BMW325iツーリングMスポーツ

BMWに乗ったらバビューンってワケ分からん・・・?

BMW325iツーリングMスポーツ

「BMWに乗ったらバビューンと行かなきゃ!」と、コリズムの試乗記や特集などで活躍するSカメラマンのコメントだ。彼はBMWユーザーで、箱根などで行なわれることの多いプレス試乗会に愛車BMW X3で登場する。まあ、彼の熱い走りといったらハンパじゃなく、箱根ターンパイクでGT-Rを見つければ躊躇なく追撃開始だし、東名高速でフェラーリを発見するやいなや完全ロックオン状態になるなど、とってもレーシングなカメラマンだ。業界関係者の中にも彼の標的とされた人も多いとか・・・。
 もう彼とは10数年の付き合いになるのだが、このSカメラマンは元々レーシングな男だ。クルマが替わっただけで、人間の本質は変わらないと思っていたがBMWに乗り始めてからというもの、さらにバージョンアップしている。なんでそう「バビューン」といくのかと聞いたところ、まるで麻薬患者のごとく「だって気持ちいーんだもん」でコメント終了。ワケ分からん・・・。カメラマンは感性の職業だとは思っていたが、脳ミソの中まで感性だけだったとは・・・。ちなみに、彼はもうすぐ40歳を迎える。ちょっと前置きが長くなったが、そんなSカメラマンのいう「BMWに乗ったらバビューン!」の本当の理由を知りたくなってBMW325iツーリングMスポーツをしばらくお借りることにした。

相変わらず真直ぐ走らない・・・。

BMW325iツーリングMスポーツ

 編集部のある丸の内の地下駐車場から、BMW325iツーリングMスポーツをゆっくりと首都高速・西銀座の入り口へ。Mスポーツには、車高も15ミリ下がった専用サスや17インチタイヤなどが装備されているで、乗り心地は多少ゴツゴツとするが、なぜか不快な印象はない。環状線と合流して1号線へ。速度は70キロくらい。相変わらず真直ぐ走らないクルマだ。タイヤは路面のわだちや継ぎ目をシッカリとドライバーに伝える。

ゾクゾクするエンジン。

BMW325iツーリングMスポーツ

 レインボーブリッジへの分岐を過ぎたあたりで、視界がバーンと広がった。少し溜まり始めたストレスを発散! 右足に力がこもる。シュッイーン!!! もはや自動車業界の宝ともいえる直6エンジンが、その存在を力強くアピール。ウルトラスムースだ。高回転域になると、さらにググッとパワーが盛り上がる。こりゃタマラン。ゾクゾクする。218馬力とは到底思えないパワー感、よどみが無く透明感あふれる回転フィールが全身に伝わる。
 前車をかわすために軽くアクセルを抜く。そして、また全開! アクセルのツキ(レスポンス)が恐ろしく良い。右足にダイレクト。ターボ車とは正反対。クリアな回転フィールにキレのあるレスポンスがたまらない。コクがあるのにキレがある、とはお馴染みビールのキャッチフレーズ。BMW325iツーリングMスポーツは、クリアなのにキレがある。なんだかビールみたいだ・・・。まあ、確かにドイツの名産といえばクルマにビールにソーセージってところかなぁ、なるほどねぇ、なんて思いつつちょっと大きなコーナーへ。

スポーツカーのハンドリングを持つワゴン。

BMW325iツーリングMスポーツ

 ステアリングをスッと切ると、真直ぐ走らないと思っていたクルマがまさに精密機械のごとく向きを変える。ロールもシッカリと抑え込まれていて、瞬時にクルマは反応する。もはやワゴンとかセダンとかというより、スポーツカーのハンドリング。ノーズがグリグリと入っていく。こういうスポーツカーのハンドリングって、いつ限界を超えてノーズを巻き込むようにスピンするかドキドキもの。ところが、タイヤのグリップ感が分かりやすいので意外なほどに安心して曲がれる。ただダラダラと走っていると、路面の状況をシッカリとアピールしてきて、ときには不快に思うステアリングインフォメーションやサスもいざ走り出せばドライバーの味方。気持ちよく走るためのものだ。

BMWはオタクエンジニアの集合体?!

BMW325iツーリングMスポーツ

 実際のところ、300kmくらいBMW325iツーリングMスポーツとすごして思ったことは、BMWのエンジニアってかなりのオタクだってこと。エンジンやハンドリングなどなど、すべては楽しく走ることに注力されている。1台のクルマを世に送り出すには、数多くのエンジニアがそれぞれの役割を果たすことになる。それでいて、これほど走って楽しいクルマを創るという開発コンセプトの軸が振れないのはサスガ。たぶん、エンジニア自身も走って楽しいクルマが好きに違いない。BMWはオタクエンジニアの集合体かもしれない。そう思うと冒頭のSカメラマンの「BMWに乗ったらバビューンと行かなきゃ!」も十分に納得。作り手の思いは、乗り手に伝わるのだ。

ラゲッジルーム十分使えるが、BMWを選ぶ積極的な理由にはならない。

BMW325iツーリングMスポーツ

 クルマがシロモノ家電化してもう随分経つが、BMWのような作り手の意思が明確に伝わってくるクルマはもう数少ない。クルマ好きの皆さんにぜひオススメといいたいところなのだけど、BMW325iツーリングMスポーツで586万円である・・・。このプライスタグが、ボクを現実に連れ戻す。
 ところで、ラゲッジの使い勝手とかを報告しようと思いましたが、あまりに走るのが楽しくてチェックするの忘れてました。ざっと見たところ、先代モデルより使えそう。ワゴンとしての機能性は十分といったところ。とはいえ・・・、まず荷物を載せることを最優先に考えるのなら、他のクルマ買ったほうが良い。BMW325iツーリングMスポーツは、あくまで走りのついでに荷物ももう少々積めればいいねぇ的なクルマですから。やっぱり、BMWを選ぶ積極的な理由にならないような気がする。やっぱり、BMWはバビューンですよ! 

代表グレード
BMW325iツーリングMスポーツ
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4,525×1,815×1,450
車両重量[kg]
1,580
総排気量[cc]
2,496
最高出力[ps(kw)/rpm]
218(160)/6,500
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
25.5(250)/2,750-4,250
ミッション
6速AT
10・15モード燃焼[km/l]
9.9
定員[人]
5
税込価格[万円]
586.0万円
レポート
大岡智彦
写真
佐藤靖彦
達人プロフィール: 大岡 智彦
職業:コリズム編集長
自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
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