あくまでも「走り」にこだわって作られたこの「S204」のメカニズム的部分のスケールアップは、まず初採用となるパフォーマンスダンパーだ。効き慣れない人も多いと思うが、これは前後の装着されておりフロントがサスペンション取り付け下部、リアがストラット上部に装着されているダンパー機能付きのブレスバーで、路面からの入力で起こるボディの歪みや振動を抑制して、より高いボディ剛性を実現するものである。
サスペンションにおいてはスプリングレートを約50%強化してロール増加を抑えると同時に以前の減衰力調整の物から適正減衰力固定式になり「S204」の持つ相応しい走りを常に実現している。リアスタビライザー径においてもφ20からφ21とアップ数字的には僅かだが操縦性には大きな違いが現れるのだ。
パワーユニットにおいてもスケールアップが図られている。馬力の数値で言えば320psと変更はないが、専用大型ツインスクロールターボで低速から高速まで高い出力を発揮すると共に、どの回転域からでもスムーズに加速し高回転域までストレスなく吹き上がるエンジンフィールを実現した。
同時にエンジン部品の手作業でのバランス取りや、ECUの適正過給圧コントロールによりトルクの増大を実現している。
実際の「走り」はどのようにスケールアップされているのか走行してみた。エンジンフィールは相変わらず気持ち良く吹け上がり、ターボ車特有のラグは一切なく低回転から気持ち良く加速して行く。特にトルク増大は体感的に大きく大排気量のNAにさえ感じる。
市街地での乗り心地は、バネレートが硬くなったと聞かなければ分からないほどしなやかに動いている感じで違和感の無い硬さと言えるだろう。
次にワインディングでの走行では「S203」と比べると回頭性の良さがすぐに分かる。これはパフォーマンスダンパーの効果が大きいと思うが車全体がグイグイ曲がって行く。フロントのクイックな動きにシッカリとリアが付いて来る感じだ。自然と速度も上がってしまうが安定感はしっかりと有り楽しくなっていく。ブレーキに関しても文句は無い仕上がりで下りでかなり使ったはずなのに制動変化は一切なかった。
「S203」を乗った時にあまりの完成度の高さにカルチャーショックを受けたがこの「S204」も確実に進化していた。この技術には脱帽である。