季節柄の紫陽花をバックにグランデプント快走!

大岡編集長「プント借りたよ。週末乗る?」  コリマネ「!?ほんとっすか!?」

ああ、レガシィの一件に続きなんとありがたきお言葉(涙)。
とはいっても、実はリクエスト出してたんですがね。試乗したいって。

遡ること数週間前。そもそも、最初にお願いしたときは、
「グランデプん???なにそれ?」(大岡)てな反応で、数秒後に「・・・ああ。・・・・あれに?」
・・・むむむっ。

じゃ編集部の徳田氏は?このテのクルマ好きですよね?ねっねっ・・・ねーってば・・・
「んーーー、はい?はぁ。」(徳田)
・・・やばい。

だだだだダーワ教授はどうよ?
「はぁ?プント?はぁ。お好きなように。」(相変わらずコリマネに冷たいダーワ)

味方無し、だ。

よし、決めた。
ここはひとつ、コリマネはサイトオーナだぞー、プロデューサーだぞー、
と権限を振りかざして企画を提案だ。
「たたた対決シリーズ第6弾ということで、どどどないでっしゃろ?」

「で、対戦相手は?」(大岡・徳田・ダーワ)
 

念願のクルマ指定試乗はグランデプント!

というわけで、グランデプント対VWゴルフのホットハッチ対決と相成りました。
え?対決結果は明白だ?そりゃそうでしょうけど・・・

ま、そちらの方は近日公開予定の記事を参照いただくとして、
とりあえずは各達人先生方のインプレの名目でお借りしたグランデプントの広報車だが、編集部でも試乗できる時間を作っていただいた次第。
よくぞ(無理やり)記事を企画して下さった。
ありがたやありがたや。

そもそもフィアット グランデプントに興味を持ったのは、2005年東京モーターショー取材での出会いから。そうです、一目惚れです。
サイドシルエット、Cピラー、ちっこいリヤワイパー、ヨシノボリ(ハゼ科)っぽい顔。好み好み。EGシビックのウツクシサには負けますが。
同時に展示されていたグランデプント・ラリーのカッコよさにだまされているわけでは、決してありません。
いや、結果的にだまされていたのかな。

ヨーロッパにおいて計600万台以上を販売したプント

グランデプント

まずはフィアット グランデプントというクルマについておさらいをしておこう。
ヨーロッパにおいて計600万台以上を販売した実績を持つフィアット プント。
そのモデルチェンジにあたるグランデプントは、2005年9月にヨーロッパで発売されたBセグメント、つまり国産車でいうところのヴィッツやフィット、デミオなどにあたるコンパクトクラスのクルマだ。
ただし、既存のプントよりも若干大きくなったボディとともに、Cセグメントモデル並の装備や性能を身に着けた、特別なモデルチェンジということらしい。

エクステリアデザインはジョルジェット・ジウジアーロとフィアット・スタイルセンターの手によるもの。
「美しさ」「堅実」「華やかさ」を具現化した(鼻息の荒いコリマネじゃなくてメーカーが言っている)モデルだという。
より、プレミアムな方向へのモデルチェンジ、といったところか。
それゆえに「グランデ」の肩書きがつくのか?

プント

旧型プントも一部のグレードで併売ということだが、日本のフィアットオートジャパンのサイトでは紹介されていない。
もっとも、2005年8月時点でのイタリア仕様車のプレスリリースしか手元にないため、その内容を元に書いているのだが、おそらく日本では併売しないのだろう。

スペックをおさらい

今回、試乗車としてフィアットオートジャパンからお借りしたクルマは、グランデ プント 1.4 16V Sport 右ハンドル仕様。スペックは以下のとおり。

お借りしたグランデプント。オプションのレザーシートを装備。これがなかなか良いんですよ。
モデル名
Grande Punto
1.4 16V Sport
型式
ABA-199141
ハンドル位置
全長 (mm)
4,050
全幅 (mm)
1,685
全高 (mm)
1,495
ホイールベース (mm)
2,510
トレッド ( / ) (mm)
1,470 / 1,460
車両重量 (kg)
1,160
乗車定員 ( )
4
エンジン型式
199A6
エンジン種類
直列 4 気筒 DOHC16 バルブ
総排気量 (cc)
1,368
ボア × ストローク (mm)
72.0×84.0
圧縮比
10.8
最高出力 <kW(ps)/rpm> [EEC]
70 (95) / 6,000
最大トルク <N m(kgm)/rpm> [EEC]
125 (12.7) / 4,500
燃料供給装置
マルチポイント式電子制御燃料噴射
使用燃料
無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク
45
ラゲッジルーム容量
275
クラッチ形式
乾式単板ダイヤフラム
トランスミッション形式
6 速マニュアル・トランスミッション
変速比
1
3.909
2
2.158
3
1.480
4
1.121
5
0.921
6
0.766
後退
3.818
最終減速比
4.071
ステアリング形式
ラック&ピニオン ( デュアルモード式電動パワーアシスト付 )
駆動方式
FF
サスペンション
マクファーソンストラット式
トーションビーム式
主ブレーキ
ベンチレーテッドディスク
ディスク
ブレーキ形式
2 系統油圧式 ( 真空倍力装置付 )
タイヤサイズ
205/45R17

筆者は、2006年時点でペーパードライバー歴が5年になるかというところだが、根っからのマニュアルミッション好き。というか、AT車の運転を非常に苦手としている。
ゆえに、一見ATオンリー?というラインナップっぽいものの、実は現時点でMT車しか存在しない、しかも6MTというグランデプントは、個人的には積極的に「選びやすい」クルマに該当する。

各部の操作系、シルキーなフィールは上々。

さて、7月某日、編集部の徳田ともにグランデプントで試乗地へと向かう。
まずは、同じく試乗を希望するCORISM編集部バイトのY(クルマためにストックヤードを持つ学生。変なクルマを何台も所有。メーカー就職希望だって。)を駅で拾うため、都内某所へとスタコラ向った。

ステアフィールはなかなかシルキーなグランデプント。

最初はコリマネが街中を運転、都内を転がすことにした。
第一印象は「すべてがスムーズ」。
グランデプントのステアリングは電動アシスト式だが、これがなかなか気持ちがいい。国産車のように、変にスポーティーさを勘違いした、余計なお世話的「重さ演出」もなく、軽々と快適。フリクションを感じないシルキーなタッチだ。かといって軽すぎて操作感が希薄というわけでもなく、実に感触がいい。
しかも、タイヤは205/45R17なんてのを履いていることを忘れてはいけない(これがクセモノ)。
以前所有していた'97年アコード SiR-Tの電動パワステも、当時としては完成度も高く、3つのモードを切り替えることでステアフィールの性格を選ぶことが出来た。
グランデプントはその完成度を完全に上回る快適さとステア・インフォメーションを持つ。

両車に10年近い歳月の差があるとはいえ、日本とイタリアが持つこのテの技術力を考慮すれば、やはりセンスそのものの違いを感じる。
そりゃ、これよりいいクルマなんて、輸入車には星の数ほどあるだろう。
しかし、国産車オーナーオンリーできた筆者にとって、このクラスでこのしっかり&しっとりのステアフィールはきちんと評価したい。

シフトフィール、ペダルフィールも悪くない。
これらもステアリングと同様に、非常にスムーズで好印象。
アクセル、ブレーキ、クラッチ、すべてが意識して「どれくらいの感覚か?」と計らなくても、すんなり馴染める操作性だ。
筆者のような国産オンリー派に対し、左ハンドルベースのクルマであることをまったく意識させないくらいに自然に出来ている。
特別優れている、というわけではないのだが、輸入車に特別興味を持たないユーザにとって「国産右ハンドル車と差を感じない」というところは結構重要。
保守的ユーザーのクルマ選びの選択肢内に、堂々とエントリーできるわけだ。

その他、各種スイッチ類、操作系は特筆するまでもない。いたって普通の造り。
これも重要なことで、初めて乗った人でも意識せずになじめるはずだ。
ところで、クルマ系の編集者というのは、とかく外車に乗りなれた感覚で語りがちだが、筆者のように輸入車に隔たりを持つ(または最初から視野に入れていない)ユーザーに対しても、走りや官能性能だけではなく、操作感覚など伝えなければいけないことがまだまだたくさんあるのではないか?と普段から思っている。

カッコいいホワイトメータ、もろ好みです。ゼロ垂直ならもっと・・・

メーター類は各人の好みの範疇だが、筆者の場合は「大好きなデザイン」。
ホワイトメーター好きにはたまらない。
本当はセンターがタコメーターのホワイト3眼並び、ゼロ垂直(針がゼロをさすとき垂直方向にあるもの)が一番なのだが、そんなメーターは存在しない。ホンダ インテグラ タイプR 最終モデルがもっとも好みのイメージに近いが、あちらはシルバーメーターに4眼だ。

・・・いざ走ってみると、やっぱり・・・

スペックに期待してはいけない。でもちょっと淡い期待は抱いていたが・・・

ステアリングコラム左側のウィンカーレバーに慣れ始めた頃から、徐々に街乗りでの素性が掴めるようになってきた。
スムーズな操作性で、都内の道路の速度域では極々フツーのクルマ。
渋滞も(MT派には)比較的楽に乗れて、取り回しの良さはさすがにコンパクトカーである。エンジンもごくフツーの1.3Lクラス(1.4Lだが)の反応。発進も神経質ではない
ただし、運転する時間が経つにしたがって、パワー不足を露呈するシーンが目立ち始める。
どうにもこうにも出足が遅く、スピードダウンからの回復はこまめなシフトダウンを要求する。パーシャルスロットルからのラフな加速は、一切期待できない。
それにしても、大柄な大人2人が乗っているとはいえ、信号スタートでタクシーや重そうな2.4Lクラスミニバンにも置いて行かれてしまうとは。とほほ。

ホントにいいの?このタイヤサイズ!?

流れに乗ればオイシく快適・・・と思いきや、今度は乗り心地に問題がある。
リヤのバタバタした乗り心地、振動の収束具合、ノイズ、はっきりいって音振対策は良くない。
コンパクトクラスであろうとも、イマドキの日本車たちと戦うには、これでは厳しいだろう。しかも価格は国産同クラスよりもはるかに高い訳だ。

撮影はD2Xから買い換えたD2XsとVR70-200mmのシェイクダウンもかねて・・・

低い速度域では乗り心地はよくないグランデプント。音対策も並以下。タイヤが犯人?

足回りは、コンパクトクラスでは標準的なフロント:ストラット、リヤ:トーションビーム。
それよりも、205/45R 17インチタイヤという設定に?となる。エンジンのパワーとシャシーが完全にタイヤ負けしていると思えるからだ。
「ま、走行1000Kmも行ってないクルマだしアタリが・・・」(徳田)
でもやっぱり、タイヤが乗り心地の落ち着きのなさの原因でもある。
ヨーロッパでも同一の仕様だが、速度域や道路環境の違いがあるための違和感かもしれない(高速走行で後述)。

いいかげんホントの日本仕様輸入車が欲しい

しかし、日本仕様は日本の環境に合ったタイヤ設定という選択はなかったのか?
右ハンドル車をわざわざここまでナチュラルに仕上げているのに、それぐらいの見識があってもいいだろうに。
カッコよさ重視?
確かに。日本のディーラーも、ライバル不在でこだわりを持ったクルマ選びのユーザー像を描いているのだろうし。しかし、それでは販売数も限られ、儲けも少ない。その結果、販売価格は高くなり、広告戦略もピンポイント、ますます限られたユーザーだけの存在になってしまうのはもったいない。

導入コストの問題?
それよりも「輸入車ブランド」「ラテン車」といったキーワードの持つイメージと期待を上手く転用する方法を考えれば、それほど大規模な資金投入をせずとも、より日本市場で利益を得られる商品企画、販売戦略が打てるのではないか?
そろそろ、勝手な「輸入車を買うユーザー像」を捨てて、真剣に日本市場と向き合ったクルマを提供してほしい。

まぁ、そのあたりは今秋の販売開始が予定されている1.4 8V(ATモード付5速シーケンシャルの「デュアロジック」搭載)で課題を解消し、1.4 16V Sportはあくまでスポーツイメージ、ということなのかもしれないが。
それにしても、やっぱり205/45R17はオーバースペック過ぎだと思うけど・・・

いよいよ高速道路からワインディングへ

都内某所の駅でバイトYを拾ってから、ドライバーは徳田にチェンジ。
高速道路を走行しから、いよいよスポーツドライビングへと向う。ここからは3名乗車になるが、このパワーで大丈夫か!?
コリマネは助手席に陣取り、室内空間と乗り心地をじっくりと再チェックすることにした。

コチラはEOS5DとEF50mmF1.4で撮影。キヤノンにしてはAFが信用できる。D2Xのサブにはぴったり(逆転することも多いが)。

こういったところに持ってくると、そこそこ楽しい。が、パワーはないグランデプント。
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フィアット グランデプント コリマネ私情の試乗記その2【高速&ワインディング編】

【CHECK&TRY】  written by コリマネ (2006.09.09)

念願のリクエスト試乗!パワーがないなりにも走りを楽しんじゃえ!・・・るのか!?プントへの想いは揺らぐ。 >> 記事全文を読む


written by コリマネ
職業:Webディレクター兼プロデューサ