘力があるとわかっているマシンと共に、ドイツGPに行くことができるのはエキサイティングだ。来週のホッケンハイムを楽しみにしている」とのこと。ファンも期待していいだろう。目指せ初入賞だ!