買えちゃうかも!? 意外にリーズナブルなRクラス
まずRクラスのアウトラインから。最近アメリカ市場で大きな収益源となっているのは「乗用車と同じくらい乗り心地と燃費が良いSUV」である。このジャンル。当初、ハリアーくらいだったのだけれど、BMWとボルボ、ホンダ、日産も参入。アウディまで新型車を投入するなど激戦区になった。ベンツは当初『ML』というクロカン風のモデルを投入したものの、BMWのように2車種目を投入してくるメーカーが出てきたため「ウチももう一車種作って勝負だ!」と考えたんだと思う。Rクラスのコンセプトで最も近いのが「オデッセイ」。ミニバンの割に車高低く、SUVの中じゃ乗用車的。それでいて3列シートを装備し、しかもアメリカ工場で生産されることもあり、コストパフォーマンス高い。DCJ(ダイムラー・クライスラー・ジャパンの略)のスタッフ曰く「一回りコンパクトなEクラスのステーションワゴンの4WDより圧倒的にお買い得です」。
となれば気になるのが「なんでそんなに安いのか」という点。Rクラスを安く売れるなら、エンジン&駆動系を搭載するE350だって頑張れるハズ。けれどE350を安くすることは不可能らしい。やはり生産コストからしてRクラスの方が低いのだという。なぜか? 今やアメリカ市場では振り向くと日本車(レクサスやアキュラ、インフィニティ)がすぐ近くにいる。当然高い値段じゃ売れないため、基本設計の時点からコストダウン策を盛り込まなくちゃならに。ただエンジンやミッション、サスペンションなど、絶対譲れない重要なアイテムについちゃキッチリとベンツ製を採用。
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インテリアだってちゃんと "ベンツ" シテマス
インテリアのみ「違いの解る人」だと価格相応といった感じになった。もちろん初めてベンツを買うような人だったら大満足出来ます。ちなみにサードシートの居住性は「必要最小限」。6人乗りミニバンというより「6人乗ることも出来るステーションワゴン」と理解したらよかろう。
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V6とV8、こら甲乙つけがたいゾ!
Rクラスには3,5リッターV6と5リッターV8のエンジンラインアップがある。どちらを選ぶべきか? 普通の街乗りなら両者同等。絶対的な動力性能で比べたって「案外変わらず」。確かに巡航時から少しアクセル開けたような状態の加速感はV8優勢。けれどアクセルを深く踏むとV6も遜色無く加速するのだ。V8の306馬力に対し、V6は3,5リッターながら272馬力もあるためだと思う。発進加速や追い越し加速などで最初からアクセル全開するような走り方であれば、V6で何ら問題なし。むしろV8よりフロント荷重が軽い分、コーナーでハンドル切った時の気持ちよさで勝る。
当然ながらスムースさはV8に軍配を上げておく。V6の場合、高回転まで引っ張ると、どうしても音や振動を出す(けっしてイヤな音と振動じゃありませんが)。V8は高回転まで回らない分、セコセコしていない。御予算が豊富ならR500を。普通の人であればR350をすすめておく。どちらのエンジンを選んでもベンツ御自慢の7速ATとのマッチングが良く、変速ショックさえ感じない。ちなみにV6は新世代のエンジンということもあり燃費良好。クルコンをセットして100km巡航するとリッター11km近く走ってくれました。
足回にしても相当レベル高い仕上がり
足回りは十分納得できるレベル。熟成進んだEクラスと比べてしまうとボディ剛性感に代表される”圧倒的なクオリティの高さ”こそ感じないが(Rクラスは荒れた路面でのドタバタ&ブルブル感あり)、これまた数年落ちのベンツと乗り比べると「文句無し」。お手頃な価格設定を考えれば許せるかもしれない。
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新時代のリーダにとっちゃ、魅力的な存在じゃナカロウカ?
また、Rクラスの特徴でもある「Sクラス並に大きいボディサイズ」は、乗ってみると何とかなりそうな上限的取り回し。近所の足に使うクルマというより、押しの強さを自慢するベンツだと思う。これから成功していく人にピッタリだ。
代表グレード
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R350 4MATIC
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4930×1920×1660mm
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車両重量[kg]
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2170kg
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総排気量[cc]
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3497cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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272ps(201kw)/6000rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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35.7kg・m(350N・m)/2400rpm
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ミッション
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7AT
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10・15モード燃焼[km/l]
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7.7km/l
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定員[人]
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6人
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税込価格[万円]
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724.5万円
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発売日
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2006/03
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レポート
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国沢光宏
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写真
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和田清志
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