プジョー1007に搭載されるのは直列4気筒1.4LのSOHCと1.6LのDOHCの2機種。今回試乗したのは1.6Lエンジンの搭載車だ。このエンジンが発生する80kW/147N・mのパワー&トルクはまずまず平均的な実力だが、低速域でのトルクを重視したチューニングにより、このクラスとしてはやや重いボディをけっこう良く走らせてくれる。両側電動スライドドアは、ドア本体はもちろんスライドさせるレールや枠組みなどによって重くなるのだが、それを苦にしない走りを示してくれる。
高速道路を走ると背の高さから横風の影響を受けやすい印象があるほか、高速コーナーではアンダー傾向がやや強めに出るが、日常的なユースで考えたら良く走るクルマという印象である。
組み合わされるトランスミッションは自動5速の2トロニックで、いわゆるマニュアル・オートマと呼ばれているタイプのもの。ヨーロッパのコンパクトカーに幅広く採用されているのと基本的に共通だが、プジョーとしては初めての採用である。
従来のマニュアル・オートマは、変速ショックが大きくて日本のユーザーからは大きな不満が出ていたが、今回のプジョー1007の2トロニックは相当に改良が進んで滑らかな変速フィールを実現する。発進時に全開加速するときなどを除けば、通常の油圧式ATと変わらない感覚で違和感なく走らせることが可能だから、従来のマニュアル・オートマと別物と考えたほうが良い。
今回試乗したのが1.6だけで1.4には試乗していないので簡単に判断することはできないが、スペックや装備など見てを総合的に判断すると1.6のほうがお勧めだと思う。
価格は1.4が199万円で1.6が229万円だから30万円の違いがあるが、エンジンの動力性能が大きく異なるほか、装備や仕様にも違いがある。よりスタイリッシュな外観やアロイホイール、オートエアコン、雨滴感知オートワイパーなどが装備されるのが1.6なので、お勧めはこちらのほうだ。
価格そのものは輸入コンパクトカーの中ではちょっと高めの印象だし、同じプジョーの206と比べてもやや高いが、両側電動スライドドアなどの付加価値を考えると、納得モノと考えるべきだろう。
なお、オプションで横滑り防止装置のESPを装着できるのが1.6だけというのも1.6がお勧めとなるポイントだ。